#3205/3611 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 24/09/07 16:44 ( 41)
最後に誰も笑わない 永山
★内容
TBS系で放送のドラマ「笑うマトリョーシカ」最終回を録画視聴。ネタバレ注意で
す。
大オチはあったけれども、総じてすっきりしない展開が続いた感じ。
まずはオチ。今の清家を操るハヌッセンは誰か?という問いには、清家は今だけでな
く過去も含めて誰にも操られていなかった。分かっていてやっていたというどんでん返
しがあった訳ですが……数多く出た仮説の中で、一番インパクトがあるだろうなと思え
るネタだったため、意外性はさほどでもないかな。伏線不足だった気はしますが、物語
の構成としてはこれが最高の形なんでしょう。
で――清家は自分というものが分からず、何をしたいのかも分からない。だけど人に
操られた挙げ句に見くびられるのは嫌だ、だから自分を操る人間にとって「さあこれか
ら」というタイミングで、相手を切り捨ててきた――とのこと。こういう変わったキャ
ラクターを完全に理解するのは難しいのかもしれないけど、とりあえず、つまらない人
生を歩んできてるんだろうなとは思う。やりたいことがないというのなら、総理大臣に
なっても満たされることはなく、未来に向けての展望もない。操ってくる相手を切り捨
てたのは、復讐の意味合いが強いが、いざ切り捨ててしまうと、次なる操ってくれる人
がいなければ何もできない。正直、これでは「見くびってください」といっているよう
なもの。自ら復讐の種を蒔いて芽吹いたところで刈り取っている。
清家の実父・和田島は清家に「おまえは俺と似ている」「操ろうとしてくる人間を利
用してやるんだ」みたいな台詞を吐きましたが、やりたいことのない清家にとって、
「操ってくる相手を利用する」が目的化している。そういう観点で言えば、実父と清家
は似て非なるものだったんだろうな。
疑問だったのは、清家は操ろうとしてくる人間の善し悪しをどう判断していたのか
と。極端な話、到底実現不可能なお花畑なビジョンを持ち込んでこようとする人間が現
れていたとしたら、それを拒む選択が清家にできたのか。ほいほいと受け入れていた
ら、途中で潰されていた可能性もある訳で。欲はなくても善し悪しの判断はつくという
なのかな。そうだとしても、世の中、善し悪しだけでは判断できないこともあるし……
結局は有能なブレーンがいないとどうしようない。
あと、羽生首相は任意で事情聴取を受けた際に、清家の秘密を供述しなかったみたい
だけど、何でだ? 物的証拠はなかったみたいですが、あとになって記者に話すくらい
なら、死なばもろともで、清家にダメージを与えようとは考えなかったのか。
序盤、清家のブレーンにならないかと打診された道上が、ハヌッセンの正体を探るた
めという目的を秘めて引き受けるも、道上自身がハヌッセン的立場になっていく辺りは
面白かった。その危うさに自力で気付いたので、清家から一定の評価をされることにな
るというのは理にかなっている。
清家というキャラは、櫻井翔にとって当たり役になったと思われますが、上にも書い
たように珍しい設定の人物像であり、似たタイプを含めてもそうそうない役柄。では続
編に期待かというと、原作はこれで終わりのようですし、ドラマオリジナルで続けよう
とすると必然的に清家の独り立ちを描かざるを得ないだろうから、そこをうまく演じら
れるかどうかというと、一抹の不安が。(^^;
ではでは。