#1219/1850 CFM「空中分解」
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トゥウィンズ・2 二章 ( 2/11) ( 8/43) あるてみす
★内容
で、ミコちゃんは健司の隣に座り、向いに由香ちゃんが座った。
「ところでさ、お宅らと顔を合わせるのは初めてだと思うんだけど……。」
「あ、そうそう。俺、杉山茂。健司の奴に誘われて来たんだけどね、まさか
女の子が一緒だとは思わなかったんで、実はちょっと嬉しかったりしてるん
だ。」
ちょっと気障っぽい方がまず自己紹介。ふうん、この男、杉山茂っていう
のか。
次は、やたらと細い方の男。
「大原真琴です。これでも一応、合気道なんかやってます。よろしく。」
なにー? 合気道だあ? こんなに細っこいのが? 腕なんか折れないの
かね、まったく。
「でさ、知ってる? こいつの名前……。」
「おい、茂。てめぇ……。」
「いいじゃねえか。どうせ、あとで判っちまういんだからさ。」
まだ、こっちの名前も聞かないうちに、なんなんだ? こいつらは。
「こいつの『まこと』っていう名前さ、どんな字、書くと思う?」
「さあ……。」
麻里ちゃんと二人、顔を見合わせる。
「普通は、真実の真とか、誠実の誠とか、そんな字なんじゃないの? ねえ、
麻里ちゃん。」
「そうねえ、あたしもそう思うけど……。」
「真実の真っていうのは半分正解。実はね、楽器の琴ってあるだろ? あの
字も使うんだ。真実の真と、お琴の琴を合わせて『真琴』って書くんだぜ。
女の子みたいな名前だろ?」
「ほんと、女の子みたい。ねえ、真琴くんって、女装させたら結構似合うん
じゃない? あんまり男っぽい体格してないから。」
麻里ちゃんが変なことを言い出す。でも確かに、この真琴っていうのは細
いけど、それなりにスタイルはいいみたいだし、女だと言っても充分通用し
そうな顔立ちをしてる。
「やっぱり、そう思う? こいつさ、入学したての頃なんか、クラス中でか
らかわれてたんだぜ。女装させたら似合うんじゃない? なんつってさ。」
「へえ。」
「でさ、健司と康司のやつが、あんな体格してるだろ? 比較されちゃって、
ほんと、もう可哀想だったぜ。」
「おい、茂。もういいだろ?」
真琴は、露骨にイヤな顔をした。確かに、ここまで言われりゃ、嫌にもな
るだろうな。
「ところでさ、そっちの、えーと……、あれ? まだ名前、聞いてなかった
っけ?」
「だって、自己紹介しようとしたら、勝手に名前の話になってるんだもん。」
「あ、そっか。わりいわりい。で? まず、お宅の名前は?」
「中沢博美って言います。健司と康司とは中学時代からのクラスメートなん
だけど、そっちにいる僕の双子の姉貴の一美が康司とあの通りなもんだから、
それで今でもよく会うってわけ。」
「へえ、あの、康司と一緒に座ってる娘と双子なのかあ。どうりで同じ顔し
てると思った。まるで健司と康司みたいだね。」
「そ。あいつらと同じで、一卵生双生児だよ。」
「俺、一卵生双生児同士で恋人やってんのって、初めて見た。で、博美ちゃ
んは健司といつ頃から付き合ってんの?」
「へ? 付き合ってるって、誰が?」
「あれ? 健司の彼女じゃないの?」
「その言葉、健司が聞いたら怒るよ、きっと。」
「へえ。じゃあ博美ちゃんは特に付き合ってる人っていないの?」
「まあね。でも、なんで?」
「いや、なんでってこともないんだけどさ。」
茂は一瞬嬉しそうな顔をして、今度は麻里ちゃんに声をかける。
「で、そっちの彼女は? 麻里ちゃんって言ったっけ?」
「ええ。私、竹田麻里って言います。博美や一美と高校で一緒なんです。」
「麻里ちゃんも、結構可愛いね。やっぱり、可愛い娘は可愛い娘同士で友達
になるのかなあ。」
麻里ちゃん、すっかり照れちゃって、赤くなって下を向く。
「おい、茂。その悪い癖、いい加減に直せよな。」
真琴とかいう方が、半ば呆れたように言う。
「ごめんね。こいつ、女の子と見ると口説きたがるんだ。悪い奴じゃないん
だけどね。」
その言葉で、麻里ちゃんは茂を少し睨む。
「おい、真琴。これから真面目に口説こうとしてるって時に、そんなこと言
うなよな。」
茂が情けなさそうな顔で言うと、麻里ちゃんは、ぷっと吹き出して、ケタ
ケタ笑い始める。
会ったばかりだから当然かもしれないけど、こいつらの性格、今一つ理解
できんな。
そのあと、あることないこといろいろと喋りながら、電車は一路、海へ向
かって進んで行った。
「ちょっと、博美。まさか、そんな水着で海に出るつもり?」
「うん。そのつもりだけど、なんで?」
「それ、学校で使ってるやつじゃない。そんなもん着ないでよ。」
そして、一美は自分のバッグをゴソゴソやり始める。
電車を降りてバスに乗り換え、しばらく揺られた後、ついさっき、民宿に
着いて、健司達と別れて部屋に入り、砂浜に行く用意をしていたところで、
ついでに着替えちゃおうって話になった。
で、着替えようとして、僕がバッグから水着を出したところで一美から何
やらクレームがついたというわけ。
「やっぱり持ってきておいて正解だったわ。」
そう言いながら一美が出したのは、薄い水色のビキニ。
「さ、これ着て。同じサイズのやつを選んだから、着られるはずよ。」
「えーっ? おい、冗談だろ?」
「なんで、あたしがこんなとこで冗談言わなきゃなんないのよ。」
「だいたいさ。なんで僕が、こんなの着なきゃなんないんだよ。」
「こんなのってことないでしょ。せっかく選んだのに。」
「うーっ!」
思わず頭を抱えると、由香ちゃんが、
「博美ったら、何嫌がってんの? 可愛くていいじゃない。」
そう言って口をはさむ。その由香ちゃんは既に水着に着替えている。そし
てミコちゃんも。二人とも似たような模様の入った、ワンピースの可愛らし
い水着を着てる。
「やだよ、ビキニなんて恥ずかしい。」
−−− まだあるよ −−−