#2463/3684 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 22/10/29 19:45 ( 23)
参考までにホワイダニット 永山
★内容
殺人の動機。
これは私見になるのかもしれないですけど、ミステリにおいてホワイダニットといえ
ば、単に(犯行の)動機は何なのか?だけにとどまらず、一見するとどうしてそんなこと
をやったのか、動機が分からないという“謎”を多少なりとも秘めている場合を差すん
じゃないかと思っています。まあ、ホワイダニットと呼ぶだけではまぎらわしいので、
“ホワイダニットの謎”“動機の謎”と呼称するのが正確かしらん。
ではどんなものが動機の謎と言えるのか。
たとえば、確か江戸川乱歩が挙げていた作例では、子供のときからずっと仲良しだっ
た幼馴染みのAとBがいて、あるときAが殺された。状況から見て犯人はBであると考
えられたが、動機が分からない。徹底的に調べても何も出て来ないため、逮捕に踏み切
りにくい。実はAとBは小さな頃から何かと同じ事柄で競っていて、しかも常に僅差な
がらAがBを上回っていた。悔しさが積もり積もって、あるときついに爆発した結果、
BはAを殺害するに到った……。
あるいは、某女流作家の長編で描かれた事例を、ちょっと変えて記すと――加害者A
と被害者Bはほぼ面識がないに等しい間柄だったが、初対面のときにある会話がきっか
けで、Aは過去のことを察する。それは、Bが知らない内にAに風邪をうつしていた。
その風邪のせいで、Aは人生における大きなチャンスを逃した、ということ。今さらと
片付けることの出来ない事情があったAはBを殺害する――ってな具合に。
そういえばエイズが世に出始めて、不治の病という認識だった頃に書かれた短編ミス
テリでは、エイズをうつされたと思い込んだ人物が、相手を殺害するという筋書きがあ
りました。
ではでは。