AWC オリンポス物語(1 <幽霊パニック!>(8  舞火


        
#1419/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (CGF     )  89/ 2/ 5  21:49  ( 95)
オリンポス物語(1 <幽霊パニック!>(8  舞火
★内容
 惑星リオヌルのディオラ市役所で、コンピューター相手に仕事をしていた、OLが突
如手を止めた。いや、止めざるを得なかったというべきか。OLは、今まである一家の
戸籍を映しだしていたスクリーンが、ブラックアウトしたため、仕事が続けられなくな
ってしまったのだ。
 が、一瞬後、スクリーンは正常な機能を回復した。画面は元のまま、安心して仕事を
再開した。
「軍の回線の割りこみってほっんと、乱暴なんだから」

                  <Υ>

 約三分のタイムラグを要した。
 スクリーンがデータを書き直した。
「よし、必要なデータを選んでプリントアウトしてくれ」
「はい、ミラルカはこの娘お願いしますね」
「はぁい」
 無邪気な幼子の様な笑顔を浮かべるミラルカに思わず魅入ってしまう、マサト。
 ジャミーは、面白そうに微笑みつつ、マサトに呼び掛ける。
「ほら、こっちお願いするわ。くす、言ってあげようかしら、ラビアンローズ曹長に」
「え?」
 聞きなれた名前が突然出て来て、わずかにうろたえる、マサト。
「マサトが浮気してるってね」
「えっ!ちょっ、そういう訳では……」
「やだ、ジャミーも結構人が悪いんだから。判ってて言ってる」
 ミラルカがおかしそうに言う。
 マサトはというと、天を仰いでた。
 アポロンのマサト・柳生少尉とヘスチアのラーラ・リルイ・ラビアンローズ曹長は、
一ヶ月程前に行なわれたベストカップル・コンテストで第二位に選ばれていた。
「やっぱ、あの『かまどの事件』でよねぇ、二人が選ばれたのは」
「そうね、同じくそれで活躍したアメリアとサムスが第一位だったんですもの」

                  <Φ>

 ベストカップル・コンテスト第一位に選ばれたヘスチアのアメリア・リン曹長とヘイ
パイトスのサムソン・ディア・サザンクロス中尉は、というと、ヘイパイトスのコンピ
ューター『鉄』の部屋にいた。『鉄』はアポロンの分析コンピューター『竪琴』とつな
がっているヘイパイトスの分析コンピューターである。二人にとって残念なのは、邪魔
者が一人いるからだろうか−−ユーキもいた。
「これでいいかしら、ユーキ」
 アメリアが映しだしたデータに見入るユーキ。
「OK。だいたい概要が判ったよ。サンキュー、アメリア。中尉、できますよ」
「ああ、これだけ判ればな」
 ヘイパイトスのサムソン−−サムスは、ユーキにうなずき返す。「すぐ、取りかかろ
う」「はい、時間がないですから」
「あたし、それじゃ仕事にいったん戻ります。また、後できますわ。『ヘイパイトスの
おもちゃ箱』ですか?」
 アメリアのいう『ヘイパイトスのおもちゃ箱』は、ヘイパイトス(技術管理)の面々
が自由に物を造る事を許された場所である。
「いや、あそこでは無理だ。電波関係となると、Δ(デルタ)作業場か」
「そうですね、その作業場なら測定機も充分揃っていますから」
「Δ作業場って、どこだったかしら?」
「Cブロック六ストリートの真ん中辺りかな」
「判りましたわ。それじゃ」
 軽く敬礼してアメリア・リン曹長は本来の仕事場所であるFブロック−−通称大農場
に戻っていった。
「よし、行くか」
「あ、はい」
 サムスとユーキはCブロック−−通称『工場』のΔ作業場へと向かった。
 十四日の二十時までという期限付きのお仕事に取り掛かるため。
 ちなみに、Δ作業場は電気関係用の装置が完全に、といっても過言ではない程、見事
に揃えられている所である。

                  <Χ>

 せいきは完全な暗闇の中にいた。
 耳をそばたて、微かな音を聞き逃さない様に。
 目を凝らしわずかな光を逃がさぬ様に。と、
 四方八方から、しゅんしゅん、微かな音。迫り来るたくさんの光の矢。
 せいきは、それら全てをかわしていった。
 無駄のない動きだ。最小限の動きでそれらをかわす。
 だから疲れが少ない。
「ん」
 何かに動揺した様にせいきの動きに乱れが生じた。
 と、瞬く間に多数の光の矢がせいきに突き刺さる。
 痛みはない。
 だが、実戦だと命取りになる。
「ちっ」
 せいきは舌打ちをし、今の状況に集中させた。動きが軽やかにリズムを持つ。
 そして。
 始まった時と同じ様に、又、突如として終りを告げた。光の矢が全て消え、静寂が戻
った。
 暗闇が徐々に明るさを取り戻す。
 そこは、EブロックИИ『訓練センター』の『七番電子格技場』であった。
「せいき」
 呼ばれてふっと上を仰ぎ見る。
 一段高い所にある監視塔の窓から一人の男が手を振っていた。
 知らず知らずの内に顔が苦虫を噛み潰した様になる。
 せいきはのそのそと格技場のドアを出、監視塔への階段を上がる。
「たいした成績だ」
 アレスのリーダー、ザム大佐は憎ったらしげに言い放つ。
「ふん」
 じと目をくれつつ、「で、何の用かいな、訓練中に呼び掛けるマネなんかしまして」
 たいした成績になったのは、急に呼び掛けられて集中力が散漫になったからである。
「ゼウスが呼んでるんでなぁ」
 ひくひくと青筋を立てつつ、それでも冷静にと、話す。「で、すぐ来いということだ」「ゼウスが?」                            <続く>




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