AWC 本の感想>『ふり向けば霧』   永山


        
#8409/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  15/01/15  22:26  ( 28)
本の感想>『ふり向けば霧』   永山
★内容
・『ふり向けば霧』(笹沢左保 祥伝社文庫)14/5441
※フェアな記述のために本書裏表紙の粗筋を引用します。

 時効成立まで一年半――。殺人犯として逃亡中の身で
 あるが、十三年半ぶりに上京を決めた芙美子は、機中
 で、自分が殺した女性の夫・八ツ橋待彦に出会った。
 だが、意外にも待彦は、芙美子の逃亡援助を申し出た
 のだった。やがて二人は愛し合うようになるが、再び
 殺人事件が発生し、待彦にその容疑がかかった。彼の
 アリバイを証明できるのは芙美子だけだった……。

 上記粗筋について二点、気になることが。一つは待彦という表記。作中では、
八ツ橋あるいは八橋待彦と表記することはあっても、待彦のみの形では用いて
いなかったように思います。ここは粗筋も八ツ橋で統一した方がよいのでは。
もう一つは、待彦のアリバイ証明云々の箇所。確かにそういう流れになるもの
の、あっさりと通過する感じで、拍子抜け。本作の焦点はそこにはないとは言
え、この書き方では誤解を生みかねません。
 その他の内容に関しては、仕掛けがシンプルながら、うまく決まったんじゃ
ないかと。現代の科学捜査の前ではさすがに厳しいものがありますが、当時な
らぎりぎり成り立つのではないでしょうか(詳細かつ執拗に調べれば、当時で
もすぐさま露見する可能性はあるかと思います)。偶然頼みのところもありま
すが、人物の不自然な動きも、こういう裏があったのならまあ納得できる。
 文章は、前に読んだ『三人の登場人物』と同じく、単調さが否めなかったの
ですが、後半に入ってぐっとよくなったような。締め切りが重なって忙しい時
期とそうでない時期にそれぞれ書いたら、こんな風になるのではと妄想してし
まったです(汗)。

 ではでは。





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