#1386/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (DRH ) 89/ 1/23 6:44 (151)
連載小説>魔法のネットワーカーアクセス那奈 [3]
★内容
あたしは学校の授業が終わると、プランニングどりぃむの事務所へと向かった。
そして、事務所の近くの本屋に入り、トイレへと行くと、人がいないのを確認し
て、呪文を唱えた。
「ルチノウ」
すると、あたしの右腕にしているアクセスリングがひかり、空中にドリィミー・
バトンが現われた。
あたしはそれをとり、続けて呪文を唱えた。
「マジック・パラレル・ドリィム・アクセス!」
呪文をとなえ終わるとドリィミー・バトンから、眩しいほどの、七色の光が出て、
あたしの体をつつんだかと思うがはやいか、あたしは那奈に変身していた。
そして、プランニング・どりぃむにつくと、まず、歌唱テストや、ダンスのテス
トなどを受け、あっさりとクリアーしてしまった。
「いやぁ凄いね」
プランニング・どりぃむ社長兼プランニングNETのSYSOP(SYSOPと
は、システム・オペレーターのことで、BBSの経営者みたいなものと思ってくれ
たらいいのかしら?)の、二枚目、岡田さんが、関心したように言った。
「これならすぐ使えるよ、うん」
「しかし‥‥凄いですね、こんな才能を持った人なんか見たことが無いわ‥‥」
岡田さんのよこにいる、あたしのマネージャーになるという水木理沙さんが、そ
うつぶやいた。
「とにかく那奈ちゃん、明後日くらいにデビュー曲の歌詞渡せると思うから、頑張
ってね!」
「あ、はい、わかりました!」
「それからデビューは1週間後、早速宣伝始めるから」
水木さんが、スケジュール表をみながらそう言った。
「今日はお疲れさまでした!、またあした、きて下さいね!」
あたしがかえる支度をしていると、岡田さんがプランニングNETについてのこ
とを話し掛けてきた。
「あ、それから那奈ちゃん、プランニングNETなんだけど、BLやってみない?」
「BLって何ですか?」
「ボード・リーダー、SIG・OP(シグ・オペレーター)が、SIGを管理する
ように、BLは、ボードを管理するんだよ」
SIGとは、一種のサークルみたいなもの‥‥なのかなぁ?、いまいちよくわか
んない、まあとにかくBLっていうのもおもしろそーだな、うん、やってもいいや。
「はい、いいですよ」
「それじゃあ、早速BBSにボードを新しく作っておくから、あと、SPID(ス
ペシャルID‥‥、ようするに、一般のユーザーと区別するために、SIGOPや
BLには、SPIDが与えられるのである)をあとでMAILでおくっておくから
ね!」
「了解!、ではお先にしつれいします!」
★
あたしは家につくと、ベッドに横になり、プチとポポと話をしていた。
「でも、那奈に変身するとすごいね、あたしじゃとうてい出来ないことも、簡単に
やっちゃうんだもん」
「そうね、那奈にへんしんすることによって、由美はスーパーガールにでもなった
みたいなものだもんね」
「しかし‥‥うそみたい‥‥、魔法をもらい、それで、アイドルとしてデビューだ
なんて‥‥」
「ほんとうに由美はラッキー・ガールだな、とにかく運も実力のうち、由美にはそ
ういう運命があったんだよ、きっと」
あたしはちらりと時計をみると、デジタルは9時45分を示していた。
「そだ、いちどプランニングNETにアクセスしてみようっと、なんか岡田さんが
SPIDがなんたらいってたなぁ‥‥」
あたしはもうほとんど私物化してしまったコンピューターを(おとーさん、ごめ
んなさい!)使ってプランニングNETへアクセスした。
すると、まずオープニング・メッセージで大きく、”『アクセス那奈!』 プラ
ンニングNETからアイドル誕生!、3月25日デビュー、また、アクセス那奈が
BLをするボードが新設されます、アクセス那奈へのメッセージなどをよろしく!”
