AWC リレーB>第22回   同調          AYASE


        
#925/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (HWA     )  88/ 3/23   0:21  ( 61)
リレーB>第22回   同調          AYASE
★内容
 眉間にシワを寄せて、ババは考え深気に座っている。
 先程、”わき道”を無理に拡大しようと出力を上げたところ、アナライザーが
ショートしてしまったのだ。田中には疲労の色が見える。
 ババは早急の修復を命じ、自室に退いた。

 (なんということじゃ。側にわき道があることを、すっかり忘れておったわ。
  たいした道ではナイわと思って調査もせんだが、あやつらが入った以上、
  放っておくわけにもいくまいて。
  一人欠けた今、大胆な行動には出れまいが....「影」がどうやら動きだし
  とる由。こちらとて、用心せねばなるまい。今、映像が見れんのはマズイこと
  じゃ。急がせねば。。。)

 おもむろにババは立ち上がり、再び実験室へと向かった。
−−−○−−−○−−−○−−−○−−−○−−−○−−−○−−−○−−−○−
 「ハッ....ハッ....」
 傷ついた芳岡を背負い、ジャンは歩いていた。
 (何故だ。追ってが何もこないなんて。傷ついている俺達が相手なら、たやすく
  倒せるだろうに。。。 それにアノ音。この響き渡るような音は一体....。)

 「ハァッ....ハァッ....」
肩を揺する様にして歩いていく。ジャン自身の疲労のうえに、自分より体格のイイ男
を背負っているのである。額には汗がにじみ、息は乱れ、足取りはおぼつかなくなっ
ていた。 まだ目覚めない芳岡からの血が、汗と混じって目にかかる。 ジャンは立
ち止まり、薄暗い地面に傷ついた男をソッと横たわらせた。
 「うっ!....」
 おろした時の振動で芳岡がうめく。血は止まりだしているが、傷はかなりヒドイ。
汗と血を拭きながら、ジャンは芳岡を見おろしていた。
 「ズタズタなのはお前だけじゃ、ない。。。。」

 フッと前を見やった時、黒い壁にうつっている自分のポケットが目についた。ポケ
ットが赤く光っているのである。ソッとジャンがポケットからルビーを取り出した時、
ソレは一層強く光だした。すると、芳岡の腰につけてあった賢者の剣も輝きだし、狭い
洞窟は光でいっぱいになった。
 「これは一体....。パーム、なにかの暗示なのか。パームッ。教えてくれ。
  これではまるで、ルビーと剣が同調しあっている様だ。」
ルビーの散々としていた光が集中しだし、赤い光が剣の一点をさした時、洞窟内は元に
戻った。。。
 ジャンがルビーのさし示した剣の部分を触ると、小さなくぼみがあった。試しにルビ
ーをくぼみにはめてみるとそれはピタリとはまり、途端に剣は先刻よりは薄く輝きだし
剣の発散する淡い光が芳岡を包んだかと思うと、フッと消えてしまった。


 「ジャンさん。。 何してんです??」
しばし呆然としていたジャンに気絶していたはずの芳岡が、ノホホンと訪ねる。
みると、芳岡の傷はほとんど治り、血色までイイ。
 「アンタ....大丈夫かいな。ぎょーさん、血が流れとったけど、そない血色がエエ
  んて。。。。 剣の力かいな。。」
 「そう....みたいですね。 それより、ジャンさん。この先の光へ急いだ方がよさ
  うですよ。田中の力が拡大しないうちに、この洞窟からぬけた方がイイ。そろそろ
  追ってもきそうですからね。」
 「芳岡はん。。。。 なんでそないなこと、わかるんでっか。あの怪物が来る、言いは
  まんのんか。田中いう人が襲いにくるとでも?? それに、この先からは奇妙な音
  が聞こえてきてます。ただの所や、絶対にちゃいます。。。。 下手すると入った途
  に首が....。」
 「ジャンさん。でも、ここまで来てしまったんだ。後戻りはできないでしょう。それ
  に、僕はあの光の中に大切な何かがある気がするんです。僕にとって大切な....
。」そう言って光を見つめる芳岡の目には、生気が蘇っていた。芳岡の言葉に多少の不安感じつつ、ポツリとジャンが言った。
 「もし....もしもあの先に何かが「影」だとしたら。」

                     *** つづく ***




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