AWC 本の感想>『セブン殺人事件』   永山


        
#7473/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  12/12/19  21:11  ( 22)
本の感想>『セブン殺人事件』   永山
★内容
・『セブン殺人事件』(笹沢左保 徳間文庫)12/5331
 たたき上げの宮本刑事とエリートの佐々木警部補は、対照的な特徴を持ちな
がら、自他共に認めるライバル。二人は事件の度に真っ向から対立し、推理合
戦の果てに真相に辿り着く。七つの殺人事件に挑んだ短編集。

 二人の探偵役が推理を戦わせ、事件を解決するというスタイルは、現代でも
かなり希な設定だと思います。それを三十五年ほど前に短編集の形で作り出し
た、作者の着想の妙は賞賛に値するでしょう。しかも、どちらかが引き立て役
になったり、両方を立てるために引分けにしたりといった展開が多い中、本作
品は必ずどちらかに軍配が上がっているのもいい。
 ただ、事件そのものの印象は、さほど強くありません。それぞれ、核となる
アイディアに面白味はあるものの、ちょっとした思い付きレベルがほとんどで、
設定の秀逸さに負けている感じ。惹句から連想する、火花散る推理合戦のイメ
ージはあまりないのが惜しかったです。編中のベストを選ぶと、ラストの「放
火魔殺人事件」かな? 明らかな誤植があって気を削がれましたが……。
 それから、会話が堅く、単調なのは当時の風潮なのかしらん? 読み易くは
あるのですが、退屈に感じてしまいました。
 事件が薄味なのは短編だからかもしれず、二人の探偵役が長編で大事件に挑
み、真っ当な推理対決をし、すっきり決着するという物語を読んでみたくなっ
た次第です。

 ではでは。





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