#364/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (BMD ) 87/ 9/30 22:23 ( 84)
珍作劇場・ あなざー シンデレラ(2)完結 ・COLOR
★内容
壮大なスケールの超大作(?)もいよいよ最終回です。
これを読んでくださった皆様全てに「ありがとう」を
−−−−−−−−−−−−−−−−S.62/09/30・COLOR−−−−−−
シンデレラはとにかく走りました。人間とは思えないほどの走りっぷりです。
ひょっとしたら神の領域にも近付いていたかも。まぁそのためか明けの明星がみえる
ころにはシンデレラは自分のベッドの中で倒れていました。
幸いシンデレラは誰にも見付からずに家に忍び込めたので後は姉に言い訳をすればO
Kです。シンデレラはただひたすらに眠っていました。幸せの時間です。
「シンデレラ! 起きなさいっ」
束の間の幸せは姉のダミ声によって破られてしまいました。時計を見るともう8時を
回っていました。ふだんは5時には起きるシンデレラなのに・・・よっぽど疲れていた
のでしょう。
−−−あぁ まだ寝足りないな・・・
シンデレラは内心愚痴をこぼしながら立ち上がりました。
「うっ!」
シンデレラはうめき声を上げるとそのまま床に倒れてしまいました。
「え、神経痛?」
姉が言いました。
「そうみたい、 いたた・・・」
普段あまり家から外に出ないシンデレラは可哀そうにも強度の神経痛になった様です。
「バカねぇ、あんた運動不足なのよ。たまには外にでも出てマラソンでもしなさい。」
姉は自分の事を棚にあげ、こう言い残すと部屋から出て行きました。
まぁどうやら今日は家事から逃れられたみたいです。
「あれっ?」
シンデレラは姉が忘れていったらしい紙が落ちていることに気付きました。
痛い体に鞭打って拾ってみるとそこには・・・
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
★タイトル 捜査>昨日の舞踏会に僕と踊った女の子(Tのみ) Byこの国の王子
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
となっていました。何て事でしょう。王子は本気でシンデレラを探すつもりなのです。
さらにシンデレラは証拠物件まで残してあります。あ、あれは魔法が解けたんだっけ。
シンデレラは横になったまま考えました。
【シンデレラの考え】
もし、私があの娘ですって言ったら・・・あの様子じゃ無理やりにでも結婚させられそ
うだわ。顔は悪くないんだけど性格がね。それにお姉さんがヒガむし・・・
う〜ん困ったなぁ。まぁどのみち私はここを動けないけど・・・
困ったのは王子様、名乗り出て来る人は多いけれど老若男女、様々な人がいます。
しかし「これだ」と思うひとはただの一人もいませんでした。
ついに切れた王子は外国から腕のいい絵書き、彫刻家などを呼んであの娘の絵、彫刻
を作らせました。
さらに舞踏会を毎日開きあの娘が再び現われるのを心待ちにしていました。
さて神経痛も癒えたシンデレラは買い物に出ました。そして・・・壁に自分の似顔絵
が貼ってある事に気付きました。王子が描かせた絵がついにこの村にまで来たのです。
シンデレラは大急ぎで自分の家に逃げ帰りました。
「シンデレラ、お前だったのかい?」
家に着くなり姉に聞かれました。どうやら姉も似顔絵を見たようです。
【 姉Aの考え 】
こ、こまった。王子が必死こいて探している娘がシンデレラだったなんて・・・誤算だ
ったな。今まで散々いじめていた事をシンデレラにチクられたら・・・首が飛んじまう
可能性があるよ。どうしよう、ん? それしかないか。
「シンデレラっ、ここから逃げなさい!」
突然姉が叫びました。シンデレラには何が何だか分かりません。
「えっ?、えっ?」
「王子は今まで出て来なかった貴方を憎んでるわ。そうね、いわゆる『可愛さ余って憎
さ100倍』って奴ね、さぁ後は私が引き受けるから貴方は裏から・・・早くっ」
【シンデレラの考え U】
いったい何をたくらんでいるの。まぁいいわ、私もあの王子は好きじゃないし・・・
ここは姉の言う通りにした方が得策ね。
「分かったわ」
利害関係が一致してシンデレラは裏口から逃げたしました。
そして国境付近に近付いた時シンデレラは国に革命が起こった事を知らされました。
どうやら毎日の舞踏会や高い金で職人を雇った事に対する不満が爆発したみたいです。
革命軍は現在城を攻めている最中で、この革命に参加する国民がどんどんふえてきてい
るそうです。城が落ちるのも時間の問題でしょう。
「おごれる王子は久しからず」
シンデレラはそうつぶやき、今来た道を軽い足取りで戻って行きました。
< おしまい >
BMD66811/COLOR