#813/1158 ●連載 *** コメント #812 ***
★タイトル (sab ) 10/03/19 17:55 ( 31)
ひっきー日記10 ぴんちょ
★内容
もう二度とその掲示板には行かなければいいのに、気になって見
に行く。コメントは零なのにヒット数は上がっていた。スルーさ
れたのか。ついでにその女子大生の過去の書き込みも読んでみた。
元々は地元の先輩がバンドをやっていて、その人が上京して大学
でバンドを結成してインディーズからデビューしてチャットモン
チーの前座を務める様になって…ともの凄いボリュームの記事を
書いている。こんなに書くんだったらロキノンにでも提出すれば
取り上げてもらえるかも知れないのに、『あの頃ペニー・レインと』
みたいに。そう教えてやろうかとふと思う。何で俺が。夕べはガ
ンホの画像を貼り付けておちょくった癖に。何かいい計画を思い
付くと自分の立場を忘れて発言する奴を手段合理性に疎外された
実存という、と倫社の教師が言っていた。ギロチンは断頭台を発
明して自分も首を落とされたとか。
それから数日した或る晩だった。この女子大生は3ピースバンド
が好きという事でアナログフィッシュのライブに行った。クラブ
クワトロから出てくるとまんきつに直行して「今、興奮も冷めや
らぬままこれを書いています」とレポートしてくる。それを自室
のPCで読んでいる俺。俺はミクシィのアナログフィッシュのコミュ
にも行った。「今、会場から出てきてこれを打っています」とか
書いてある。「自分は柱の左側でおしくら饅頭していました」、
「えっ、私は柱の右側にいたんですよ」。なんだこいつら。そん
なに近くにいたんだったら、合コンの後ファミレスでの感覚でお
茶でもしてくればいいじゃないか。更にこの女子大生はミクシィ
にも参加せず一人でまんきつからこの寂れた掲示板に書き込んで
来る。相当孤独な人なんじゃないだろうか、と思っている内に又
書きたくなってきた。書きたい。書いてもいいんじゃないのか。
たとえひきこもりでも。「あなたは本当は寂しい人だ」。…翌日
目が覚めると又吐き気に襲われた。何で俺はああいう事を書くわけ?
何か台詞が思い浮かぶと、それを言うに相応しい人に”なりきり”
して言うんだろうか。