AWC ●繋河高校文芸部!!●【10】 ひすい


        
#1166/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (FEC     )  88/ 9/30  17:14  ( 86)
●繋河高校文芸部!!●【10】      ひすい
★内容
「15分としましょや!!」

  トゥルルルルルル、トゥルルルガチャ!
  「はいーもしもし、橋本ネットワーキングサーヴィスですが」
「あのぅ、繋河高校の藤岡という者ですが、橋本君は御在宅でしょうか」
「ああ、智樹はねぇ、学校に泊まっていると思いますよ。」
「あ、そうですか。どうも、失礼しました。」
「はい、とーも。」
  ガチャ。

  「いいか、田代、米田さんをちゃんと送り届けるんだぞ。」肩に金属の塊を付けた彼
は振り返った。「街側はきっと暴動になるから山側を通っていくんだ。」
  「はい。」田代はバッテリーパックを彼の腰に巻き付けた。
「ねえ、あぶないんでしょ、止めたら?」
  「おい、サイドライトを取付ろ」
「はい。」
  「ねえ!」
  男はニヤッと笑った。「世界を救えるのは俺しかいない!!」
  「先輩、セッティング完了です。」
「おう!!」
  西山はドアを開けて、踏み出した。が、ちょっと戻って心配そうに見つめる人に向か
ってグラサンを取って、素顔で言った。
  「御前ら頑張れよ、俺は俺で頑張るし!」

  「麻沼さん、ちこっと出かけてくっから。」
「何処へ?」胸騒ぎが彼女を襲っていた。「まさか……」
「すっぐに帰ってくっから。」
「ねぇ。」
「うんじゃ、待っているから。」
「………」
「行ってきます。」
「………」
  ドタン。

  すでに橋本は校門のところに立っていた。しばらくして、『オカモチ・カム』を付け
た西山と、江口がゆっくりと歩いてきた。『オカモチ・カム』というのは、スプリング
とアームによって人間の震動をなくしてカメラブレを無くしたものであった。最近の映
画なんかで使われている奴の、繋河高校映画研究部版である。今日は、カメラの横に、
ライトが2つ張り出ていた。
  「いきますかぁ〜。」
「いきましょう。」
「ニシヤン、重くないか。」
「10kgあるよ。」
「そんなんで、戦えるのかよォ〜」
「登山部でしたよ、中学のときゃーね。」
  その時である。凄まじい烈震が彼らの足場を無くした。不安定な西山でなくとも転ぶ
には十分な程である。その突き上げるような震動は最高潮に達したかと思うと出し抜け
に消えた。
  3人は顔を見合わせた。
  「爆発するぜ!!」

  原子力発電所の前はさらに混乱をきしていた。地震が発生するから即時停止を訴える
反対派と武装警官が衝突をしたところに、この地震であった。死者も出る騒ぎであった
が、これによって一時戦闘は中断せざるを得なくなった。3人が到着したのは、混乱も
静まってまたもやにらみあいが始まった頃である。
  「すげぇ、死人が出てやがる………」西山はファインダーの中で小さくそれを見た。
「ちきしょう!!」
「行くぞ!!」
「おう!!」
  彼らは群衆の渦中へと消えていった

  原子炉は吹き飛んだ。津波が起こる前に潮はうそのように引く。その為に冷却水が取
り入れられない状態に陥った。大勢の群衆が押しかける前で巨大な火柱を上げて、有毒
物質をジェット気流にまで到達させた。その後、津波がテトラポッドも越え、原発にぶ
つかった。内部で化学反応を猛烈に起こしている原発に………

  僕らがこの物語を書いたのは、僕らが良かった時代を回想したかったからである。短
い間だったけれども、影響を受けたこの3人の奇人について僕らは語りたかったのだ。
あの日を境にもう合うことのできない彼らについて、未熟な筆を取って書き記したかっ
たのだ。変な描写で歪めるよりも、言葉で表現したい**********僕らはそう決めた。
話だらけというのもその理由である。
  彼らはやはり、普通の人間のようには生きられなかった。それは彼らにとって良かっ
たのであろうか。残念ながら僕らには分からない。
と思う。今回の題は初め『餓鬼の遊び』であったのだが、社会観察部、映画研究部の皆
さんの勧めで『繋河高校文芸部!!』とさせていただいた。この次は、各部を中心にし
ようと私はここで言いたい。
  最後に、橋本、江口、西山各先輩が海を隔てた向こうでも御健在することを一同祈る

                        くそったれ繋河くたばりぞこない弱小3部関係者一同
                                                2078.8.26
                                            第34汚染区域居住区にて




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