AWC 本の感想>『明治断頭台』   永山


        
#7171/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  12/04/21  18:42  ( 27)
本の感想>『明治断頭台』   永山
★内容
・『明治断頭台』(山田風太郎 『山田風太郎明治小説全集4』より 筑摩書房)
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 周りに近付ける者がいなかったにも拘わらず、腹から真っ二つに斬り裂かれ
て死んだ男/五稜郭の戦いで海外に敗走した男が生き霊となり、妾をはらませ
たとの話が、やがて足跡なき殺人に……/とある大物の命令で美女をかき集め
ていた男が、永大橋に首吊り死体となってぶら下がるが、殺しだとしたら、容
疑者にはアリバイがあった/女が足を切断されるところを双眼鏡越しに目撃、
ほどなくしてある人力車に足が放り込まれる/自身の首を腕に抱えた糞尿まみ
れの死体が、張り込みをしていたすぐそばで見つかる etc……。
 明治初期、ほんの短い間だけ導入された捜査機関・弾正台。その大巡察二人
が、奇怪な事件の数々を解きほぐす。そしてその果てに訪れる意想外の終幕。

 随分前から、山田風太郎による本格ミステリ!と高い評判を聞いていたのを、
ようやく読破しました。いかにも作者らしい書きっぷりのミステリで、奇想天
外な忍術物と通ずるところがあります。個々の作品のトリックに関しては、工
夫を凝らしてあるものの、唸るほどではないでしょう。ただ、連作短編物の体
裁を取り、最後に大きな驚きが待っているという構図の仕掛けを、こんなに早
くから思い付いて作品にしたのが凄いかも。
 また、実在の有名人をちょくちょく登場させ、それらしく振る舞わせる筆力
にも圧倒されました。エピソードを挟みながら、あの人物ならこういう行動を
取るだろうなと思わされる。
 あと、ほぼ毎回の解決シーンが、超常現象じみた演出の型にはめてあるのが、
最初の内は気になったな。慣れればどうってことないのですが、片仮名で書か
れると読みづらい。まあ、読み終わってみると、この演出にも意味はあったと
言えるので、しょうがないか。でも片仮名でなくてもいいでしょうに。

 ではでは。





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