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★タイトル ( ) 16/04/21 23:08 ( 27)
本の感想>『貴族探偵』 永山
★内容
その前に。
今日は宿にいて、そこからネットに接続しています。大丈夫とは思いますが、念のた
め、パスワードを使わないでゲスト書き込みにします。
本の感想>『貴族探偵』(麻耶雄嵩 集英社文庫)16/5452
山荘で社長を自殺に見せ掛けて葬ろうと、現場を密室に仕立て上げる犯人だが、アク
シデントにより、痕跡が残ってしまう。犯人が次に取った行動は……(「ウィーンの森
の物語」)。頭部と両腕を切断された女性の他殺体。切断部を埋めるところを目撃され
た男が容疑者として浮上するも、鉄壁のアリバイが(「トリッチ・トラッチ・ポルカ
」)。友人に海外旅行をドタキャンされ、彼氏の家を訪ねると浮気現場に出くわし、山
道を車で走っていると目の前に巨石が転がり落ちてきた。巨石があったと思しき家に出
向くと、面識のある作家が死体になっていた(「加速度円舞曲」)。
捜査に当たる警察の前に、貴族探偵と称するやんごとなき家柄の男がふらりと現れ、
使用人に推理をさせて解決してしまう。異色の名探偵?を主人公に据えた短編集第一
弾。
上記粗筋では触れませんでしたが、「こうもり」がベスト。これを読んでいるときに
心理的に乗れない状態だったため、休み休み読んでしまったのですが、それを激しく後
悔したです。作者の仕掛けに気付かず、分からないまま読了してしまうところでした。
ネット上で解説を見付けて、やっと理解した。普段の状態で読んでいれば、自力で気付
けた(驚けた)と思うので、勿体ないことしたなあ。
もう一作触れなかった「春の声」は、勘繰りすぎて、推理が空振りしてしまいまし
た。こっちの方は、収録作の中では下位になるかな。
それでも、全五作とも優れた着想に基づいた、しかも本格について充分意識して書か
れた傑作揃いと言えます。
ではでは。