#4160/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (yiu ) 07/06/05 15:21 ( 42)
『星のお祭り』 感想です shura
★内容
『星のお祭り』を拝読致しました。
前置きを先に読ませていただきましたら、どうやらシリーズもの?のようで。
他の作品を読まないうちから読んだり感想を書いたりするのは反則かもと思いました
が、時間・体力・嗜好等の超個人的理由でもって、他のお話を読むのがいつになるか判
らなかったので、このお話にだけでも思いを書かせていただこうと考えた次第です。
元来、頭に浮かぶ文章が正しい文法であったためしがないという人間、どうも感情優先
に書くと訳のわからない言葉の羅列になってしまうため、もし読みにくい文章になって
いたら申し訳ありません。
(この文章もどこか変ですね……すみません……。)
はてさて。
とにかく。まず感動致しましたのは、お話が子供の一人称のためにほとんど漢字が使わ
れていなかったことです。
しかも難しい「環境」というような言葉でも、勉強したり生活する上で(特にこの物語
の設定で)知っているであろう言葉は漢字で書いてあったりしたところに、大変感動致
しました。
ひらがなで書かれるべき言葉と、漢字で書かれるべき言葉の選択、というのでしょう
か。
それが(わたし個人が勝手に思う限り)絶妙でございました。
変なところに目をつけてしまいますが、本当に、こういう細かな心配りにはすごい!
と、つい興奮してしまいます。
一つの単語の簡単な字の部分だけを漢字表記にして、後半の難しい字はひらがなで、と
いうものにも「ああ、子供が書いたようだ!」と思ってしまいました。
にくい演出だと思います。素敵です。こういう仕掛けが大好きです。
物語も(おそらくは未来のことであろうと思われますが)現実の現在の状況を真っ向か
ら批判しているようではないのに(何せ語り手が過去の状況を知らない子供だけにとて
も客観的でどこか他人事のようですから)、さりげなく揶揄(これは少し違うかもしれ
ません)しているか、小さな音で警鐘を鳴らしているようで、そのおおっぴらでないと
ころに温かさと言いますか、優しさのようなものと、切実なあるいは真面目な警告のよ
うなものを感じました。
さりげなさが素敵です。
語り手がどこか他人事のように思いながら、しかしもう一方のどこかでは真面目に受け
止めているところが大変好きでした。
じんわり心に響きます。少し切なくなりました。
光の速度や宇宙船の速度の関係については専門ではありませんので、へたなことは申さ
ずお茶を濁しておきますが、すでにない地球の光が見えるというのもドラマティックで
素敵でした。
大変綺麗なお話だと思います。
SFはほとんど読んだことがないという人間ですが、物理と地理と天文に素人の関心を寄
せている者としては、とてもおいしい物語でございました。
ありがとうございました。