#243/566 ●短編
★タイトル (dan ) 04/12/08 07:24 ( 51)
ネパールトレッキング 談知
★内容
むかし、さかんに旅をしていた頃、ネパールにいき、そこでヒマ
ラヤトレッキングをしたことがある。
ネパール第二の街ポカラ。とってもカトマンズが歴とした都会な
のに、そこはほんとに田舎町という感じであるが。そこから出発し
て、アンナプルナやニルギリといった山を巡ってジョムソンという
ところまで。しゃにむに歩けば片道一週間、往復で二週間といった
行程だが、あちこちぶらぶらしながらいったので一ヶ月くらいかか
った。
ネパールには有名なトレッキングコースがみっつある。もっとも
知られているのは、いわゆるエベレスト街道。エベレストにいくト
レッキングコースである。それからカトマンズ郊外から出かけるラ
ンタン谷コース。そしてこのアンナプルナコースである。実はこの
コースが一番歩きやすい。比較的低いところを歩くということもあ
る。もっとも高いところでせいぜい3千メートルくらいの高さであ
る。3千メートルといえばかなりな高さではと思うだろうが、そも
そもネパール自体千メートル以上の高地にあるわけで、そこから登
るにしてもしれている。それに3千メートルというのは最も高いと
ころで、ほとんどのところはせいぜい2千メートルくらい。だから
そんなきついコースではない。日本のハイキング程度だと思ってよ
いのだ。
トレッキングコースといってもそういうものがあるわけではない。
現地のひとが歩いている道である。ラバに荷物を満載した隊商が通
るみちをトレッカーも歩いていく。道はけっこう狭い。場所によっ
てはひとひとりやっと通れるほどのところもある。
泊まる宿は結構整備されていた。ワタシがいった当時でも、すで
にトレッキングはブームになっていた。めざとい現地のひとが、そ
れらトレッカー目当てに山小屋風の宿を建てていた。途中で通る村
や、峠とか、ほとんど半日ごと位には宿はあった。もちろんベッド
が並べてあるような安宿であるが、けっこう寝れた。またそこでは
当然ながら食事もとれた。
コースの中程にあるタトパニというところには、現地の女性と結
婚した日本人男性が宿をやっていた。ちょうど峠を越えて降り立っ
たところにある村だったので、どっと疲れがでて、一週間ほども滞
在した。ここは河原に温泉がわいていた。温泉といっても、ちょっ
と穴をほってある程度のものだが、湯につかることができて疲れが
とれた。とにかく日本人御用達の宿のようになっていたので、けっ
こう日本人のトレッカーがたまっていた。10人くらいいただろう
か。他にもトレッカー用の宿は何軒もあり、その村全体で4、50
人くらいは泊まっていたというから、日本人もけっこういたわけで
ある。毎日あれこれ話たりマリファナを吸ったりのんびり日をすご
した。もうこれで十分だからここから引き返してもいいかなと思っ
たが、他の日本人トレッカーが次々出発するので、ワタシもひっぱ
られて出発してしまった。
そのあたりから荒涼とした風景になる。まるで月面かというよう
な景色である。チベットという感じの風景である。途中の村のひと
もチベット人みたいな感じのひとが多くなった。最終目的地のジョ
ムソンについてほっとした。
2、3日いてまた同じ道を引き返した。またタトパニの宿に何日
か泊まって帰った。
一ヶ月かかってヒマラヤを歩いた。今でも忘れがたい思い出であ
る。あれこそ青春時代の旅だったのだなと思う。