AWC 「仏教高校の殺人」4    朝霧三郎


        
#577/598 ●長編    *** コメント #576 ***
★タイトル (sab     )  21/10/31  08:54  (392)
「仏教高校の殺人」4    朝霧三郎
★内容


 翌日、部室で、文化祭の催し物の反省会があった。
 部員8割がたが参加して、部室に車座に座って侃侃諤諤やった。
「もっと催眠ショーみたいにして、大勢の前でカタレプシーにして
ヒューマンブリッジでもやってやればよかったのに」
「催眠ショーにするんだったら、練りわさびを食べさせればよかったんだよ」
「そんな事してかからなかったらどうするんだよ」
 などの意見が出る。
 途中、おやつの時間になって、車座の真ん中に、チップスターとオレオが
並べられた。
 佐伯海里、金井妃奈子やら太古望花が、三ツ矢サイダーを紙コップに注いで
いった。
「うえー」
 とリエラがえずく。
「このニオイ大嫌い。
 私、このニオイ大っ嫌いになったんだよ」
「え、何で? 平気」
 と海里ら。
「げー、吐き気がする」
 言うとリエラは部室を出て行ってしまった。
 その後、なんとなく、反省会も散会みたいになったので、俺もそそくさと、
ついていったのだが。
 リエラは保健室に行っていて、胃散を飲んでいた。
「おい、どうしたんだよ」
 とオレ。
「ほら、サイダーのがメントスみたいな感じが」
 とリエラはオレに言ってきたが、保健室の女の先生に向かって言った。
「昨日焼肉屋の帰りに焼肉とメントスを吐いたんです。
 そうしたらミント系のニオイが大嫌いになりました。
 歯磨き粉もダメになったんです」
「それはガルシア効果だわね」
 と保健室の先生。
「ガルシア効果といって、カレーを食べて乗り物酔いをするとカレーのニオイ
をかいだだけで吐き気がするようになっちゃうという様な条件反射ね。
 パブロフの犬みたいな」
「へー」
「普通の条件付けは一回では出来ないんだけれども。
 パブロフの犬だって何回も肉とブザーで条件付けをして、条件反射が
出来たんだけれども。
 でも、ガルシア効果だけは一発で条件付けられるのよ。
 音や光だとトリガーにはならなくて、味覚情報じゃないとダメなんだけれども」
「でも、オレはサイダーを飲んでもなんともないけど」
「人によりけりなんじゃないかしら。
 リエラさんみたいに摂食障害の人はなりやすいのかも」
「そういえば事故った3人も、カーブを曲がりきれず、とか言っても、寸前に
吐いたらしい」
「え、あの3人も、ガルシア効果に関係があるの?」
 とリエラ
「なんの話し?」
 と保健室の先生
「いやぁ、こっちの話し」
 窓の外からユーミンの『守ってあげたい』が流れてきた。
「ダっサい曲。
 童謡かしら」
「二時かあ」
 保健室の先生はサッシを開けた。
 ユーミンの防災放送が一段と大きくなり、カラスの鳴き声がして、冷たい風が
入ってきた。
「はぁー、もう晩秋だ」
 とリエラ。
「来週は、みんなで高尾山だよ」
 と保健室の先生、
 毎年晩秋になると、この高校ではリクレーションで高尾山に行く。
「行きはケーブルカーで行って、山頂で昼ご飯。
 帰りは4号路を下ってくるから、ちょうどこの放送が聞こえるのは吊り橋を
渡っている頃かなあ」
 と保健室の先生。
 リエラは窓の外を見ながらまだげっぷをしている。
 顔色も悪いし痩せているし。
 髪は赤メッシュで、耳には5連のバーベルのピアス。
 あのカーディガンを脱がせれば梵字のタトゥーだし。
 あーー、ストリートののジャンキーを思い出すなぁ。
 例えばそれはこんな女達。
 18歳なのに砂掛けババアみないな顔をしていて、虫歯かシンナーで前歯が
全部ないJK。
 出会い系でナンパしたのだが、放射線通りのドンキの前で待ち合わせをしていて、
原チャで行ったらガードレールに寄りかかっている砂掛けババアが原チャのライト
に浮かんだ。
 まさかあれじゃねえだろうなあ、と思ったらあれだった。
 向こうも何故かこっちが相手と気付いて、断るのもなんなんで、勢いでやったが。
 携帯貸してくれというんで貸したら、どっかの女に電話して、友達がAIDSに
なったよー、とか。
 死ねよ。
 あともう一個思い出した。
 電車の終わった後、駅ビルの前で突っ立ている女をナンパした。
 その女も歯が悪くて、ガムが噛めない、とかいう癖に、駅前のペッパーランチに
いったら、一度口に入れた肉をぬるっと出して、唾液が糸を引く。
 ウェーっ。
「何、このすじ肉、こっちは虫歯だっていうのに」とか言っていたが。
 それから、マックやらファミレスやらで、朝方3時4時まで粘って、
「いい加減しけこもう」、つったら、
「いいよ、先輩の友達とかにもみんなやらせてやっているから、みんなやりたいん
でしょう。
 でも私とやるとみんな真っ黒になっちゃうんだよ、正露丸みたいに、肝臓悪いから」
 ふざけんな!
 そんなのを思い出しつつ、窓の外を見ているリエラを見ていたら、うんざりした。
 何がエロスじゃなくてタナトスだ。
 ただのすれっからしのジャンキーじゃないか。


