#1114/1850 CFM「空中分解」
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●繋河高校文芸部!!●【6】 ひすい岳舟
★内容
トゥルルルルルル トゥルルルルルル トゥルガチャ!
「もしもし藤岡です。」
「あのぅ、繋河高校の米田というものですが、藤岡まさ子さんは御在宅でしょうか。」
「私よ。何?」
「なぁ〜んだ、本人だったのか。よそ行きの声使って損しちゃった。」
「あ、ちょっと遠くてよく聞こえないんだけれども。」
「何でもない、何でもない。」
「………」
「今日ね、映画研究部の西山君と会ったの。なかなかのセンスね。」
「………まあ、そうね。」
「で、さぁ、昔貴方文芸部だったでしょ?あの弱小3部、結び付き強いから、あの人の
事、知っているんじゃないかと思ってね。」
「ヨネちゃん、興味あるの?」
「まあね。変わっているけれども。」
「残念だけれども、よく知らないわ。あまりいいイメージもないし。」
「………なんだか、つっけんどんね。」
「そう、聞こえた?」
「そう、聞こえたどころじゃないわ。あなたって、まったくお天気屋なんだから。朝機
嫌が良かったかと思うと、昼休みには怒っているし………そういうのって止めた方がい
いわよ。」
「ごめん。ちょっとあってね。」江口との会話の後味の悪さに苦り切っていたのだ。
「でも、本当に西山君の事は知らない。だって、馬が合わないから話さなかったし……
…それに文芸部は2年になってからすぐに辞めちゃったもの。」
「そっか………。」
「うん。ごめんね。」
「いいの、いいの。じゃ、そィだけだから。」
「分かった、じぁね。」
「ばいばぁ〜い。」
ガチャ。
ようやく麻沼は泣くのを止めてくれた。橋本は彼女の表情が回復してくるにつけて、
心が晴れてくるような気がした。この子は明るく笑っている方がいい、そう本当に思っ
た。
「君のせいじゃないってことがようやく分かってくれたようだね。」
「どうも、すみませんでした。」
「いいんだよ。君は江口に………その、なんだ………」
「その事なんですけれども」
「うん。」
「あまり、先輩達に過敏になって欲しくないのです。先輩達の関係がそれでぎくしゃく
なるのは、私、心苦しいですから。」
「お膳立ては迷惑ってことか。」彼は笑った。
「お見合いじゃないんですから。」
「ああ、分かったよ。でも、うまくいったら知らせてくれよ。」
「はい!」
元文芸部の後輩は立ち上がった。橋本は立たずにそれを見上げるように、見た。電気
の反射で青白く見えた。彼女はにっこりとして、一礼した。
「あ、ワリィけんど、映画研究部に呼びに行ってくれないかなぁ。」
「はい、分かりました。」
そう言って、麻沼は出ていった。
8時を過ぎて、部室棟に帰ってくると教師につかまった。20分ほど、小言を言われ
てようやく解放された。西山だったらこんなのは小鳥のさえずりとしてしか聞こえない
だろうが、今の彼にはそれは無理だった。不満の色を正面から現わした態度のために長
引いてしまったのだ。
文芸部の戸を叩こうとしたが、教師に『社会観察部』と言ったのに文芸部に入ったの
では悪いだろうと思って、まっすぐ社会研究部に戻った。
ドアを開けると、ムア〜とした熱気が漂ってきた。海に面しているために潮で部屋が
やられてしまうので締め切っていたのだ。江口はずっと、自転車で飛ばしていて風をき
っていたから、余計に不快に思われた。
ちょうど、麻沼がワードプロセッサが何やら書いているようであった。彼が入ってき
ても振り返らず、キーボード上の手を馳せていた。江口はそのまま後ろを通り過ぎ、窓
を開けた。ビュルルルと、涼しい風が吹き抜けた。
「先輩、お話があるのですが。」麻沼はディスプレイを見続けながら言った。
「『下』に行ってくるよ。」彼も振り返らなかった。「急ぐ話ではなかろう。」
「わ・た・しは、急ぎたいのです。」
「帰ってから聞くとしよう。今、君の話を冷静に聞けるとは思えない。」
「私はハナから冷静ではありません、動転しきっています。」
「なら、余計に後にした方が いいだろうね。」
「ごまかしたくないのです。」
「誰もごまかしたりしやしないさ。」
「時間が経つだけで、風化します。」
「とにかく、後だ。」
「ちゃんと聞いて下さい!」
ピシャリと言った言葉に江口はビリリとくるものを感じた。ゆっくりと彼が振り向く
と、そこには吹き込んでくる風によってばさばさになってしまった髪も気にせずこっち
を見ている後輩の目があった。
「分かった。聴こう。是非、聴かせてもらうよ。」
男は窓にこしかけ、ニッと笑った。
「ハッチャン、俺はあの人の事を気に入ったのかもしれんよ。」
「そりゃ、良かったじゃないか。」
「なんかねぇ、あった瞬間に、ビシッときたんだよ。分かるかなぁ、ビシーッ!ときた
んだよねぇ。」
「性欲だったりな。」
「馬鹿野郎、俺は高品位な人間だぜ。そんな下品な言葉を言わないで欲しいなぁ〜」
「オーディオのパンフみりゃあどれもこれも高品位と書かれていて、世の中高品位ばっ
か。ついに御前さんのことも高品位というようになったかなぁ〜嘆かわし……」
「だからね、俺はそんな不純なので感じた訳じゃないんだよ。」
「ふぅ〜ん。俺は久しくそういったことになったことはないな。」
「うらやましがらねぇの。」
「これからが大変だぜ。」
「経験者は語るってか?」
「その通り。女は男と違うってことよ。」
「ダイジョーブ。3人のうちで一番女の経験があるのは俺だぜ。」
「そういやあ、●●電力の野郎もこれま事故を起こしたことがないから大丈夫という論
.