と書かれていた‥‥、うーんなにか恥ずかしいなぁ‥‥。
まあとにかく、岡田さんからはSPIDとパスワード、BLをするボードについ
てなどが書かれているMAILがおくられてきていた。
それによると、あたしがもつボードは、『アクセス那奈の休憩室』と言う、Fr
eeボードみたいなもので、あたしへのメッセージなどを書き込むところだそうだ。
そして、あたしは自分のボードができているのを確認すると、早速覗いてみた。
すると、今日新設されたはずなのにメッセージの山!、ひぇぇ‥‥こんなもん、
読んでたらきりがないよぉ‥‥。
「うわぁー、すごいな‥‥」
肩にのっていたプチが、画面をみて驚いていた。
「こんなの読んでたら時間がいくらあってもたりないよー」
でも仕方が無い‥‥、あたしはボードにある、全部の書き込みを、DISKにダ
ウンロード(通信上の文章などをDISKに記録することをダウンロードって言う
んだよ)した。
そして一通り読み、簡単なフォローなどをすると、10時40分をすぎていた。
「あ〜ん、もう寝るっ!」
あたしは電気を消して布団に潜り込んだ。
「おやすみ、プチ、ポポ」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
☆
ってな訳で、あっというまにデビュー当日。
「おはようございます!」
あたしは、緊張しながらも平常を装って事務所に入った。
「あ、那奈ちゃん、調子はどう?」
マネージャーの水木さんが、たずねてきた。
「ええ、まあまあです」
「とにかくあまり緊張しないでね」
そんなこといっても‥‥むりだよぉ。
そして、衣装と、メイクを済まし、番組が始まった。
いつもTVで聞く、番組のオープニングメロディーが流れてくる、ああ、もうす
ぐなのね‥‥。
『今日は、ゲストとして、プランニングどりぃむより本日デビューする、アクセス
那奈さんをお招きしております、那奈さん、どうぞ!』
あたしは、ゆっくりとステージの方へと歩いて行った。
舞台裏とはうって違って明るいステージ、あたしは、ドキドキしながら、打ち合
わせ通り、司会者の方へとあるいていった。
『アクセス那奈さんは、プランニングどりぃむが運営する、プランニングNETよ
り、デビューという異色の人、さっそく歌ってもらいましょう、本日の一曲目、歌
は、”あなたにプラグイン”、どうぞ!』
そして、あたしは歌い出した。
Access あなたのハートに
Access プラグインしちゃうわ
ねえ あなた知ってる?
この世界は幻影だってことを
物が造られてる原子や分子なんてものは
切り刻めば情報だけになっちゃうのよ
ほら 熱力学だって
どこか間が抜けてるでしょ?
それはきっと天地創造の神様たちが
演算に手を抜いちゃたのね
だけど、あなたは目を点にして言うのよ、[何を訳の分からないこと言ってるの?]
男の子って化学とか物理とかが好きだから
せっかく話を合わせようとしたのに
ぜーんぜん、リンクしないのよ もう!
Process あなたの考えを
Compute シュミレートしたのに
変だわ 演算結果が一致しない
Access あなたのハートに
Access プラグインしたい
『ありがとうございました!、えっと、那奈さんは、どういうきっかけでプランニ
ングNETに入会したんですか?』
「友達が入ろうっていって、一緒に入ったんですよね」
『それで、プランニングどりぃむの社長さんに認められて、デビューと?』
「ええ、そうですね」
『では、ありがとうごさいました!』
そして、あたしはステージを後にした。
☆
「おつかれさま!、上出来よ!」
番組が終わり、水木さんがタオルとスポーツドリンクを持ってきてくれた。
「ありがとうございます!、でも、やっぱり緊張しますね‥‥」
「まあ、すぐになれると思うわよ、大丈夫!」
「とにかくきょうはこれで失礼しますね」
「それじゃあ、またあした、プロダクションでね」
「はい!」
そして、あたしのアイドル第一日目は無事幕を閉じたのでした。