AWC 本の感想>『しらみつぶしの時計』   永山


        
#5396/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  09/03/11  19:40  ( 31)
本の感想>『しらみつぶしの時計』   永山
★内容
・『しらみつぶしの時計』(法月綸太郎 祥伝社)15/5442
 一分刻みで全て異なる時刻を示す一四四〇個の時計の中から、現在時刻を正
しく示している一つを見つけよ。隔離状況に置かれた“きみ”は、この命題を
クリアできるのか。用いる武器は、ただ論理のみ(「しらみつぶしの時計」)。
二つの錠前で封じられた鉄製の箱に収めた秘密の手紙が、消え失せた。完璧と
も思えた防衛策を突破した奸智を、理論家レンロットは打ちのめすことができ
るのか(「盗まれた手紙」)。夫婦喧嘩の憂さ晴らし目的で、バッティングセ
ンターに通う男。そこで持ち掛けられた交換殺人の計画。果たしてどんな結末
が待ち受けるのか(「ダブル・プレイ」)。
 法月綸太郎のノンシリーズ短編を集めた一冊。

 最後に収録されている「トゥ・オブ・アス」だけ、敢えて読んでいません。
というのも、これが同じ作者の長編『二の悲劇』の原型もしくは別バージョン
的な作品らしく、私は『二の悲劇』を未読のため、やむを得ず、今回はスルー
した次第。
 もう一つ。最初に収録されている「使用中」ですが、私、似た着想の作品を
書いています。発想の端緒になった先行作品も、(これに書かれた通りであれ
ば)一緒です。人間、同じようなことを思い付くものだなと、妙に感心すると
ともに、きっと他にも同じような思い付きを作品にした人がいるに違いないと
確信しています。書いた時期は、私は本書の刊行より早く書いていますが、そ
もそも「使用中」の雑誌掲載がずっと昔ですから、スピード勝負では負けまし
た(ややがっかり)。
 それらはさておき、本書の白眉は、やはり表題作。パズルだけで一編のミス
テリを書き上げてしまった、という感じでしょうか。発想のユニークさに感心
し、面白く読めました。難を言えば、閃きさえずれば、途中の過程なんぞすっ
飛ばして、“一撃”で正解に辿り着けてしまう問題の構造に、ちょっぴり不満
あり。
 他の作品も含め、ロジックの面白さだけにとどまらず、この作者流のミステ
リ作法が見えるような作品集になっていて、楽しくかつ興味深く読めました。

 ではでは。





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