#230/569 ●短編
★タイトル (dan ) 04/11/25 06:54 ( 29)
本を片づける 談知
★内容
いつも本が山積みになっている部屋にいる。どだい本を買いすぎ
なのである。ひと月最低50冊、最高100冊くらいは買っている
と思う。そのほとんどはブックオフの100円本である。だから1
00冊買って1万円である。今日び1万円くらい外出したらすぐで
ある。それを思うと、1万円で100冊の本が買えるというのは、
ほんとワタシにとってはいい時代である。
いい時代なのだけれど、そんだけ買うと、本がたまっていくとい
う問題が生じる。数ヶ月そんなふうに買っていくと、部屋のなかは
本だらけということになる。いくら本が好きなワタシでも、部屋で
本の山が林立している状態は嫌である。で、どうするかというと、
結局捨てることになる。時間が合えば、地区の子供会の廃品回収に
だすこともあるが、まあ大抵は捨てている。思い立った日が捨てる
日ということもあるし、捨てるのが一番簡単な本の処理方法である。
昔だったら本を捨てるなんて考えられない感じだろうが、今のこ
の状態ではしょうがない。狭い団地の家である。本を入れるところ
なんて押し入れしかない。その押し入れにももう本がいっぱい詰ま
っている。これ以上入れるところはないのである。
本をゴミ袋にいれてゴミ収集所に置く。何か罪悪感みたいなもの
がわく。胸に小さな痛みが走るような感じがする。本をゴミと一緒
に捨てるなんて、と思う。でもしょうがないじゃないかと弁明する。
もうこれ以上の本を置く場所はないのだ。成仏せいよ、とつぶやい
たりする。
部屋へもどると、本のなくなったすっきりした部屋である。ずい
ぶん自由な感じである。本であれ何であれありすぎるとよくないの
である。そんなにあると、次第に自分の自由を拘束してくる。そん
なもんである。
さあて、本もなくなったし、と思い、それからまたブックオフへ
いって、100円本10冊ばかり買ってきたりするわけである。
ああ永遠の循環。