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★タイトル (AZA ) 14/05/30 22:33 ( 26)
本の感想>『千葉千波の怪奇日記 化けて出る』 永山
★内容
・『千葉千波の怪奇日記 化けて出る』(高田崇史 講談社ノベルス)
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美術室で怪奇現象が続出。油絵の中の人物が笑い、窓には手を振る人影が浮
かぶ(「油絵が笑う」)。体育館でバスケットボールのゴールが倒れる事故が
発生。密会をしていた男女が巻き込まれ重傷を負う。その壁には、消防隊員も
気付かなかった不可思議な落書きが、いつの間にか残されていた(「首が転
がる」)。学食には、自殺した男子学生が生前、一人きりで使うことが多かっ
た曰く付きのテーブルがあった。誰もが避けるそのテーブルを好んで使ってい
た四人組が、相次いで死亡する(「箸が転ぶ」)。
国際江戸川大学に入学早々、階段を一気に滑り落ちた“ぴいくん”は、新た
に“階段落ち”なるニックネームを頂戴してしまった。それにもめげず(?)、
大学に伝わる七不思議「江戸七」を解こうと奮闘するも実らない。そこで、従
兄弟で天才高校生の千葉千波に解決を依頼すると、あっという間に?
タイトル及び粗筋は怪奇現象に絡ませていることを示唆しているし、中身も
実際、そういう部分はあるんだけれども、起こる事件との関連が希薄。その事
件も基本的にライトな感じで、こくが足りないかなあ。元々、パズルがテーマ
のミステリとしてスタートした千葉千波シリーズを、こんな形にしていいのや
ら。パズルと怪奇現象を融合するのなら、もっとやりようがあると思う。
雑誌連載時の名残で、同じ説明が毎回出てくるのには、うんざりしてくる。
一冊にまとめるに当たって削ってほしい。
最大(?)の問題点は、大学の七不思議を扱いながら、本短編集に登場する
のは四つプラス番外編の書き下ろし。残りがあるのに、本書末尾に、シリーズ
をしばらく休む宣言があるのは、どういうこっちゃ。
ではでは。