 その日の晩、オレは家に帰ると自室で、スマホで某SNSを開けた。
 友達一覧の中から『梵天』にタッチする。
 メッセンジャーが起動した。
優波離:今、いる?
梵天:いるよ
優波離:いやー、やっぱりあのリエラっていうのはひでー女だった。
オレの愚痴、聞いてくれる
梵天:聞いてあげるよ
優波離:リエラって女は、メンヘラのすれっからしで
オレのイメージとしては、ストリートにいる東電OLのイメージかな
そもそも、セックスだって、妊娠→出産→育児という全体性があって意味があるのに
じゃがいもを食うのだって、タンパク質とか炭水化物とか色々な栄養素があって意味
があるのに
だのにあのリエラは、クリトリスにシャブを塗れ、みたいな感じ
或いは、味の素だけを舐める
人間なんて全体で意味があるのでって、ある人の目が可愛いからって目玉だけとって
きてもしょうがないと思うんだよね
梵天:たまたま、味の素を摂取した時にドーパミンが出たからそれだけをとるという
嗜癖だね
優波離:サルのマスターベーションみたいなものさ
ジャンキーだよ
ストリートの
じゃがいもを食わないから栄養にならない
子供も産まないから何も増えない
ただ、“なまぐさ”がたまるだけ
梵天:それはお仕置きをしなくちゃいけないかもね
その東電OLというのはどんな性質の女なんだい?
優波離:まず摂食障害で、自分の体を厭離穢土だと思っている
どっか遠くに浄土を感じている
平等院鳳凰堂が綺麗だとか
V系とかピアス、タトゥーでその浄土にいたるとか
菩薩みたいにw
ユーミンの曲が防災放送のチャイムで流れるんだが、ナチュラルな感じで気に入らない
あと、バイクで2ケツで酔って吐いたんだけれども、その前にメントスを舐めていて、
メントス味のゲロを吐いた
そうしたら、サイダーを飲めなくなったとか
梵天:ガルシア効果だね
優波離:そうそう、ガルシア効果っていうって聞いた
梵天:誰に?
優波離:保健室の先生に
梵天:あー、臨床心理士の女ね
他には何か特徴は?
優波離:すごい潮吹きだね
一回セックスしたが1メートルぐらいの染みをベッドに作った
梵天:そうすると、メントスでガルシア効果になるような条件反射にかかりやすい
女で、あと、ユーミンと潮吹き、というのが、その女に関する情報かな
優波離:まあ、そんなところ
梵天:だったら、ユーミンの放送と潮吹きを条件付けしてやれば面白いよ
優波離:そんな事、出来るの?
梵天:だって、メントスのニオイで胃粘膜が刺激されるってあるんだろう
だったら、ユーミンのメロで膣壁が刺激されてもいいだろう
優波離:でも、ガルシア効果なんていうのは、味覚情報のみで、音や光をトリガー
にするのは無理と保健室の先生が言っていたけれども
梵天:君は『時計じかけのオレンジ』を見なかったのかい?
あの映画でアレックスは『第九』を聞くと吐き気がするという条件付けをされた
じゃないか
だから、メロで膣壁が刺激されるという条件付けも出来るんだよ
優波離:ユーミンを聴く度に潮吹きかあ
そんな事が出来るんだったら毎日2時には潮吹き、いや、もっと面白いお仕置きが
出来るかも
梵天:ユーミンと潮吹きの条件付けは教えてあげるから、それを利用してどんな
お仕置きをするかは自分で考えなさい
優波離:ああそうするよ
で、どうすればユーミンをトリガーにして潮吹きをするという条件反射を植え
付けられるの?
梵天:何か日常生活で、条件づけみたいな経験はないかね
ラジオ体操第一を聞けば自然と体が動くみたいな事はないかね
優波離:そういえば、
チャリを漕ぐのも、反復運動で、受動意識仮説みたいな状態になるから、
条件づけしやすいとか
だったら、セックスも自転車漕ぎみたいな反復運動だから、女性上位で女に反復運動
をさせれば、自転車を漕いでいる時と同じ脳の状態になる、その時にお経を唱えれば
解脱出来るとか
梵天:ほー
だったらそこでお経でなくてユーミンをきかせれば、その女、ちょうどその時潮を
吹いているんだろう、ユーミンのメロと潮吹きが条件づけされるかもね
優波離:そうだね
さっそくやってみる
梵天:鋭意邁進したまえ
上手く行ったら報告しにきて
優波離:もちろん


