#1862/3586 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 21/07/26 19:45 ( 24)
ミステリとしての意外性はないが 永山
★内容
BSテレ東で放送の松本清張ドラマ「不在宴会」を録画視聴。ネタバレ注意です。
二〇〇八年に地上波で初放送された模様。原作は松本清張の同名短編小説、未読で
す。
視察目的で福島を訪れた三浦友和演じる役人が、ついでに愛人とよろしくやろうとし
ていたのだが、宿に行ってみると愛人は殺されていた。さあどうしよう、逃げよう……
という出だしのお話。ここから緊迫感溢れる推理サスペンスが繰り広げられる、と期待
していたのですが、どうも違った。
誰が殺したのか、役人はあれこれ推理するのですがことごとく外れる。まあ、それは
巻き込まれ型サスペンス物の王道だからいいんですけど、役人の方が追い詰められてい
く感じがあまり伝わってこない。役人は勝手に恐れ戦いているのですが、警察の捜査が
直に役人に及ぶまでが長いせいで、追い詰められる感が鈍いのかも。
それよりも何よりも問題なのは、偶然の多用。たとえば犯人が殺害決行のタイミング
は、主人公たる役員が宿に着く直前で、見付からなかったのは幸運なだけ。役人が、脅
迫者を殺害してくれるよう頼んだ相手が交通事故死するのもたまたま。他にも作者都合
による偶然があまりにも多く、突っ込みどころ満載。
そもそも、咄嗟に風呂場で殺害することが無茶。服を脱いでいない犯人はお湯でびし
ょ濡れになったまま、現場を立ち去っている。誰にも見咎められず、気にされることも
何なんて、あり得るかしらん?
てな感じで、雰囲気は推理物ですがその実、推理物の要素は薄く、悪運の強い男が最
後に落とし穴にはまるという、「世にも奇妙な物語」めいた話でした。松本清張がこん
な物も書いていたのねという意外さと、三浦友和がこんな役を演じるのかという意外さ
から、ある意味珍品と呼べるかもしれません。
ではでは。