AWC 童話『まるがおのりゅう』その2 おうしゅんほう


        
#2184/5495 長編
★タイトル (LDJ     )  93/ 6/29   6:53  ( 64)
童話『まるがおのりゅう』その2 おうしゅんほう
★内容


なんでおとなたちには「りゅう」がみえないんだろう。

じぶんたちはおまつりのときには「りゅう」のかみさまにおそなえするのに
ぼくが「りゅう」のはなしをすると、ばかなこというなとふきげんなかおに
なる。

チンフォンのおばちゃんだけはちゃんとはなしをきいてくれたけど、どうせ
ほんとうはしんじてなんかいないのはわかってる。だってこんなことをいう
んだ。

かわいそうに、このこだってほんとうはもうおとなになってるはずなのに、
なんでいつまでもこどものままなんだろうねって。それからぼくのかおをみて。

このこのびょうきにはそれこそもう「りゅう」のきもをたべさせるくらいし
かほうほうがないだろって。

それをきいたときその「りゅう」のこはじぶんがたべられるんじゃないかっ
ておもってぼくにしがみついてみーみーとないた。ぼくは、じぶんがなんのび
ょうきなのかしらないけれど、そんなことするくらいならなおらなくてもいい。

でもぼくがおどろいたのはこどもでも「りゅう」がみえないこがいるってこと
だった。

ぼくがそのこをともだちにみせたとき、ほとんどのこにはちゃんと「りゅう」が
みえた。でもちょっと、としがうえのこのなかにはみえることみえないこがい
たみたいだ。

いとこのポーちゃんはまちのがっこうへいっていて、ちょうどおやすみでかえ
っていたけれど、「りゅう」なんていないってむきになってしまいにおこりだ
してしまった。

ぼくはポーちゃんがもしかするとみえないんじゃなくてみたくないのかもしれ
ないとおもった。なぜならポーちゃんはむかしからおとなっぽくて、こどもたち
のあそびにはくわわらないこだったし。

けれどポーちゃんはあとからぼくにそっとたずねた。ねえ、「りゅう」はほん
とうにいるの?どこにいるの?って。そのときのポーちゃんのめはとっても
さびしそうだった。

かわいそうなポーちゃん。

ぼくらはしばらく「りゅう」のこ、とあそびつづけた。「りゅう」のこ、はみんなの
にんきものだった。


                   「まるがおのりゅう」その2
                        旺春峰

          ===============

P.S
龍が中華民族の象徴とされるのは、古代の大陸において各民族が一つになる時
それぞれの民族がその時に各々その象徴としていた動物の一部分づつを集めて
新しい動物の姿を創造したからだとされています。

鹿の角、蛇の胴、鳥の足、etc、ゆえに龍はコスモポリタンのさきがけとも言え
なくはないわけです。それに対して西洋のドラゴンは姿がよく似てはいますがあく
まで「男子が成人になるための通過儀礼」として征服、克服されるべき存在みたい
な気がしますね。

この二つの違いに興味があって以前調べようとしたのですが、まだなーんもわかり
まへん(^。^;




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