AWC これも一つの温故知新?   永山


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#2610/3698 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA     )  23/03/20  20:24  ( 27)
これも一つの温故知新?   永山
★内容                                         23/03/20 20:30 修正 第2版
 昔(古代・中世)の検屍方法及び捜査方法、続き。
 中華風ではなく、中国時代推理の作品を読んでいて、驚いたことが一つありまして。
 吉川線(首吊り遺体の自他殺判断の基準の一つ。大正時代に警視庁で鑑識課長を務め
た吉川氏が学会発表)が用いられているくだりがあり、「あれ? これ時代的におかし
いのでは」と思ったのですが、念のために調べてみると、十三世紀に記された『洗冤集
録』にいわゆる吉川線のことが簡単にではあるが、記されている、みたい。
 おかげで、自分で書くときは気兼ねなく使えるようになったです。(^^)
 その一方で、吉川線が既に用いられたくらいなら、指紋あるいは指紋とまでは行かず
とも手のしわぐらいは、証拠あるいは偽装手段として用いられていても全然不思議じゃ
ない気がします。今のところ記述を見付けられないだけで。

 『棠陰比事』で参考になりそうなのは三つだけと前に書きましたが、念のための補
足。乱歩が『探偵小説の「謎」』で紹介していた二つの引用例を含めると、五つになる
なと。
 一つは祭さんが言及していた焼け跡から出て来た死体の煤云々で、もう一つが、ひと
束の糸を巡る争い。砂糖屋の老婆と釘屋の老婆がどちらも「その糸束は自分の物だ」と
主張して譲らない。裁判官は部下に、糸束を天井から吊し、根気よく叩かせた。結果、
糸の下には細かい鉄の粉がたまった。この糸束が釘屋に長く置かれていた証拠であると
して、釘屋の老婆の訴えを認めた――ってな具合。
 これは間違いなく応用が利きますよね。糸束じゃなく、衣類でもいいし、絞殺の凶器
に使われた縄でもいい。さらに発展させて、たとえばわらじが重要な証拠物件だとし
て、たまたまたき火あとの燃えかすの山に落ちた過去があったとか、以前にイタチに持
ち去られて、巣作りの材料にされていたのを取り返したとかの状況により、わらじを叩
くことによって得られる証拠がまったく別の物になってしまい、推理を誤るなんてパ
ターンも考えられるかなと。

 ではでは。





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