AWC 「R.N.S.」<プロローグ2> Fon.


        
#972/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (DGJ     )  88/ 4/13  21: 6  (100)
「R.N.S.」<プロローグ2> Fon.
★内容
 「Rpg.Novel.Story.」<プロローグ2>  by 尉崎 翻

 ここで時間がちょっと戻る。
「やっぱり、もう一人位ほしいわね」
 酒場[M・バスター]の一角。男二人と女一人がテーブルを囲んでいた。
 女は凝った装飾を施したローブに身をつつんでいる。魔術師らしい。黒い髪の
毛に黒い瞳。東の国出身であろう。
「しかしなぁレナ。そう都合よくいい人材っているもんじゃないぜ」
 どうやらこの女性はレナというらしい。
 グラスを片手にレナへ言葉を投げた男。頭にバンダナをまいている。短剣を腰
につけているが、戦士とは言いがたい雰囲気である。
 もう一人の男は背丈が高い。おそらく190cmはあるであろう。腰には長剣。
背のおかげで痩せているように見えるが、みれば筋肉の張りが戦士のそれであり
どことなく高貴な感じを漂わさせている。
「わからないわよ、ダグ。この酒場だって戦士系の人間が多く集まるっていうし
ね‥‥」
「けっ!それにしたってグルッと見渡しても、ろくなやつぁーいないじゃねぇか」
「まぁそーいうなダグ」
 いままで黙っていた背の高い男がしゃべる。
「あせったところでどうしようもないだろが。時間的余裕はあるんだ。じっくり
見渡して探せばいい。明日あたりにギルドにでもいけばいいだろう」
「ギルドねぇ‥‥」
「そうだな。ついでにダグ。きさまを首にして、もうちょっと有能な人材でも加
えるとしよう」
 真剣そのもの!と、いった口調でそのセリフは出された。
「‥‥リクト。どういう意味だ?まるで俺が無能のように聞こえるが」
「ほう、すると、きさまが有能のように聞こえるじゃないか」
「なんだとっ!」
「違うというのか?」
 ダグがリクトに掴みかかる。リクトは少しも顔色を変えずに微笑む。
「止めーっ!」
 ポカッポカッとレナの拳がダグとリクトの頭を叩いた。
「二人とも、たまには喧嘩しない日をつくったらどうなの?」
 溜息まじりの言葉。
「いまのは、リクトが挑発してきたんだぞっ!」
と、ダグ。
「ぼくは事実を正確に述べただけだ」
 サラッとした口調のリクト。
「なんだとっ!?」
「止めっ!!」
 再び二人の頭に拳が飛んだ。
「止めなさいって言ってるでしょ!」
「‥‥いてて‥ちぇっ!」
 ブスーっとふてくされたようにダグは片肘をテーブルに乗せて顎を手に乗せた
格好のままプイッと横を向いた。
「ふっ‥‥ まったくこれだから田舎者はこまる‥‥‥」
「リクト。あなただって似たようなもんですからね」
「はいはい」
 チラッと横眼でレナを見たリクトはグラスを持ち中の酒を静かに飲み干した。
 そのサマは、おもわず後ろからひっぱたいてやろうかと思うくらい決まってい
たのである。
「ふざけるんじゃ ないわよっ!!」
 ドンッと、カウンターに拳をたたきつける音がした。
 店内の視線がチラリとそこへ集中する。酒場のカウンターだ。
 若い、20才にいくかいかないかの娘がその発声源であった。
「なにが、『チームワークが乱れる』ですってぇ!? だれがいたおかげでいつ
もピンチを切り抜けてたと思ってんのよ!!」
 ガチャーンとコップの割れる音。
「ずいぶんあれてるな。あの娘」
 リクトが飲み干したグラスをテーブルに置いた。
 レナとリクトはチラッと娘の方を見ただけだが、ダグはジーッと娘の方を見つ
めている。
 そのうち娘はバーテンにからみ初めていた。
「どうしたのダグ、ジーッとみちゃって。あの娘にでも一目惚れしちゃったの?」
 レナが冗談とは思えない口調でサラリといってのけた。
 ピクリとその言葉に反応してダグはテーブルに向き直る。
「・・・ばかいえ!んなわけないだろ」
「どうかな」 と、リクト。上着のポケットから煙草を取り出し火をつける。「
きさまなら、そこら辺の犬にでも可愛きゃ一目惚れしそうに見えるが」
「ひとを盛りのついたネコのように言うな!」
 ダグがテーブルに身を乗り出し掴みかかろうとする。
 それを遮るように先程の娘のいた方角からどよめきが起こった。
 見ればガラの悪い連中数人が娘をとり囲んでいた。
 カウンターの向こうに背丈が2メートル位の男がグロッキーしている。
 状況より推測すれば娘にからみ逆に張り倒されたらしい。とり囲んでいる連中
はその大男の仲間かとりまきといった所であろう。
 連中の二人が両側から襲いかかった。娘はヒラリとそれをかわす。
 着地した瞬間二人の男は床に倒れた。見掛けとは大違い。酔っていてあのテク
ニック。あの娘、相当の場数と腕をもっているに違いない。
「・・・ほう」
 リクトの口から声がもれた。
「いやはや、最近の娘は強くなったもんだ」
「あほか、最近の娘がみんなあんなだったらこの世に男はいらん」
 ダグがあきれかえった顔で娘の行動を見ていた。
「ふぅ〜ん」
 レナもジッと乱闘騒ぎを観戦している。
 そうしている間に娘はさらに一人を倒し敵を二人にした。
「ふん」娘が微笑した。残りの二人はどうも下っ端みたいなものらしく立ちすく
んでいる。「わかってるの? あなたたちはこのあたしに喧嘩を売ったのよ!こ
の女戦士のティスタ・レグーストにね!」
 と、娘は叫んだ。
「ティスタ・・・か・・・」
 レナは誰にも聞こえないような小さな声でつぶやいた。
 と、そのときティスタの体が傾き床に倒れた。
「なんだ?」
 リクトが叫ぶ。敵の二人は、これは好都合と娘を押さえこもうとする。しかし
それは出来なかった。敵の片方がよこにふっとばされた。みれば、いつの間にか
にダグがティスタと敵の間に割り込んでいたのである。
「あ〜ぁ」レナが溜息をもらした。
                               <つづく>




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