AWC レオン(4)/茶々


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#79/1165 ●連載    *** コメント #77 ***
★タイトル (kis     )  02/10/15  15:19  ( 76)
レオン(4)/茶々
★内容                                         03/03/07 12:52 修正 第4版
レオンは慌てて馬から飛び降り,彼女を抱きかかえた。彼女の周りには花篭と,積んだ花
が散乱している。
「義母上,しっかりしてください!義母上!」
義母を抱きかかえながら,レオンは彼女の全身を見回した。怪我はないようである。恐ら
く,いきなり馬が目の前に現れたショックで気を失ったのだろう。
「う・・ん・・」
程なく彼女は目を覚まし,目の前の息子の顔を驚くように見つめた。
「レオン,どうしてあなたが・・・ここに・・・?」
スミレ色の目に見つめられ,レオンは思わず顔をそむけた。その美しい瞳に見つめられる
のが,とてもつらい,という風に。
「大丈夫か?レオン!・・ソフィア王妃様!」
シリウスとサンダ―を木につないだフィリップが駆け寄ってきた。ソフィアを抱いたま
ま困惑しているレオンを見かねて,彼が王妃に手を差し伸べ,彼女を立ち上がらせた。
「お怪我はございませんか?王妃様。」
「ええ。少し驚いただけ。レオン,あなたこそ怪我はありませんか?」
心配そうにレオンを見つめる。だが,レオンは彼女の顔を見ようとはしない。
「・・私は平気です。義母上。」
決して自分を見ようとしないレオンの態度に,ソフィアの顔が曇る。
(大人気ないやつ・・・)
フィリップは,レオンの態度に内心ため息をついた。彼の気持ちを知っているだけに余計
情けなく思えてくる。
気まずい雰囲気が3人の中に漂う。そのときである。
「兄上―!」
小高くなった丘の向こうから声が聞こえてきた。声のするほうに目をやるとひとりの少
年が息を切らせながらこちらのほうへ走ってきた。
「ステファン」
少年はレオンの顔を見るなり,彼に飛びついた。
「向こうのほうからシリウスの姿が見えたから,もしかしたらと思って・・・。フィリップ
と遠乗りにいらしてたんですか?」
無邪気な瞳でレオンを見つめている。顔立ちは母にだが,肩で切りそろえた金髪と青い瞳
は父と同じだ。
「そうだよ。おまえは義母上や侍女たちと薬草積みか?」
「はい。でもぜんぜん面白くない。僕も兄上たちと一緒に行きたかったな。」
「だめよ,ステファン,わがままを言っては。あなたは未だ馬には乗れないでしょう?」
「えー,だって・・・」
母にたしなめられ,潤んだ瞳でレオンに訴える。そのしぐさがとてもいとおしくてレオン
はいつも弟を甘やかしてしまう。彼は弟の頭をなでながら
「そうだな,遠乗りは無理でも,この森の中ぐらいならシリウスに乗って散歩に連れてい
ってやろう。
「本当?いつ?」
「そうだな,天気がよければ2.3日うちにでも。」
「やった―!ねえ,良いでしょ,母上。」今度は母親に抱きついてせがむ。
王妃は少し困惑気味な顔をしたが
「私はかまいませんよ。義母上。」
レオンがそう言ったので安心したように彼に向けて微笑んだ。
「そう,ではお願いしますね。レオン。」
その微笑みにレオンの胸は締めつけられ、またも彼女から、顔をそむける。
(うわ,また・・・)
ステファンの出現で和やかになった雰囲気をまた壊してしまうのか,とフィリップが危惧
していたところへ、遠くのほうから王妃とステファンを呼ぶ声が聞こえてきた。
「あ、ばあやだ。」
ふとリ気味の年配の女性が,息も絶え絶えに走ってきた。
「王妃様も王子様もいつまでも帰っていらっしゃらないから心配で・・・,おや,レオン様と,
フィリップ様。お二人もご一緒だったんですか?」
その質問にはフィリップガ答えた。
「ああ,森の入り口で偶然出会ってね。」
「乳母殿,ソフィア様とステファン王子はいらっしゃいましたか?」
5人が集まっているところへ,中年の貴婦人が,侍女を引き連れて現れた。
「母上,あなたもご一緒でしたか。」
レオンは婦人の前へひざまずき,彼女の差し出した手にキスをした。
「宰相夫人にして,我が親愛なる叔母上殿。お久しゅうございます。ご壮健であられまし
たか?」
「ええ,あなたもお元気そうで何より。それよりも最近,あなたがちっとも私たちの館に
遊びにこられないので,夫も長男のルイも寂しがっていますよ。」
「はい。申し訳ありません。」
「あなたはソフィア様が嫁いでこられるまでの7年間,私があなたを育てたのですから,フ
ィリップ同様私の息子と思っているのですよ。遠慮などしないで頂戴。」
従兄弟同様気さくな叔母に微笑んで返事を返す。
「わかりました。近いうちにお伺いするとお二人にお伝え下さい。」
二人の会話が終わるのを待ってフィリップが母に声をかけた。
「もうすぐ日も暮れてまいります。そろそろ城へ戻ったほうがよろしいのでは?」
「おお,そうね。ソフィア様。そういたしましょう。」
「はい,エレ−ヌ様。」







元文書 #77 REON(3)/茶々
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