#3126/3613 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 24/06/22 14:44 ( 28)
予想通りの意外さ、予想外の健闘 永山
★内容
フジテレビ系で放送のドラマ「イップス」最終回を録画視聴。ネタバレ注意です。
お〜、ひっくり返してくれた。やっぱり、当初こそ“意外な犯人”であっても、最終
回に至るまでの道程でああもあからさまだと、裏があるよね〜。動機は酷かった(伏線
不足という意味で)ものの、予想外の予想通りということで、この点に関してはよかっ
た。
でも、今回のエピソードに限らず、全体を通して手際の悪さが目立つのも動かしがた
い事実。真犯人を疑うきっかけがあの発言というのは何の感銘も受けない、むしろ牽強
付会じゃないの?と言いたくなるレベル。仮に、森野刑事自身が犯人の残したメッセー
ジを分析したら、きっと似たような論を展開していると思う。すでに犯人の性格を完全
主義者であると見抜いているのだから。
犯人を特定し、追い詰めるのも、自宅を捜査して凶器を見付けたというのでは、味気
ないにも程がある。こういった点をちゃんとしたアイディアで転がせていたら、ミステ
リ的には成功だったと言い切れたかもしれない(途中がどんなにつまらなくても最後が
よければ高評価になり得るのがミステリ)。
結局このドラマ、魂は本格で、その心意気はよしとしますが、技倆が追い付かなかっ
たという印象です。各エピソードの倒叙ネタだって、中の下〜下の上ぐらいの出来映え
が多かったと思うけれど、及第点クラスがあと二つ三つあれば、もっと評価はよくなっ
ていたはず。それだけに非常に勿体ない。
最後に、黒羽慧の行動原理についての疑問を。弁護士のくせに警察は信用ならないか
らって通報はしない、指紋を拭き取る、携帯端末を捨て、挙げ句の果てに行方をくらま
すというのはあるまじき行動。ただ、ここで言いたいのはその行動ではなく、八年前の
事件を調べ始めた理由。事件がきっかけで小説を書けなくなった姉・黒羽ミコの苦しむ
様を見たくないから、とのことでしたが、ちょっとおかしくないか。ミコのイップスは
自身の小説を模倣した殺人事件の発生そのものが原因であり、収監された“犯人”は冤
罪かもしれないという点は関係ないのでは。慧がまず「八年前の事件はまだ終わってい
ない」と確証できる何かを掴み、そこから動き出すのならまだ分かるんですが。
ではでは。