AWC K&D>PC−VAN、OLTの皆様へ  大門鉄也


        
#1179/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (XKG     )  88/10/10  13:43  ( 79)
K&D>PC−VAN、OLTの皆様へ  大門鉄也
★内容
 PC−VANの皆様には、いつも御世話になっています。
 実はOLTを始め、VANの利用者の方にお願いがあるのです。
 というのは、僕の勤めている会社の社長のことなのですが、事の顛末を小説風にまと
めてみましたので、どうか読んでみてください。

 俺はいつものように、仕事中にこっそりと通信を楽しんでいた。
 今日は皆外へ仕事に出ていて、残っているのは俺と直美ちゃんだけだったから、なお
さら熱が入る。
 あ、俺は大門鉄也。秋山商事の新入社員。
 商事と言っても少し前まではここは秋山組という名前で、つまりは暴力組織そのもの
だった。今では近代化して、パソコン、ファックスと一見普通の会社に見えるが、その
仕事の内容は以前と余り変わっていない。
 大学時代遊びまくってしまった俺としては、ここで経理の仕事を見つけるのが精一杯
だった。まあ、俺はあんまりこの世界へのアレルギーもなかったし、なんとか楽しくやっているけど。
 それにしてもチャットは楽しい。あっという間に時間が過ぎてしまう。

「こら!大門。おんどれ、何してるんや」
 いつの間にか会社に戻っていた組長、いや社長が俺の襟首をつかみながら言った。
 短く刈り上げた髪、額には青筋が立ち、細い凶暴な目が俺を睨んでいる。
「あ、組、いや社長、お帰りでしたか」
「なぁーにがお帰りでしたかじゃ。お前、最近仕事ちゃんとやってへんやろ。直美に聞
いたぞホテルで」
 俺は驚いて直美を見た。彼女は「とーぜんよね」という顔で冷やかに俺を見ている。
 しっ、しまった。組長が見境なく女に手を出していたことを俺はうかつにも...
「そっ、そんなことはありません!これはほんの息抜き...」
「何が息抜きじゃ、われ。電話代がやけにかさむと思うて直美に調べさせたらこの始末。おんどれ、大阪湾で関西新空港の人柱になりたいんか。ちょっと大学出てて経理まかさ
れてるから言うて調子に乗るな。ぼけ」
「くっ、苦しい、組長、首を締めるのを止めてください!本当にこれはたいした事じゃ、チャットと言って、皆が友達に...」
「何やてー、チャットぉー?この大馬鹿もんが!チャットかチョットか知らんがお前が
そんなことやってるからうちの地上げがうまいこといかへんのや。よおーし、わしがめ
ちゃめちゃにしたろ」
 うちの組長は目茶苦茶をするのが飯より好きで...うわーーー止めてくれーーー!
 組長は直美を呼ぶと自分の言うとおりキーを打たせ始めたのだ。

〔10:316: てっちゃん  〕 ところで僕ねー、ほんとうのことをいうとねー
             暴力団の組員なんだーー。うわーはははははははは
〔10:428: ☆くろべー☆〕  ゲゲーーーー
〔10:337: みゆき      〕  ええーーー!ホントーー?>てっちゃん
〔10:316: てっちゃん  〕  ほんまやねん。わいはてつの親分の秋山やけど
             組長のわいがいうのやから間違いない。今までてっちゃん
             は君たち善良な一般市民を騙していたのだよ。こわいやろ
〔10:337: みゆき      〕  おやぶんさん、はろ
〔10:428: ☆くろべー☆〕  すっすごいのが出てきたーーーーーーー
〔10:316: てっちゃん  〕  こら、くろべ!なんやそのいいぐさは
             しばいたろか
〔10:337: みゆき      〕  イヤダーー乱暴なのきらーーーい>くみちょう
〔10:316: てっちゃん  〕  あ、みゆきちゃーーーん、そんなことないよー
                          おじちゃんはやさしいからねー。
〔10:428: ☆くろべー☆〕  暴力はんたーい。やくざは嫌いだーーー
〔10:316: てっちゃん  〕 だれもお前と話してへんわい
             こゆびいらんのか>くろべ
 -------- 〔10:428: ☆くろべー☆〕 がチャンネルを移動しました。
〔10:316: てっちゃん  〕  あ、こら、くろべー逃げるなーーー
                         こんどおじさんとホテルいこか。ベンツ乗って>みゆき
〔10:337: みゆき      〕 いやだーーえっちぃーーー>くみちょう
〔10:316: てっちゃん  〕  いこうやー。そういわんとー
             わいはたくましいでー
                          あ、それバッコンバッコン、みゆきがあっふん...

 という具合に俺の通信生活は秋山組長に目茶苦茶にされてしまった。
 以来、仕方なく俺は経理の仕事に精を出している。
 組長はというと、何とあれ以来通信にのめり込んでしまっているのだ。
 自分のIDを取得すると、「あきちゃん」とか「あっくん」だとか勝手な名前をつけ
ては葉巻を燻らせながら通信をして、多くの若者をたぶらかしている。
 しかし、決して下心はないらしく、すさんだ極道の生活の中でささやかなやすらぎを
チャットに見つけているようだ。
 おかげで組の儲けは最近がた減りであるが、まあ、社会から見ればそれもいいことな
のかも知れない。
 だから、もしこれを読んでいる人がOLTで「あきちゃん」に出会ったとしても、決
して逃げ出したりせずに適当に遊んでやってください。
 うちの「あきちゃん」、いや、秋山組長をどうかよろしく。


                    Fin.






前のメッセージ 次のメッセージ 
「CFM「空中分解」」一覧 クエストの作品
修正・削除する         


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE