AWC トゥウィンズ・2 八章 ( 2/ 5) (40/43)  あるてみす


        
#1260/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (VLE     )  88/11/19   0:52  ( 98)
トゥウィンズ・2 八章 ( 2/ 5) (40/43)  あるてみす
★内容
 いくら呼びかけても無視するだけ。
 その上、茂は茂で健司とのことをからかってくれるし、僕としては、どう
したらいいのか判らなかった。
 朝食を終えた後、すぐに帰るといってきかない麻里ちゃんを茂と真琴がな
だめすかして、何とか海に連れだした。
 麻里ちゃんは何とかなだめられて海に出たものの、健司の顔を見りゃ泣き
そうになるし、僕の顔を見りゃ、あからさまにそっぽ向くし、本当にどうし
ようもなくて、仕方がないので健司と僕だけ、その場を離れた。
 あとは茂に真琴、康司、一美に任せるしかなさそうだ。
 もっとも、真琴って、普段は静かでおとなしい感じの奴だけど、イザとな
りゃ女の子をなぐさめるくらいのことはするだろうし、茂は茂で、ああいう
性格してるから、今の麻里ちゃんにはいいかもしれない。康司と一美だって
悪いようにはしないだろう。
 で、健司と僕は、連中から離れたところで、そっとため息をつき、暗い雰
囲気のまま二人きりで午前中を過ごした。
 お昼も彼らとは別々に取り、しっくりしないまま、午後に入った。
 そして、少し日が傾き始めた頃、
「おい、お前らさ、二人っきりで何してんだ?」
 突然、茂の声がした。
「あれ? 真琴と麻里ちゃんは?」
「あっちにいるよ。彼女、もうだいぶ落ち着いたみたいだぜ。」
「そうか。」
 急いで麻里ちゃんのところへ飛んで行き、開口一番、
「麻里ちゃん、ごめん!」
 そう言ってあやまると、
「あたしこそごめんね。博美と健司くんがキスしたからって、あたしが怒っ
たりする筋合いじゃないのよね。二人の問題だもんね。」
 そして、健司に向き直って、
「要するに、健司くんの好きな人って、博美だったのね。そういえば、一番
仲が良かったんだから、すぐに気付かなきゃいけなかったのよね。まったく、
博美ったら全然そんなこと言わないから。」
「本当に、ごめんね。麻里ちゃんを騙すとか、そんなつもりじゃなかったん
だ。」
「もう、いいわよ。ほら、いつまでも、こんなことしてないでさ、せっかく
海に来てるんだから、遊ぼうよ。」
 麻里ちゃんは、いつもの麻里ちゃんの笑顔に戻ったみたいで、すっかりは
しゃいでる。
 僕には、そんな麻里ちゃんの笑顔がちょっと辛かった。だって、まだ悲し
いはずだもの。
 だけど、麻里ちゃんが、そんな悲しみは心の中に閉じこめて、ひたすら明
るい表情を見せている以上、僕がとやかく言うことじゃない。
 そして、海に入って泳いだり、ビーチボールで遊んだり。
 少し柔らかくなったとはいえ、まだまだ強い夏の日差しに、また少し日焼
けをした。
「わー、いたいた。やっと見つけた。こんなとこにいたのね。」
 浜辺でパラソルの下、ビーチマットに寝転んで一休みしてたら、いきなり、
どこかで聞いたような声。
「あれ? 由香じゃないか。どうしたんだ?」
「へっへー、実はね、用事が早めに済んじゃったのよ。でさ、一応、泊まる
場所とか聞いてあったから、来ちゃったってわけ。ねえ、宿の方、大丈夫か
な。」
「大丈夫だと思うけど。一応、聞きに行ってみる? 早めに言っておいた方
がいいもんね。」
 そう言って、一美が立ち上がると、由香ちゃんを引き連れて宿に戻った。
 時期が時期だったためか宿の方も空いていて、飛び込みの宿泊も大丈夫だ
ったので、由香ちゃんも一緒に泊まることになった。

「ねえ、そこ、もうちょっと高くできるんじゃない?」
「じゃあ、こっちも負けないくらい高くしよっと。」
 由香ちゃんを加えて海で泳いだ後、砂浜で休憩しているうち、何となく砂
の塊を投げつけて遊んでいたら、いつの間にか砂でお城を作る羽目になって
いた。
 健司、康司、それに真琴の三人はパラソルを立てて、その下でサザンのカ
セットなんかをかけて休んでいるけど、僕達四人と茂は童心に帰って、きゃ
あきゃあ言いながら砂の城造りに励んでいる。
 当然、濡れた砂じゃないとうまく作れないから、波打ち際から少し離れた
場所に建造中なんだけど、ときどき波がやってきて、せっかく作ったものを
壊していく。
 仕方がないから、まず防波堤を作って、今は、その内側に立てているって
わけ。
 で、防波堤の内側を掘りながら、城の方は少しづつ高くなっていく。
「いたっ!」
 突然、砂を掘っていた由香ちゃんが叫んで左手を押さえた。
 見ると、指先が真っ赤に染まっている。
「どうしたの?」
「由香ちゃん!」
「由香!」
 慌てて由香ちゃんに近づこうとした僕達より早く、茂が由香ちゃんの手を
引っ張って、海の中に連れ込む。そして、指先の傷口を海水に付ける。
 どうやら、由香ちゃんは砂の中に埋まっていた貝殻で指先を切ったらしい。
「どうだ? あんまり痛くないだろ? ちゃんと砂を落とさないとな。」
 いつもの茂らしからぬリアクションに驚いていると、さらに驚くことをや
ってくれた。
 由香ちゃんの怪我をした指を、いきなり口に加えたのだ。
「ちょ、ちょっと……。」
 驚く由香ちゃんに、
「一応、唾付けとけば消毒になるだろ?」
 そして、傷口をもう一度見て、
「ちょっとさ、宿に戻って、傷の手当した方がいいな。」
 そして、茂は怪我をした由香ちゃんの指の付け根を押さえながら、一緒に
宿に向かった。
「おい、いったい、どうしたんだ? 茂のやつ。」
 健司が呆然とした顔で聞いてくる。
「さあ……。何か、いきなりだったから、よく判んないや。」
「ちょっと、見てくるか。」
 そして全員で茂と由香ちゃんの様子を見に宿に戻った。

−−− まだあるよ −−−




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