#801/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (XKG ) 88/ 2/21 17:47 ( 66)
深夜連載小説「噂のスーパーガール」(2)クエスト
★内容
(1)をアップしてから1週間経ってしまい、この連載が始まったことを覚えて
いる人はもういないのではないか、などと思うくらいである。
連載する以上、毎日書くのが一番いいのだが、実際にはなかなかそうはいかない。
小説だからといって、完成度が高い必要はない、いやないことはないが、絶対的
条件だとは思っていない。私としては気楽に書き込みをする要領で小説が書ければ
一番だと思っている。秋本さんがエッセイを始めた理由によく似ている。
だから、毎日書くことはそう辛いことではないはずなのだが、仕事も忙しいし、も
ともと不精者なので、週間連載になってしまうのである。ま、せいぜい感想鬼こと
コスモパンダさんがいみじくもおっしゃったオンライン調の文体を追求したいと
思っています。不精なので、何でもオンラインで済ます私なので。
「噂のスーパーガール」(2)
アイデアの閃きとともに始まったこの小説、今はアイデアの輝きも薄れ...と
いうことはあるが、なんだかんだいっても健作は土曜日のパーティーを楽しみにして
いたようなので、つづきを書いてあげよう。
土曜日の夕方。麗子の家に悪共が集まった。
御影の山の手(御影とは神戸の地名)にある麗子の家は豪壮な作りの洋館風の建物で
ある。何でも麗子の父親はフリーの製薬研究者で、パテントをいろいろな製薬会社に
売ることで莫大な契約金をもらっているそうだ。今は夫婦で息抜きの海外旅行に
出掛けていて、学校のある麗子と留美子の姉妹が留守番をしている。
両親は留守中、まさかここが悪ガキ共の巣窟になるなどとは考えてはいなかった
と思うが、麗子は日頃の素行の良さとは裏腹に不良じみたことも好きななかなかしっ
かりした(?)娘なのであった。
悪共は大きな家の中を走り回ったり、ぎゃーぎゃーふざけあったり、一通り荒らした
後、30畳くらいはあるリビングに集まって、いよいよ乱交、ではなく乱ちきパーティーを始めた。
ヘビメタを調子ずけにガンガン鳴らし、持ち寄ったケンタッキーフライドチキンなん
かを食べちらかし、自動販売機で買ってきたビールや酒を飲んでおお騒ぎ。
普通ならご近所から苦情が入ったりするのだが、麗子の家は敷地も広いし、山の手の
人間は滅多なことでは近所のことに関心を持たないので、平気なのであった。
しかし、こんなことを長々と書くつもりはなかったのになー。読んでる人も退屈かも
しれんなー。まあ、いきがかりや思て我慢して下さい。
麗子が持ち出してきた洋モクなんかも恐々と吸ったり、ちょっとHなゲームなんかも
始まったりして、作者も健作も「ついていけんなー」と思いつつ、楽しんでいた。
「闇カクテルをするわよ」麗子と留美子の姉妹がにこにこと上機嫌で言った。
「闇カクテル」、闇カルテルのような響きをもつそれは、この悪の姉妹が目茶苦茶に
各種の酒、調味料をブレンドしたカクテルもどきをむりやり飲まされるという悪夢
のようなゲームで、死者、廃人も出たと噂されるおそるべきゲームであった。
製薬研究家の親の血を引く麗子姉妹ならではの趣味である。
部屋の明かりを消して、蝋燭を灯し、いやでも怪しげな雰囲気は盛り上がる。
最初の犠牲者は田岡一也であった。籤で一番を引いた一也は「なんで俺、こんな時だけ
一番なんや。いやや、やめてくれー」と絶叫しながら皆の者にとり押さえられ、無理
やり口を開かされ、麗子が優しくカクテルを注いだ。
「ぐわー!」と一也はそこら中のたうち回り、ついでに女の子を触りまくり、やがて
ぐったりとなった。と思うと何事もなかったように起き上がり「なかなか美味しかった
」ととぼけた。「なーんだ」というどよめきが拡がり、田岡一流のパフォーマンスで
あったことが判った。
次々と犠牲者が出、中には本当にダメージを受けた者もいたようだが、パーティーの
熱気に紛れ、表面化しないまま、部屋の片隅で息を引き取った。ということはないが。
ついに健作の番がきた。「いまさらじたばたしても仕方がないな」と思って健作は
麗子に渡されたカクテルを一気に飲むつもりだったが、それでは芸がないので、部屋
中を逃げまわり、きゃあきゃあとはしゃぐ女の子達が見守る中でとり押さえられ、
無理やり飲まされるという手続きを踏んだ。
カクテルは案外美味しい味がした。「さて、どんなふりをしよう。ここでしゃれが
わかるかどうか、受けるかどうか決まるし...」と健作は考えて....
意識が急に薄れた。カクテルはどうやらおそるべき効果を表したらしい。皆の
心配とそれを上回る好奇心を見せて覗き込む顔がぼやけていき、健作はどつぼにはまった自分を呪いながら気を失ってしまった。
つづく