 翌日、バイトの金を出して、前回と同じラブホにしけこんだ。
 休憩2750円。
 バイトの金が減る。
『ピカソ』という名前の部屋。
「新宿の目」の様なアメーバーの様なオブジェが壁にあって、そこが間接照明に
なっている。
 オレはリエラとベッドに寝そべると、いきなり脱がせたりしないで、スマホを
取り出した。
「お前は、ユーミンを好きになるべきだよ」
 とオレは言った。
「なんで」
「お前の聞いているV系っていうのは、とげとげしていて、強迫性障害みたいな
感じだよ。
 ちょうど、うん〇が気になって、必死に手を洗っている感じ。
 自分じゃあ、自分の禁止は厭離穢土だ、とか言っているけれども。
 そんなのは、清潔な空間にいるからだよ。
 実際、シリコンっぽい教室で発作を起こしたんだろう?
 しかし、キャンプとか、野グソもやむを得ない状況に置かれれば、出す事に
主眼がおかれて、手につくかどうかなんてどうでもいい事になるよ。
 つまり、食うか死ぬかという給食おじさん的なものが禁止になってくる。
 つまり、禁止が悩みを変える。
 だから、ユーミンというのはキャンプで歌っていそうだから、ユーミンを聞けば、
ハツやミノだけじゃなくてロースやカルビも食いたくなるよ」
「そーんなの戸塚ヨットスクールの理論だわ」
 オレは喋りながらスマホをいじくっていて、LINEを開くとリエラの名前に
タッチした。
「『守ってあげたい』をプレゼントするよ。
 今送るから。
 はい、送信」
「私、誕生日が近いんだよ」
「じゃあ誕生日プレゼントも用意しておくよ。
 もう曲、行ったんじゃない?」
 ぽろりんと、リエラのスマホが鳴った。
「あー、来た来た」
 スマホをいじくりながらリエラが言った。
「聞いてみな。
 案外いいものだよ」
 リエラはポーチからコードレスイヤフォンを取り出すと耳に突っ込んで再生する。
 曲に合わせて首を振っている。
「じゃあ、そろそろ行きますか」
 言うと、スカートやブラウスを脱がせた。
 胸元に梵字タトゥー。
 腕輪タトゥー、へそピー。
 パンティーも脱がすとマンピーが光った。
「今日は腰が痛いから女性上位でやってくれない? 聞こえている? 女性上位でー」
 リエラは曲をききながら、ふがふがと頷いた。
 前戯もそこそこにいきなり騎乗位にまたがってくると、ぬるっと入った。
 こっちの臍のあたりに、心臓マッサージでもするみたいに手をつくと、
♪you don't have to worryのメロディに合わせて腰を動かす。
 空気が入る角度でブチュウ〜ブリッ ブリッ ブリッとチナラ(マンペ)の音がする。
 1曲終わらない内に果ててしまった。
 それでも膣液でビシャビシャである。
 リエラはバスルームに行くと股間を中心にザーッとシャワーを浴びた。
 戻ってくるとバスタオルを巻いただけの格好でベッドに腰掛けて、「紅茶花伝」
を飲みながらリラックスした。
「ドリンクだってなんでもいいって訳じゃないのよぉ。
 ダライ・ラマ法王が飲んでいたから、もしかしてスジャータに関係あるのかと
思って飲んでいるのよ」
 と能書きをたれるリエラの背中のタトゥーを見つつ、
 ベッドに寝ていたオレは、スマホを出すと、『守ってあげたい』を再生した。
 果たして今のセックスで条件付けは出来たであろうか。
 じーっとリエラの背中を見つめる。
 しかし、ピクリとも反応しなかった。
 これは、スマホのスピーカーだと音質が悪くてダメなのか。
 それとも、やっぱり一回セックスしたぐらいじゃあ条件付け出来ないのか…。


