#246/566 ●短編
★タイトル (dan ) 04/12/13 06:01 ( 46)
小説家について 談知
★内容
小説はどのように書いてもいい。どんな形式で書いてもいいし、
どんな題材を書いてもいい。要はそれが面白いかどうかだ。正しい
とか間違っているとか、そんなことはどうでもいい。その小説を読
んでいる間熱中できたか夢中になれたかどうか、それだけが重要だ。
同様に小説家というのも、どんなひとでもいいわけだ。真面目で
正直な小説家だってあっていい。何も無頼で嘘つきなだけが小説家
というものではないだろう。しかし、やはり真面目で正直というの
は、小説家の資質としては、ちょっと問題があることも事実だろう
な。小説というのは基本的に嘘を書くことだから。どんなに事実に
基づいた作品でもどこかに嘘があるから小説なのだ。私小説でも、
かなり嘘なのは事実だ。エッセイでも嘘八百というのは当たり前で
ある。嘘の中に真実があるというのが、小説であり、小説家の書く
文章である。
となると、小説家の資質としては、どうしても無頼で嘘つきとい
うあたりに行き着いてしまう。ワタシなど嘘の含有量が少ないタイ
プの人間なだけに、こういうのは小説家としてはあんまり向いてな
いのかなと思う。もちろんそれは正直ということではない。ワタシ
は明らかに嘘つきである。嘘つきだけれど、その嘘の量が少ないと
いうことだ。あんまり大嘘はつけないタイプらしい。
また真面目ではいけないという点についても困ってしまう。ワタ
シはかなり真面目なのだ。普段は結構おちゃらかしタイプで、不真
面目なように取られることが多いが、それは自分の真面目さをごま
かすためにそういう態度を取っているわけで、ワタシの本質は真面
目だろう。その真面目さが嫌で、外には逆の態度を取るわけである。
まあなんというか、真面目で正直というのが、ワタシの本質だろう
と思う。そうなると小説家の資質としてはかなり問題があるという
ことだな。
そうなると、真面目な人間でも書ける文章、正直なタイプでも書
ける小説というものを書いていくしかしょうがないね。まあ真面目
で正直といっても、そこそこ真面目、そこそこ正直ということで、
四角四面の固い人間ではないし。普通のひとくらいの正直さ真面目
さということだからね。
考えてみると、ワタシの人生というのは、自分の真面目さを打ち
破ろうとする人生だったのかもしれない。実は高校を卒業するとき
公務員の試験を受けて合格しているのだ。まあそれは大学に受かっ
たため辞退したのだが、もし公務員になっていたら、それはもう四
角四面のきっちりした人生を送っていたと思う。それが本来のワタ
シに合った人生だったかもしれないが、そうはならず、こんな無頼
ともいえる人生を送ってしまった。こんだけいろんなことして、無
頼ともいえる人生を送っていて、それでもなお真面目なのだ。真面
目が直らなかったわけである。何だかワタシって、よっぽど真面目
だったんだろうな。
まあこれからどうなるか分からないが、もうこのままでいくしか
ないね。これまでの人生をかけても真面目が直らないとなると、こ
れから直るということもないだろう。真面目が書く真面目な小説で
いくしかないと思う。真面目な作家の誕生をこうご期待。