#2735/3137 空中分解2
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続続続続続続続続 【聖戦の道】ぎっしり道がまっぷたつの巻
★内容
続続続続続続続続 【聖戦の道】ぎっしり道がまっぷたつの巻
友人Pの怒りがその頂点に達したとき、事態は収拾へと急転回し
はじめました。職務に忠実な警察官が、Pの顔にむっとした表情で
反撃を試みようとしたときです。
対向車の列に異変が起きていました。異変と言うより、にわかに
周囲があわただしくなって、交通整理する声や、お願いしますの声
が、あたり一面に広がりはじめたのです。にわかに何が起きようと
しているのか、僕らには見当がつきませんでした。
しかし、この予想外の出来事が、友人Pの怒りと、警察官の義憤
との激突をそっぽの方向にそらせたことは間違いありません。
たった今まで、大交通渋滞の主役を演じていたPと警官の立場は、
劇的な主役の座からすべりおちていました。いったい何が起きたの
感とをぬぐい去るかのような新しいできごと。つまり、友人Pの行
く手を阻んで来た物量と成りゆきに動かさてきた寄せ集めの車列が、
一斉に退却を開始したというわけです。
なかなか壮観でした。「国産高級乗用車」のドライバーは率先し
て後続車両に後退するようてきぱきと指図をしていました。
離合不可能な細道にあとからあとから侵入してきた、一方通行違
反の車列は、自主的な判断で退却を始めたのです。それは、あのタ
クシー運転手とて例外ではありません。
今度こそ彼は、彼の仲間の手によって説得され、そうして渋々退
却をしたのです。
筋が通ったのです。
警官もあっけにとられて見ています。じきに、Pとにらみ合いの
1台対10数台。『くそ意地を張り抜く行為』が、ついに突破口
を開きました。
道みたいに、その行く手は輝かしい勝利の光で満ちているようでし
た。
この機会を逃す僕らではありません。こうして筋が通った以上、
速やかに前進してここを通過する。それだけのことです。要求が通
った以上、僕らはそうする以外に道はありません。
『おい...』
友人Pが声をかけるまでもなく、僕はPの車の助手席に座りまし
た。
そうして、止まっていた車のエンジンをかけるP。エンジンをか
けようとするP。エンジンをかけて道を開けた『無法の奴らの間を
堂々と通過しようとした』P。エンジンをかけて、ほこらしい勝利
への道を進もうとしたP。エンジンをかけて、この忌まわしい一方
通行の戦場を後にしようとしたP。エンジンをかけて、凱旋しよう
としたP。
エンジンはかからなかったのです。どうしたわけだか。排気量の
少ないPの車は、カーステレオだか、ラジオだか、なんだかをかけ
っぱなしに停車を続けているうちに、エンストしていたのでした。
何度挑戦しても、エンジンはかかりませんでした。僕ら二人は、
この『戦い』でかつてないほどの汗をたった今初めてかきました。
エンジンがかからないために、勝ち得た名誉を損なわないとなら
ないのか。この最後の危機をどう乗り越えたらいいのか。Pの決断
にすべてを委ねるしかありませんでした。
(以下次回)