AWC リレーB>第18回  鬼門の門     AYASE


        
#707/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (HWA     )  88/ 1/25   0:36  ( 79)
リレーB>第18回  鬼門の門     AYASE
★内容
 ”流されるッ”と思ったのも束の間。突然現れた水は、アッというまに消えて
しまった。
 「芳..岡..はん。。(!?)今の...」
 「....なんなの。 一体..。」
 「......(俺が聞きたい....)」

 突然の現象に3人が困惑していた。大量の水が瞬時に現れ芳岡をのみこんだかと
思うと、スグに消えたのである。 異様な沈黙の中、ジャンが口火を切った。
 「門に行くまでに、こんな現象に遭ったのは今度が初めてだな。自然現象にして
  は突発すぎる。。。 人為的としか思えん。。。」
 「とすると、新たにあたしたちの行く手を阻む者が出てきたってことね。。。。
  それもこんな手のこんだことするようなヤツラが。」
 パームの問いかけるような視線に、ジャンがニヤリと応えた。
彼がこんな笑みを返すときは、何か確信のある時だ。パームは座りなおし、次の言
葉を待った。
 「冗談じゃないッ。ただでさえ困難なのに新手だって(!?)」
やっと気を取り直した芳岡が叫ぶ。....相変わらずの反応の早さに、ジャンもパー
ムもやれやれである。
 「....アンタって進歩がないわねぇ。こんな時ぐらいなんとかならないわけ?」
 「(うるさいなぁ)こんなトコで悠長にしてる場合じゃないだろ。前より状況が
  悪いんだから。」
 「悠長なのはアンタでしょっ」
 「まぁまぁ2人とも。状況は悪くなったがね、このメンバーに限って新手が出て
  きたって事は、今回は鬼門の門を通り抜けられるということじゃないかね。」
噛みつきあいそうな二人を横目に、ゆったりとジャンが立つ。薄暗い先の道に挑む
様な眼差しを向けてアザの拳を握りしめた。つられてパームも立ち、芳岡は輝き出
した剣を持って立ち上がった。ジャンの言葉に”今度こそっ”と思いをかたくして
再び3人は歩きはじめた。


 進めば進むほど厄介なモノに行く手を阻まれた。奇妙な植物、グロテスクな生き
物、歩きにくい足場。 人為的現象も短時間ではあったが回数が多くなり、突然に
現れては消えるので、芳岡達の精神的疲れは倍増した。
 ある時は炎に包まれ、また無数の手に取り囲まれもした。巨大な顔が猛烈な勢い
で向かってきた時はさすがに後退さった。
 ただ、そういう現象も生半可なもので、炎に包まれても熱さは感じるが焼けない、
手も実態のあるものは少なく、ほとんどのものが幻影で終わった。
 「全部まぼろしにしてほしいわっ。」と先頭を行くパーム。
 「本物も混じってるから、気が抜けないよ。まったく。」
と間の芳岡が傷した腕を見やった。
度々の現象で多少の傷をおった彼らは、文句を言い言い歩いた。
 「敵はんもまだ未熟なんやろて。でも完璧やったらもっとコワイがな。」
後ろのジャンの笑い声に、二人はため息で応えた。


−−−ズサッ−−−
 飛びかかってくる最後の一匹を切り捨て、芳岡は返り血を浴びたまま荒い息で地
面を見回した。(グロイ...)ムッとする悪臭とメッタメタの残骸に、こみ上げ
てくる胃液を構わず吐き出す。
 「芳岡。。もう少しだ。あと....少し。」
 同じく荒い息のジャンが、自分に言いきかせるように呟いた。疲れた....。しか
し、後一歩なのだ。洞窟は狭くなってきている。グッと狭くなった所を抜ければ開
けた場所、鬼門の門の前にでる。そこで番人を倒し、門が開いていれば....。
パームも同じ事を考えていた。(門さえ開いていれば....)そう思いながら顔を上
げたとき、フッと芳岡と目が合った。そのまっすぐなファイトある瞳に、パームは
ニッと笑みを返し叫んだ。
 「今度は行けるっ。行けるぜ!」


 歩調が変わった。洞窟が狭くなるほど速くなり、阻む敵も全ては殺さず、通り抜
けれる程度に殺した。それで追いかけられる形となったが、構いはしなかった。
おかげでますます加速され、狭所を目前とした時には猛烈な勢いで走っていた。
3人は一気に狭所をくぐった。とたん広く明るい場所に出て、その落差にフラッと
きたがとにかく走った。
 「アレが鬼門かっ。 アレがッ!」
芳岡は前方にそびえる大きな門に突進していった。一心不乱に、襲い来る敵にも
構わずひたすらに走った。門の内に啓子の姿を思って....。
 「ジャンッ!見てッ。 門が開いてる! 門がッ」
 「ああ、パームッ。ホントだ!門が、門があいているっ! しかし....」
芳岡の後をパームとジャンが続いていた。追ってを散らしながら走っているので、
遅れをとってはいたが、それでも速く走っている。ジャンは喜んではいるものの心
にひっかかりを感じていた。
 門の手前で2人は芳岡に追いつき、3人は今まさに門の内に飛びこまんとしてい
た。....とその時、ジャンが叫んだ!
 「なぜだッ!? 番人がいない!!」

  ....しかし時既に遅く、彼らは門の中へと消えていた。

                   /// つづく ///




前のメッセージ 次のメッセージ 
「CFM「空中分解」」一覧 AYASEの作品
修正・削除する コメントを書く 


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE