#1110/1850 CFM「空中分解」
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●繋河高校文芸部!!●【4】 ひすい岳舟
★内容
「じゃ、貴方こそ大変じゃない。」
「もう、捨てかかっているからね」彼はニヤッとした。「高校時代が人生最良のときな
らば、スロットル全開にすべし、てね。」これは、ハッチャンの名言だ。
「駄目よぉ。そんなの、ただの現実逃避よ。」米田はキッとした言葉を放った。
「………そんなもんかなぁ〜」グラサンは多少狼狽した。ただ、冗談で言ったのに、こ
うも言われるとは………
「そうよ。私は今日、遊びにきただけだけれども………」
「うんじゃ、いつか勉強しよう。」
「ふふふ。」
「弦楽ってぇのも大変だろうねぇ」西山は話の転換を計った。顔しか知らない相手だ
ったが、なかなか骨のある人間だな。「音楽はからきし駄目だから、尊敬するよ。」
「貴方って何でも殻にこもっちゃうタイプでしょう。」
「え?何で?」
「初めて知り合った人に、駄目だを2回もPRしちゃうなんて。もっと自分を大切にし
たほうがいいわよ。」
「あまり過保護すぎると、体に悪いもんでね。」
「ううん、そうじゃないの。貴方の場合、駄目でもともと、という感じで生きていると
いう感じするのよ。貴方の武勇伝はかなり聞いていて興味を持っていたけれども、そう
いう点は嫌ね。」
「………フン………」
「やっぱり、ある程度は考えなくっちゃ。」
「分かった。」西山は驚いていた。普段だったら爆発しているのに、今日は小波もたっ
ていないぞ。「じゃ、俺が素晴らしい才能だ、というところを見に行かないかい?」
「面白そうね!」
「ちょうど、ロケをやっているんだ。」
「行こう行こう!」
結局、ロケに行くようになっちまったな、とグラサンの下で彼は笑った。
「あ、橋本先輩。」
麻沼が声をかけたけれども、船着き場の男は微動だにしなかった。しかし、その座り姿
はまぎれもなく、橋本のものである。そして確証として彼愛用のブルーのDパックと原
稿入れが傍らにあった。
もう少し近寄って声を書けると彼はまぶしそうに見上げて、やあと言った。
それから彼は腰を上げると、海へ降りる階段へと移動した。ここならば日光も直接あ
たらないのだ。こういった心使いがあの人にもあったらなぁ、麻沼は思った。
「何をしてたんですか?」
「何をするってぇこともないけれどねぇ」彼はあくびをした。「昨日は結局寝なかった
んだよ。で、さっきまで部室で寝ていたんだけれどもね、どうも体が、外へ行こう、外
へ行こう、と騒ぐんだよね。だから、ブラリとしてたら、ここへ漂ってしまったのさ。」「面白いですね。」彼女はクスリと笑った。
「ここは奇麗な海だが」そう言って彼は岬の先にある白い建物をにらんだ。「あれが
全部駄目にしている。」
「良く分かりません、私には。」
「う〜ん。」彼は厳しい表情を崩さずに笑った。「分からないうちが花なんだよ。」
「先輩は反対なんですね。」
「そうだよ。江口も西山も俺もあのバケモノには反対さ。」
「………」
「麻沼ちゃん。」
「はい。」
「社会観察部は面白いかね。」
「まぁ、面白いですが………嫌なときもあります。」
「それは良かった。移りがいがあったというものだね。」
「………あのときはどうもすみません………」
「いやぁ、そういう意味でいっているわけじゃねぇんだよ。社会研究部にウチから移っ
たのはもう気にしてねぇーよ。」
「……は、はい……」
「うん、良かった」男は心底から笑みを浮かべた。
「先輩?」
「何だい。」
「先輩には、好きな人がいますか?」
「さぁ〜ね。」橋本は昔からしらっとぼけるので有名だった。
「先輩にはまだ、藤岡先輩のことが残っているのですか。」
「麻沼ちゃんはきついこときくわ。」彼はすきし嫌な顔をしたがそれも一瞬だった。「
あれはもう終わったんだ。」
「そうでしょうか。」
「そうだよ。俺が、ふられちゃったんだ。」
「そんな風でないと思います。結局、あの先輩が橋本先輩をほっておいたからいけない
んですよ。」
「それを世間一般ではふられたというんだよ。俺みたいな駄目男にはなかなかお似合い
さ!」
「もう!!」彼女は寂しげな目をした。「どうして、橋本先輩も、江口先輩も、自分の
事をそうやって駄目だ駄目だと決めつけるんですか。」
「駄目なものをいいといったら、そりゃ詐欺だよ。」橋本は意外な言葉にびっくりしな
がらも、場が陰気にならないよう戯けた。
「そんなことはないと思います。」
「そうみてくれる人が俺達にはあまりいなくてね。」
「理解者は少なくても………」
「無論、私だってそう思っているさ。しかし、癖って奴は一回染み付いたらとれなくて
ね。」
「悲しいですよ、傍にいる人間にとって………。何だか愚痴を聞いているみたいで。」
「分かった。もう言わないように努力しよう。」
「先輩」
「ん?」
そのとき、麻沼は次の言葉を続けようか迷った。しかし………
「麻沼ちゃんさぁ、江口は不器用だから大変だけれども、まぁ、頑張ってな。」
「………はい………」
「江口君。」
「アッ……」
「橋本君、元気?」その女子生徒は少しひきつりながら喋った。
「はい、元気ですよ。あいかわらず………」
「そう、良かったわ。」多少、いやみの響きがあった。「ところで、調べもの?」
「そう。さすが図書室だね、資料はたくさんある。もっとも、駄目なものは駄目だけれ
ど。」
「調べものって、勉強の?」
「まさかぁ!!」男は心底驚いた様子。「私が勉強で調べものなんかするわけないじゃ
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