AWC 小説『十角館の殺人』の読み方   永山


        
#3125/3613 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA     )  24/06/21  17:29  ( 29)
小説『十角館の殺人』の読み方   永山
★内容
 『十角館の殺人』が話題になっています。三十七年前に刊行された作品が、ドラマ化
をきっかけにして今また評判になるのは、ミステリ好きとして普通に嬉しい。(^^) 映
像化不可能とされていたミステリのドラマ化(及び成功)というのが大きいのでしょ
う。※なお、自分はまだ観ていません、ドラマ版(汗)。

 『十角館の殺人』に対する感想・評価は概ね好評でしょうが、当然、人には好みや向
き不向きがありますし、時代の違いなどからくるミステリのパターンに対する慣れによ
り、たまたま直感的に真相を見破ってしまったということもあり得ます。
 そんな中、他人事ながら納得できないというか、首を傾げてしまうのは、「あんな最
も怪しい人物が犯人だなんて、意外でも何でもない」という旨の感想。このタイプの感
想を書いている人は、例のトリックも察していたとしていることが多いみたいです。確
かに、例のトリックを事前に察した上で、あの衝撃の一行を読んでも、ちっとも衝撃じ
ゃないでしょう。
 でも、ちょっと待って。このタイプの人に問いたい。
 “あなた”は本当に『十角館の殺人』をきちんと読みましたか?と。
 何故なら、推理物のルールを分かった上で『十角館の殺人』を読んだのであれば、途
中で犯人を容疑者の枠から外さざるを得ないはずなのだから。
 ネタバレを避けるために詳しくは記しませんが、推理物の読み方を承知している人な
ら、どれだけそいつ(最終的に犯人と判明する人物)が怪しかろうと、ある地点で「
ん?」となって、犯人ではなかったのかと思うはず、思わなければならないと断言して
もいいくらい。少なくとも一読したのみではあのシーンに込められた意図は見抜けな
い。見抜けたらおかしいといって構わないでしょう

 上で記したような感想を見掛けると、ミステリの読み方が今の世間にどのくらい浸透
しているのか、気になってきます。冗談でも何でもなく、読み方を知らないとそのミス
テリ作品を十全に味わえない、騙され損なう・驚き損なうということが起こり得るの
で、勿体ないと思う。

 ではでは。





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