AWC 本の感想>『サムソンの犯罪』   永山


        
#5311/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  09/01/07  21:00  ( 29)
本の感想>『サムソンの犯罪』   永山
★内容
 その前に――お題募集中です。

本の感想>『サムソンの犯罪』(鮎川哲也 徳間文庫)13/4441
 私立探偵の<わたし>は、雇い主の弁護士を通じ、様々な事件の調査を命じ
られる。弁護士の依頼人を窮地から救うために奮闘するのだが、容疑者は他に
いても、アリバイがあって簡単には崩せない。
 難航する調査に行き詰まり、知恵を借りるために、バー『三番館』へと足を
向ける。そこのバーテンダーは、事件のあらましを聞くと、ちょっとしたこと
を指摘してヒントをくれるのだ。
 三番館シリーズの短編集第二弾。

 図書館処分本のいただき物。
 三番館シリーズって、てっきり、アシモフの黒後家蜘蛛の会シリーズを受け
て、鮎川哲也流にアレンジしたのだと思っていたのですが、本書の解説を読み、
全くの偶然であることを教えられました。鮎川哲也先生、大変失礼を致しまし
た。申し訳ありません。
 主役の私立探偵は、敢えて言えばハードボイルドタイプに分類されましょう
が、板に付いていない感じ。相手が初対面であろうと親しかろうと、ざっくば
らんな口調が大半を占めるのですが、どうも浮いています。話を聞き出す術に
しても、特段唸らされるものはなく、むしろ「こういう場合はストレートに聞
いた方がいいんだ」みたいな前置きをし、直に尋ねる場面が多かったような。
 謎の設定は大なり小なり、アリバイ崩しが興味の中心で、目新しさはあまり
なし。ただ、いずれも何らかの捻りがあって、趣向を凝らしているのはさすが
です。「分身」だけはややホラーテイストで、いわゆる本格らしさも出ていま
したが、解決は些か拍子抜け。
 二十五年以上前に出版された本書ですが、古さをそれほど感じさせません。
安楽椅子探偵型のミステリを、充分に堪能できる作品集です。

 ではでは。





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