AWC フリー日記: 買い得CD


        
#318/566 ●短編
★タイトル (GSC     )  07/07/10  20:11  ( 57)
フリー日記: 買い得CD
★内容
 新聞の広告を見て購入したCDが、昨日到着した。CD50枚で、
なんと10500円というのはあまりにも安すぎるから、どうせろくな
音楽ではあるまいと、高をくくって半ば馬鹿にしていたが、なかなか
立派なものである。
 注文する前に、東京の店へ電話で確かめてみたところ、おっとりした
感じの女性が電話口に出て、「輸入盤なので安いんです…。商品が到着後
にお金を振り込んでいただけば結構です」と言うので、10500円を
捨てたつもりで早速注文したのだった。
 小包の段ボールを開けると、またボール箱が出てきて、その中に
ちょうど商品が納まっている。ビニールできちんとパックされており、
「いったん開封した後は返品できません」と書いた紙が入れてあるので、
「これはますます怪しいなあ」と思わされたが、今更やめる訳には
いかない。
 ビニールパックを開くと、コンパクトなケースに50枚のCDが綺麗に
立ててあり、日本語版の説明書もちゃんと入れてある。ケース全体の
大きさは、30×15×12センチくらいで、案外かさばらない。
 二階へ持っていき、普段使っているアイワ製コンポで1枚目を聴いた。
1曲目の〈アイネ クライネ〉は、「ウム、案外聴けるなあ!」という
印象で、これなら納得できる。2曲目の〈バイオリンとビオラのための
協奏交響曲〉は、無駄金どころか、名演奏の部類に属し、大変感激した。
 階下へ戻って説明書を読んでもらうと…。
 モーツァルトが10枚、ベートーベンが7枚、チャイコフスキーが
5枚、ショパンが3枚、シューベルト、シュトラウス、グリーグが2枚、
その他の作曲家は1枚ずつという選び方で、肝腎の演奏者については、
ラジオでほとんど放送したことがなく、不勉強の私には何処の国の人
なのかも分からない。ユーリ・シモノフ(指揮)、ジョナサン・カーネー
(バイオリンと指揮)、ロナン・オーラ(ピアノ)、ハワード・シェリー
(指揮)、クレール・ジポー(指揮)……。ユーディー・メニューイン、
ジャン・クロード・カサドシュ、レーモンド・レッパード、シュテファン
・ザンデルリンク、この辺りなら知っているが、前の五人は、恥ずかし
ながら名前も聞いたことがない。
 今朝も早朝から目が覚めたので、2枚目のCDを聴いた。
〈フィガロの結婚序曲〉、〈交響曲40番〉、〈交響曲41番〉。
 まず第一に、演奏がオーソドックスで、曲のテンポが私の感覚にぴったり
合うので驚いた。古来名指揮者による名演と言われる ジョージ・セル、
カール・ベーム、ブルーノ・ワルター、ジェームズ・レバイン、
ギュンター・バントらのモーツァルトは、速すぎたり遅すぎたりで、私の
好みに合わない感じだったが、今回少なくとも1枚目と2枚目を聴いた
限りでは、どの楽章もちょうど良い速さになっていて、こんなにも趣味が
一致するものかと不思議にさえ思える。
 次に、表現が大げさすぎないのがよい。特徴がないと言う人もいる
だろうが、私はオーバーな表現を好まない。自分が作成したレコード
『あけぼの合唱団15年の歩み』でも解る通り、音楽の基本的な要素
(音程・音色・リズム・ハーモニー)が正しければ、表現は控えめで
よいと考えている。その点、このCDは申し分ない。
 楽器の音色も綺麗で歯切れがよく、とりわけ木管が美しい。
 要するに、地味だが爽やかで正確な演奏のモーツァルトに仕上がって
おり、まだCD2枚しか聴いていないのでなんとも言えないが、先に
挙げた五人の演奏家や指揮者は、将来大物になるのか、あるいは、私が
知らないだけで、既に一流のアーティストとして知られているのか、
いずれにしても、今後の楽しみが増えた。
 問題は録音状態だが、バランスは良いし音質も鮮明で、残響も少なく、
90パーセントの満足どと言えよう。願わくば、もう1メートルほど
マイクロフォンを近づけ、エコーを二メモリくらい小さくしてくれると
なお良かった。

      [平成19年(2007年)7月2日   竹木 貝石]





前のメッセージ 次のメッセージ 
「●短編」一覧 オークフリーの作品
修正・削除する コメントを書く 


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE