#314/3622 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 17/12/27 21:34 ( 32)
鬼が出るか畜が出るか 永山
★内容
テレビ朝日系で放送の松本清張ドラマ「鬼畜」を録画視聴。ややネタバレ注意です。
これまでに映像化された「鬼畜」を多分2パターン観ていますが、その二作同士を比
べると(当然かもしれませんが)似たテイストの映像作品になっていたと思います。だ
から、今回もまた同じような感じなのかなと、さほど期待せずに観始めました。
観始めてしばらくすると、構成がこれまで観たものとは明らかに違う。脚本を結構い
じっている。そうと分かれば、興味がわきます。そして進む内に、これはこれでよい物
語になりそうだという予感が。
これまでに観た「鬼畜」は、悪意や嫌な感じがそこかしこにあって、後味の悪いもの
でしたが、今回の「鬼畜」はぎりぎりのところで救いが残ったという見せ方、造りにな
っていたと思います。そうなったのは、構成の組み直しが大きいのでしょうが、それと
同じくらいに影響が大きかったのは、主演を務めた玉木宏かも。
最初、玉木宏が主演と知った時点では、「鬼畜」の主人公・竹中宗吉をやるには優男
に過ぎるんじゃないかと頼りなく感じたです。が、蓋を開けてみると、まず竹中のキャ
ラクターが若干違う。気の弱い性格を打ち出すのなら、玉木宏の長所を存分に活かせそ
うだと思いましたが、その通りになったんじゃないでしょうか。
どのくらい原作を改編してくるのか分からないので、ほどよい緊張感を持って観られ
たのもよかった。序盤で、もしかしたら玉木演じる竹中は何もしておらず、従業員の男
の犯行なのではないかと考えたほど。普通ならここで緊張感が途切れそうなものですけ
ど、その後も、よく知る「鬼畜」のストーリー展開とは異なる点がちょくちょく出て来
て、緊張感が持続されました。
ただ、悪い意味で気になる点もありました。時代を現代に移さず、昭和のままにした
のは、防犯カメラの多寡が結構大きな理由な気がします。そういった配慮をしておきな
がら、刑事の尾行に関しては、非常に恣意的に用いている。ある時点ではしっかりと張
り付いていたのに、一番肝心なときに他の事件で人手が足りないからと、あっさり引き
揚げさせているのはやはり不自然。ここをカバーしてくれていたら、文句なしの傑作と
呼べたかもしれないのに、ちょっと勿体ないなぁ。
ついでにもう一点。次女が見付かったあと、竹中宅を婦警が訪ねてきて、竹中が不在
と知ると、帰ってきたら連絡をくださいと言い置いて帰ったのに、帰ってきた竹中が婦
警に連作を入れた描写はなし。ここで連絡を入れて、次女発見を知らされていたとした
ら、多少違った展開になったかもしれない。
ではでは。