#356/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (BMD ) 87/ 9/27 1:22 ( 56)
珍作劇場・ あなざー シンデレラ(1) ・COLOR
★内容
あれっ、「珍作劇場」って「錬金術師の冒険」の・・・まぁいいや。
と言う訳で「あなざー シンデレラ」です。
S.62/9/25
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「キーンコーン、キーンコーン」
12時の鐘がなっています。シンデレラは舞踏会から飛び出して階段を走って来まし
た。
「まってくれっ!」
必死で追いかけて来るのはこの国の王子様です。
シンデレラは後ろ髪を引かれる思いで走ります。しかし
「あっ」
シンデレラのくつが脱げてしまいました。でも拾って履くにはあまりにも時間があり
ませんでした。
しかたなしにシンデレラはそのまま走り去って行きました。
王子はそのガラスの靴を拾いました。そして持ち主を、シンデレラをさがそうと決意
したのです。
「ふう、ふう もう大丈夫ね」
シンデレラは城から見えないところまで走ると小休止しました。いくら若い娘でも疲
れはあるのです。そのまえに踊っていたのを考えれば仕方がないでしょう。
「ふう、ふう」
息の整ってきたシンデレラは自分の格好を見回しました。すでに魔法は解けています。汚い服装、ボロの靴、乱れた髪、どれをとっても1時間前の自分とは比べ物になりませ
ん。シンデレラは少し悲しい気分になっていました。その時です。
「パカッ、パカッ、」
馬のひづめの音がしました。王子が馬に乗ってシンデレラを探しにきたのです。
シンデレラは慌てて隠れようとしました。しかし目ざとい王子はシンデレラを見付け
てしまいました。
王子はシンデレラを呼びとめこう言いました。
「おいっ! そこの娘 おまえだ。今ここを美しい女性が通りはしなかったか。黙ってちゃわからんだろう。貴様この俺を知らんのか? 俺はこの国の王子なるぞ」
王子は剣に手をかけました。
なんと王子はそこの娘が魔法の解けたシンデレラと言う事に気付いていないようです。シンデレラは恐しくて声が出てきません。
「・・・・・」
「ふん、今日は急いでいるから許してやろう。だが今度俺にあった時にも挨拶をしない
ようなら・・・斬るからな。」
王子はそう言いながら去っていきました。
シンデレラはとたんに腰を落としました。よほど緊張してたのでしょう。
「あ、いけない」
シンデレラは立ち上がりました。
城で12時だったのだから今はもう1時を過ぎている計算になります。
意地悪な姉達は馬車で帰ったはずですからもう家についているかもしれません。
きっとシンデレラがいない事に気付くでしょう。そして怒られるでしょう。
シンデレラは困りました。シンデレラだって一応年頃の娘です。彼女の住む村は狭い
村ですから朝帰りなぞしたらその日のうちに知れわたってしまいます。下手をしたら姉
に一生言われるかもしれません。
「よしっ!」
シンデレラは決断しました。
そして彼女はスカートをひるがえして、はるか遠い村目指して走りだしました。
負けるなシンデレラ、かんばれシンデレラ。君の戦いはまだ始まったばかりなのだ。
< つ・づ・く(可能性はある) >
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