#444/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (HHF ) 87/10/28 20:24 (110)
EARTH 《後編》 ■ 榊 ■
★内容
けるために。」
少女は顔を上げ、驚きと言うよりは、頼るような視線を天使に向けた。
天使は少女を元気付けるために、ウィンクすると、少女の手を取った。
「それじゃあ、いくよ」
二人は消えた。
ACT.
地球からみるより、遥かに多い星。遥かに輝く太陽。
そして、白く光る月。
そして、そして、何にも勝る青色の地球。
二人は宇宙空間に漂っていた。
少女は驚くより先に言った。
「きれい………」
地球が。
それは、地球から見るどの星よりも綺麗な、紺碧の地球だった。
少女は、視界いっぱいに広がる青い地球を、しばらくうれしそうに眺めていた。
妙な浮遊感。不思議なあったかさ。そして、不思議な感動。
地球はいま広大なユーラシア大陸をうつし、その右端に細長い日本があった。
「この地球で、人は動いているんだ。
ある人は働き。ある人は眠り、ある人は戯れ、そして、ある人は悩む。
でも、この広大な地球から見ればちっぽけなことなんだよ。
だから、人は今日を精いっぱい生きる。
そして、自分を見つけ、それで一生を終る。
だけど、地球は変わらず、青く輝く」
天使は独り言のように話すと少女の方に顔を向けた。
「ちょっと難しかったかな。」
「解ったような気がする………ううん、解ったわ!」
少女は、地球から何を学んだのか、その目の輝きは夢を見つづける少年のような目だった。
「生きてみる?」
天使は少女の顔をのぞき込むようにして聞いた。
「うん! やってみる」
そういうと、天使は満足げな笑みを浮かべ、二人はまたさっきのように消えた。
元の場所に戻ったのは、少女だけだった。
けれども、少女の顔に寂しさはなかった。
「天使さん! 見ててね! 私、世界を変えてみるわ!」
ACT.
灰色の空間「「「
その空間には、一台のTVと、一人の男がいるだけだった。
男は死んだはずの死神だった。
そして、TVには青い地球が映し出されていた。
死神は鼻に貼ってある、少女に貼ってもらったバンソーコーを少し笑いながら撫でていた。
その時、何もない空間から、一人の男が現れた。
死神はそれに気づき、そちらの方を向いた。
「あっ、結構早かったね。お兄ちゃん」
その男は天使だった。
天使は笑いながら何もない空間に腰掛けた。
「いやー、母さん若い!」
「かわいーねー」
死神は幼い笑みを浮かべて、手をくるりと回した。
その手には、ブランデーのはいったグラスが2つ握られていた。
そして、その1つを天使に手渡す。
「はい」
「ん、ありがと」
天使が受け取ると、死神が言った。
「じゃ、乾杯しよう!」
死神がグラスを前に出して言った。
「母さんに!」
天使もグラスを前に出して言った。
「人類に」
そして、二人はグラスをあてた。
「乾杯!」
それから20年後。
あの時の少女は、ワープ航法なるものを発明し、人々は宇宙に向かってはばたき始めた。かくして、地球は破壊されず、人々はまた夢を抱く時代に入った。
そして、その少女の元に、2人の男の子がお生まれになったとか…………
地球に栄光あれ!
FIN
後書
これを書いたのは必殺、<高一の時>でした。(ちなみに今は高2です。)
憶えていますか?
自殺する若い少年少女が相次いだ事件を。
その時、「慰めるなら、どうしたらいいのだろう………」と思ってこれを書きました。
いま見ると、どこが慰めているのだろうと思いますが、結構その時は真剣でした。
自分には打ち込めるものが沢山ありました。
幸せな生活と断言できます。
しかし、その分彼らの死は、胸にこたえました。
自分の知らない世界での出来事のような。
でも、無視することはできない世界。
彼らの心理は解らないでもありませんが、そんなことを殆ど経験したことのない僕は、解っているといってもやはりうわべだけの物。
この小説を書くことによって、少し解ったような、解らなかったような。
でも、これから解って行きたいと思っています。
それと、もう一つのテーマに、人類の問題が少しだけ入っています。
人口爆発、食料機器、自然破壊etc.etc.
それを僕は宇宙に飛び出すことによって解決、と言うより決直を遅くすると言う方法を考えました。
色々考えてみましたが、やはり人間は滅び易いです。
せめて時間を引き延ばせれば、と言うとこれが最良なのではと思いました。
みなさんはどういう考えをお持ちでしょうか?
これも何が言いたいのかよく解らないような駄作ですが、批評、待っています。
(HHF99190) ■ 榊 ■