#1026/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (DGJ ) 88/ 5/25 14:19 ( 93)
真リレーA>第7回 無責任三元放送 Fon.
★内容
同時刻 −東京某所−
「たったったった、隊長ーーーーっ!大変ですっっっ!!」
「なんだ!? そんなにあわててどうした。自衛隊員たるものがこの非常事態にあわ
ててどうするのだ」
「そ、そんな事をいっている場合ではありませんっ!」
「これだから若いもんは困る。よいか、自分の上官に報告するときは自分の身分をつ
げてから明確に言うものだ」
「で、ですからぁ、それを言っている場合ではないんですってば!!」
「やかましいっ!非常事態の行動において、感情的な行動は厳禁だぞ、理性的に動か
ねば事態を悪化させるだけだ!なにがあったのかは知らぬが‥‥‥」
「と、とにかく。こちらへ、テントの外に出て下されば判ります」
「こらっ!上官を引っ張るやつがあるかっ!」
「こちらですっ!あれを!あれを御覧くださいっ!!」
「まったく、なにをそんなに慌てておるのか‥‥‥んっ‥‥?
どっっっわ゛っっっっっっっぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
「なんなよっ!いったい!?」
バタリと、荒々しくドアを叩き閉じて真紀は怒鳴り散らした。
松村となのる男はあれから何を聞いてもとぼけてばっかりなのだ。
これじゃなにしにわざわざ大阪まで来たのかわかりゃしない。
「ったく!なにが『あのかた』だかなんだか しらないけど啓介く‥‥あれ?」
真紀が振りかえればそこにいたはずの啓介がいない。たった今、真紀自身で閉めた
ドアが存在しているだけであった。
と、そのドアがギ〜〜〜ッと開いて鼻をまっ赤にした啓介が出て来た。
「きゅ、急にドア閉めるなよぉ〜 もろにぶつかったじゃないか‥‥‥」
早い話ドアから外に出た真紀に続こうとしたところドアが急激に閉まったために正
面衝突したのである。
「なによ。ボヤッとしてるあなたが悪いんじゃない」
スタスタと歩きながら真紀が言い返す。
「そりゃないだろ! 急に閉めたのは君なんだぜ!」
「なによ、あなたがそこにいたからじゃない。そもそも大阪にきた原因を作ったのは
どこの誰よ!!」
駐車しておいた虎縞トゥディのドアを開けてサッサと乗りこむ。啓介も助手席にと
続く。
「ふぅむ。東京の方も動き始めおったな。今の所、計画は順調じゃな」
マーチン西崎はスクリーンの手前にあるスイッチを切り替えた。
ハイズームされていた東京の様子が切りかわり、啓介たちの様子の映像になる。
「ふむ。啓介は大阪につきおったか。‘らむ’も覚醒したようじゃのお」
だれにともなくそう言ってマーチン西崎はニヤッと笑った。
「よく考えれば、なんで君はこんな車をもってるんだ!?」
とにかくどっかで飯でも食おうという啓介の意見で車を走り出して、しばらくして
から啓介が助手席から真紀に言い放った。
「買ったのよ。最近」
「こんなわけのわからん車を‥‥‥か?」
啓介の疑問も無理はない。外見だけでもまず普通の人は買わないだろう(なんせ黄
色と黒のストライプだもんなぁ)。
「安かったのよ、試乗試験をしてくれって 条件があったから」
「‥‥いくらだったんだ?」
「‥‥‥二千円‥‥」
ドバッと啓介がたおれる。
「に、にせんえぇ〜ん!?」
「だから安かったっていってるでしょ!!」
プイッと真紀は前に向き直ってグイッとハンドルを右に切った。その反動で啓介の
身体が左のドアにおもいっきし衝突する。
「わっわっ! もうちょっと静かに運転してよっ!」
「うるっさいわねぇ!だれの車よこれはっ!?」
ったく、気の強い女だな...
ため息をついてシートに座り直す。
そこで気付く。先程から電子頭脳‘らむ’が、しゃべらなくなっているのだ。
「おい、‘らむ’ひょっとしてお前なんか知ってるんじゃないのか?」
「‥‥‥」
反応がない。
「おいっ、だまってないでなんとか言えよな。」
「‥‥‥」
反応なし。
「いいかげんになんとかいったらどうだっ!?」
「‥‥‥ZZzzz‥‥」
「へっ?」
かすかな寝息ににた音が車内スピーカーから流れた。
「なんで、電子頭脳が眠るんだ!?」
「‥‥‥ZZzzzz‥‥ウ〜ン‥‥‥だっ、だっ〜ぁ」
「な、なんだぁ?」
「えっ?」
突如車体がガタガタと揺れだした。
「だぁーりんノ、バァカァ〜〜〜〜〜ッ!!」
「のわーーーーーっ!」
「きゃぁーっ!!!」
ビカビカビカーッと電子頭脳‘らむ’が叫ぶと同時に車内に電撃が走った。
啓介も真紀もそのショックを受けて体中の毛が逆立つ思いである。
真紀はハンドルを放してしまったが、電子頭脳‘らむ’がきずいたのかハンドルが
勝手に動いて走行していた。
「あ、あのな‥‥‥」
「あはは、ゴ、ゴメンチャ。ウチノ回路ルーチンニ組ミ込マレタ、一ツのノウリョク
ガ、サドウシタッチャ」
「誰だ!車が電撃を放つように設計したやつは!!」
見つけしだいぶっとばしてやる!と、いった口調であった。
そのとき虎縞トゥディの上空であるシステムが作動しはじめたこを彼は知るよしも
なかった。
<つづく>