 オレは家に帰ってくると、さっそく、スマホで、梵天に報告した。
優波離:上手くいかなかったよ
全然効果がなかった
梵天:ただ、こすっただけじゃあ、条件付けなんて出来ないよ
優波離:そうなの?
梵天:そうだよ
 パブロフの犬だって、ベルが鳴ってから肉が出るというのを繰り返すとベルが
鳴っただけでヨダレが出る、という訳でもないんだよ
 ベルがなって肉が出るというのにビックリして、ビックリするとシナプスの形状が
変わるから、それで記憶になるんだよ
 これをシナプスの可塑性というが
 シナプスの形状が変わって、それで流れる脳内化学物質の質と量が変わる、
それが記憶の正体だよ
 だから、シナプスの形状を変化させないと
 それにはビックリする事が大切だから、ビックリしやすい状態、つまりシナプスが
変形しやすい状態にしておかないと
 それは、脳内化学物質が潤沢に分泌されている様な状態だから、何かドーパミンの
出るものを与えておくと条件付けしやすいんだがなあ
 ニコチンとかカフェインとか
 ニコチンとカフェインを大量に与えて、シナプスの先っぽに脳内化学物質が大量に
分泌されている状態で条件付けをすれば、ユーミンと潮吹きは結びつくかも知れない
のだがねえ
優波離:じゃあやってみる


 翌日の放課後、オレは又リエラを誘い出した。
 何時ものホテルの『レッドサン』という部屋。
 1メートルぐらいの日の丸の様な赤い間接照明の下に、これまた赤い丸いベッドが
置いてある。
 いきなり脱がせないで、ベッドに寝転ぶと、オレはレジ袋の中からパッケージを
取り出した。
 それを開けると、アイコスのポケットチャージャーが出てくる。
「なに、それ」とリエラ。
「電子タバコ。
 高かったんだから。
 わざわざ追分のばばあのやっているたばこやで仕入れてきたんだから。
 年齢チェックされないから」
「いくら?」
「5000円」
 オレは、ポケットチャージャーからホルダーを取り出すと、そこにアイコス専用
タバコステックを差し込んだ。
「吸ってみる?」
「えー」
「これだったらそんなに害はないしし、すっごく感度がよくなるから」
「本当に?」
 ホルダーが振動すると、ライトが点滅するまで長押しした。
 ライトが2回点灯したので、もう吸える状態。
「ほら、吸ってみな」
 とリエラの方に差し出す。
 リエラは受け取ると両手で持って、口にくわえると、シンナーでも吸う様に吸った。
「すーーーはーーーー。
 キター、クラクラするわ」
「あとこれも」
 とレジ袋からモンスターエナジーを取り出すとリングプルを開けた。
「これも飲むの?」
「カフェインも感度がよくなるんだよ」
 言うと口元に持っていってごくごくと飲ませる。
「あー、オレンジ味かあ。
 いやー、いきなりドキドキしてきた」
 今やリエラは、左手にモンスターオレンジ、右手にアイコスを持ちながら、
交互に飲んでいる。
「ああ、目が回って気持ちいいわあ」
「どんな感じ?」
「低気圧が迫っていて自律神経失調症になって、動悸息切れがする様な気持ちよさ」
「じゃあ、そろそろ」
 と下着に手をのばして、ふと言った。
「何でやらせてくれるの?」
「禁止があるから」
「禁止?」
「試験期間になると、西村京太郎とか読みたくなるでしょう。
 あれと同じで、やっちゃいけないと思うとやりたくなるんだよ」
「じゃあ、俺も頭の中で、お経でもとなえながらやるかな。
 あれは禁止だろうから。
 じゃあ、お前、それを吸いながら、ユーミンを聞いてみな」
 リエラは言われるばままにイヤフォンを装着すると、ユーミンを聞き出した。
 そしてベッドに横になると、白目をむいて 上目遣いで目を潤ませた。
 オレはリエラを脱がせる。
 例によって、胸まわりの梵字タトゥー、腕タトゥー、へそピー、マンピーが
あらわに。
「じゃあオレにまたがって」
 言うと、勃起したちんぽにぬるっとおさまって位置が決まる。
「じゃあ、恥骨だけをグラインドさせて」
「ええ?」
 言うとイヤホンを外した。
「その音楽に合わせて、フィットネスのロディオマシーンにでも乗っている積りで、
恥骨だけをグラインドさせて、くねくねと。
 はい、♪you don't have to worry worry〜」
 最初の内はこっちも腰を使ってリードしてやる。
 その内、リエラだけが腰を使って動き出す。
 音楽に合わせて

♪you don't have to  worry   worry
 ブリッ  ブリッ  ブリッ   ブリッ
 かんじー ざいぼー さーぎょー じん 

 mamo    tte   age   tai
 ブリッ   ブリッ ブリッ  ブリッ
 はんにゃー はらー みーたー じーしょー

♪you don't have to  worry  worry
 ブリッ  ブリッ  ブリッ  ブリッ
 けんごー うんかい くーどー いっさい

 mamo   tte    age   tai
 ブリッ  ブリッ  ブリッ  ブリッ
 くーやく しゃりー しーしき ふーいーくう

 約5分のセックス。
 セックスの後、リエラは、何時もの様にシャワーで膣液を洗い流して、
戻ってくるとバスタオルを巻いた状態でベッドでごろごろした。
「今日は体力消耗したわ」
「ほんと?」
 横目でリエラの様子を見ながらオレはスマホのスピーカーでユーミンを再生
してみた。
「♪you don't have to worry worry まもってあげたい〜」
 とチープのスピーカーのせいか、ユーミンの声質なのか、乾いた音が響いてくる。
「ん?」
 とリエラは眉間にシワを寄せる。
「あ、バスタオルが濡れるかも」
「え、本当?」
「なんか、まだ感じているのかなあ」
「本当かよ」

 家に帰ると、さっそく、梵天に報告した。
優波離:今日は効果があった
ユーミンの曲で、湿らせる事に成功した
梵天:本当か
それは大躍進だな
優波離:なにしろ、アイコスとモンスターエナジーでバッチリ刺激したからね
梵天:ニコチンとカフェインで、相当、シナプスの間に脳内化学物質が出ていると
思われる
 ここで止めをさすには、シナプスのつなぎめに持続的に大量の脳内化学物質が漂う
様にする為に、セロトニン再取り込みを阻害する薬品=向精神薬を飲ませるという
事だが
優波離:そんなの手に入るかなあ
ストリートに行けば脱法ドラッグがあるかも知れないが
梵天:だったら、君、バイクで彼女が吐いたと言っていたなあ
だったら、バイクに乗る為の酔い止めだといって、アネロンとかトラベルミン
とかの市販薬を飲ませてみろ
それらには、ジフェンヒドラミンを含むので、セロトニンの再取り込みを阻害する
から




元文書 #576 「仏教高校の殺人」3    朝霧三郎
 続き #578 「仏教高校の殺人」5    朝霧三郎
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