#8993/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA ) 16/08/03 19:55 ( 34)
捻らないことに首を捻る 永山
★内容
BSジャパンで放送のドラマ「男と女のミステリー時代劇」第九話「鋳掛け屋」を録
画視聴。今回も完全にネタバレ注意です。
長唄の師匠で後家のおふくは、研ぎ師で下っ引きもやっている友吉と、人目を忍んで
いい仲になっているが、友吉から所帯を持とうと持ち掛けられたも何故か首を縦に振ら
ない。独り身の友吉は他に女っ気もなく、隣で射かけ屋をやっている勘市とその孫おく
み父娘と懇意にしており、朝飯の卓を共にするほど。特に十二になるおくみには懐かれ
ている。
あるとき、おふくの家に盗人が入り、おふくは小槌で殴られ気絶した隙に、隠してあ
った五十両もの大金が盗まれる。この件を調べることになったのが、友吉とその親分、
岡っ引きの寅助。寅助は飼い犬が吠えていないことや、戸の差し込み錠の穴に内側から
砂が詰められていたことから、おふくには情人がいて、そいつが盗んだのではないかと
推理する。友吉は自分のことがばれて疑われてるのではないかと冷や汗ものだが、どう
にか捜査を行う。進める内に、おくみがおふくから歌を稽古好いてもらっていると知
り、怪しい者を見なかったか尋ねる友吉。おくみが言うには、おふくの家員は、顔に傷
のある怖そうな男がしょっちゅう出入りしていたとのこと。友吉は一人でおふくの家に
駆け付け、事の次第を問い質す。おふくの説明に寄れば、男は英次というやくざ者で、
賭場の上がりをちょろまかして貯め込んだ金を、おふくに預かるよう言ってきた。盗ま
れたのはその金で、英次は犯人を見つけ出し、殺してやると息巻いているらしい。
半ば頃までの粗筋が、こんな感じ。
で、後半に入って怒濤の展開で、盗人の正体が判明する訳ですが……今回はタイトル
がよくない。何の捻りもないことに加え、盗人の正体ってまさかと思っていたら、ほん
とにそのまま鋳掛け屋でした。話の運びは結構よかったのに、タイトルのおかげでだい
ぶ興味が減じられた。残念で勿体ない。
おくみという娘がポイントになっており、役者の熱演と相まって、さほど難しくはな
いとは言え伏線がかしゃかしゃとはめ込まれていく心地よさはありました。それにして
もこの娘役の子、大きいから実際は設定の十二歳よりもだいぶ上なんだろうなと思っ
て、あとで調べてみたら、十一歳になるかならないかだったんで、びっくりした。
一方で、いただけない点もいくつかあり、その最大の物を記すなら、おふくを殴るの
に使われた木槌が証拠になること。夜の暗がりの中殴られたおふくが、小槌に刻まれた
字をはっきり認識できたとは考えにくい。それ以前に、鋳掛け屋はどうして自分の字の
入った小槌を凶器に選んで持って行ったのか、謎。科学捜査がない時代設定だと、この
辺を緩くせざるを得ないのかしらん。
ではでは。