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★タイトル (AZA ) 15/02/11 21:42 ( 25)
本の感想>『江神二郎の洞察』 永山
★内容
・『江神二郎の洞察』(有栖川有栖 東京創元社)14/4451
一九八八年四月、英都大学に入った有栖川有栖は、一冊の本が縁で、江神二
郎と知り合い、推理小説研究会に入った。下宿先でのノート紛失事件。ハード
ロック好きの集まる喫茶店で見掛けた女性の秘密。プラットフォームでたまた
ま耳にした「四分間しかないので急いで。靴も忘れずに。」云々という言葉か
ら導き出される状況とは。潰れた病院の開かずの間に現れる幽霊? 身代金千
円の誘拐。近所の人におごったり、客に商品をただで譲ったりする古書店主。
日常に現れる様々な謎に、江神二郎は名探偵ぶりを発揮する。そして訪れる、
有馬麻里亜との出会い。
アリスの入学一年目を描いた、書き下ろし一編を含む短編集。アリスシリー
ズファン必読書。
こうして登場人物をフルネームで記すと、初見の人が読めばキャラクターに
寄り掛かった作品と思われる可能性大のネーミングだなあ(笑)。まあ、実際
にはキャラクターは記号化していなくて、かつ、立っている方だと思います。
長編ではロジックでごりごり押してくる本格のアリスシリーズ、短編でも、
事件は軽め、ロジックは薄めになるものの、その精神は共通している。軽く薄
くなった分を、ミステリ評論ぽいスパイスを効かせて、アリスシリーズのファ
ン以外のミステリマニアにもアピールできる形になってる、といったところか
な。物足りなく感じるのは、やはり、同シリーズ長編に肉薄するぐらいの論理
本格を、一編は入れてほしいから。
粗筋にも記した通り、シリーズのファンのための、卒業アルバム的な位置づ
けと認識し、レギュラー陣と時間を共有するかのように読むのが吉。
ではでは。