AWC 桜の下で  $フィン


        
#153/569 ●短編
★タイトル (XVB     )  04/03/18  12:08  ( 45)
桜の下で    $フィン
★内容

 私には好きな男の人がいました。愛して愛して死んでもいいと思うぐらい愛してい
ました。男も若い私を愛してくれていたと思います。そのうち一日とあけずかかって
きた携帯が三日に一度になり、五日に一度になり、一週間となるにいたって男は仕事
が忙しくなったのだよとぶっきらぼうに言うだけになりました。私はそれでも男を信
じました。そしてとうとう一ヶ月の間携帯にメール一つも入らなくなりました。私は
会社から出る男の後をつけました。そして見たのです。私より若い娘と食事をし、笑
いあい、肩を組んでホテルにはいっていきました。
 翌日私は男に話したいことがあるといって二人の思い出の場所、桜の樹の下で待ち
合わせました。男は迷惑そうな様子でたばこを吸ってそっぽを向いています。優しか
った男は今や見知らぬ他人の顔になっています。私はそんな男の顔を見たくありませ
んでした。隠し持っていたナイフで後ろから忍びより咽喉をばっさりやりました。テ
レビでやっている殺人事件と違い、男の血は威勢良く私の服をまだらの朱色に変えま
した。身体をエビそりにし、ひくひく痙攣が続く中、男のズボンをおろすと諸悪の元
凶を握りしめ、そしてばっさり切りました。男は悲鳴をあげました。悪い枝は剪定し
なければなりません。息をしなくなった男を復活させるために桜の樹の下に切ったも
のが新しい芽が出てくるようにあおむけにして寝かせました。

 桜は男の養分をすっていつもにまして綺麗で美しく花見客をたいそう喜ばしました。
私も男の上で、お酒を飲んだり歌ったりしましたが、あれの復活とこれからのことが
気がかりであまり酔えませんでした。


 花見の時期は終わり、そろそろ復活しているのじゃないかと暗い境内の中を男が埋
まっている桜の樹の下を懐中電灯で探しました。私の考えは間違っていませんでした。
無事発芽していました。それは桜の樹のようであり、また男のそれのようでもあり、
両者の中間のような存在でした。桜の妖気と人間の気、両方の性質をうけついだもの
がはえてきているのです。まだ誰も使っていない初々しいものです。これぞ私がずっ
と求めていたものです。私は下着を脱ぎ、その上にまたがりました。冷たくて暖かい
感覚です。植物とも動物ともつかないそれを自分のなかにおさめました。初めてのは
ずなのに私の秘花に刺激されて少しづつ膨張していくように思えます。私は地下で眠
る男が興奮するように快楽を汲みつくすところまでとってやろうと思いました。じゅ
くじゅくじゅく、粘液質の音がどれぐらい続きましたでしょう。気がついたら山の向
こうが薄明るくなっています。もう朝なのです。何時間もやっているので、それは今
でも爆発しようなぐらい巨大になっています。私はぐいぐいぐいと押し込め刺激を繰
り返します。そしてぱーんと音がして、男が破れ中から大量の花粉がでてきました。
私は満足し、その場を立ち去りました。

 噂に聞いたことですが、みんなを楽しませていた桜は衰弱して枯れてしまったそう
です。枯れた樹を掘り返すとき人間の形をした不思議な根がでてしばらくは話題にな
っていましたが、やがて人の記憶から消えたようです。私は今妊娠しています。来年
生まれる子供は、桜のように美しくて妖艶な少女になるでしょう。この私がそうだっ
たように…。でも娘には好きな男と普通に結ばれて平凡な生涯を送って欲しいと思う
のは親のわがままでしょうか。
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