AWC ○繋河高校文芸部!!○【9】 ひすい


        
#1165/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (FEC     )  88/ 9/30  17:12  ( 93)
○繋河高校文芸部!!○【9】    ひすい
★内容
  橋本はグラサンの顔に団扇を押しかえした。
  「こいつはまったく調子モンですが、根はいいやつなんですよ。今の言葉も、ちょっ
と汚いが………真意は分かってやってください。」
「はい。」
  「私としてはもう、彼女もくることもないだろうと思います。」
  橋本の言葉に哀愁の響きがあったのを感じたのは私だけだろうかしら、と米田は思っ
た。

  麻沼と江口が学校に戻ろうと道を歩んでいると、何人もの人に『●●電力の原子力発
電所はどっちですか?」ときかれた。そのたびに、振り返って岬のさきっぽにある要塞
のような建物を差し示した。

  トゥルルルルガチャ!
  「もしもし、繋河高校の藤岡というものですが、黒多君をお願いします。」
「藤岡さんね、ちょっと待っててください。」
                  「おーい、秀一、電話だぁぁ!!」
                                                             「るせぇなぁ!!
                  「うるせえとはなんだ!!」
                                 「今、パズルやってんだよ、で、誰?」
                  「藤岡さんだとよ。」
                  「藤岡さん!!」
  「もしもし、黒多です。」
「パズルやってたの?」
「そう。海と青い空だけの、非常にムズい奴。神経がぴりぴりしててつい大声を出しち
ゃったんだ。」
  「今日は………ごめんなさいね。」
「横柄な奴が悪いんだよ。藤岡さんは悪くないよ。」
「………あの人の言っている事は正しいわ。だから……」
「ん?」
「調査は、続けなくともいいでしょう。」
「………そりゃまあ、いいですが………、ただの気落ちで言っているならば、聞かなか
ったことにしますよ。」
「ううん、考えた上の事だから。」
「はあ………。」
「それだけなの。」
  「ひとつ質問していいかい?」
「ん?」
「私的な感情って、何かな。」
「………。」
「僕の推測なんだけれども」彼はそこで一呼吸おいた。「あの横柄な奴が、僕と知り合
う前の彼氏かなんかなのかな?」
「………西山君じゃない。あの人とは昔から気が合わなくて、お互いいつもああなって
しまうのよ。」
「じゃ、もう一人の………かい。」
「昔のことよ。」
「昔といっても、気になるよ。君が感情を起こすようならばなおさら……」
「感情と言っても、そんなんじゃないのよ。」彼女の声は弱々しかった。
「どういうのかなァ。」
「さあ、私にもよく分からない。でも………」
「でも?」
「文芸部を調査したのにはちゃんと役目としての意味もあったの。」
「それは信じているよ。」
「ありがとう………。」
  「色々、辛いことがあるかもしれないけれども、僕に言ってくれよ。」
「うん。」
「それじゃ。」
「じゃあね。」
  ガチャ。

  日が落ちて薄暗くなり始めたので橋本が電気をつけようと手を延ばした時、ドアをノ
ックする音がした。西山が立ち上がって応対に出た。女がいると身のこなしが早いな、
橋本は笑った。
  ノックの主は江口だった。気軽に入ってくればいいのに、何故か照れながら入ってく
るのを見て文芸部元部長はピーンときた。“うまくいったんだ………良かった”
  「こちら、米田さん。ニシヤンのお友達よーん。」
「おいおい!」
「はあ。私、社会観察部元部長江口というもんです。」
「どうも!お噂はかねがね聞いております。」
「噂?こいつが噂に………なんかの間違いじゃねぇですかぃ。」グラサンは心配した。
「間違いじゃないわ。弱小3部の3年は有名ですよ、皆さん。」彼女はニコニコした。
「その中でも一番変わっているのが、西山君という評判。」
  「任せてくださいよん。」
「いいか、御前、誉められているんじゃねーぞ。」
「橋本君、僻むのは止めなさい。」
「何でひがまにゃーならんのだ!」
  「あ、そうそう、話の腰を粉砕して悪いんだけれども、反原発でもが今晩あるらしい
「なにぃ。」
「最近になって、よく来るとは思っていたが………。」
「さっき、海岸を歩いていたら何人も道を聞かれたんだ。あの量からして……」
  「何で海岸あるいていたの。」とは、橋本は言わない。原発の事になるとこの3人は
夢中になってしまうのだ。冗談など考えている余裕は無かった。
  「いくか!」グラサンが決起を促す。
「あったりめぇのこんこんちき!」
「よし、俺は『オカモチ・カム』を用意してくる。」
「ちよっと待ってよ、いくって何処へ?」
「米田さん、僕達3人は原発までちょっと行ってきますよ。」西山はニヤッとした。「
ここで待ってますか?それとも家に帰ります?」
「え、デモ隊に???」
  「いつ出発する、ハッチャン。」江口は気軽にいう。まるで祭でも見に行くかのよう
だ。


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