長編 #2525の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
「滅亡と復活の狭間」(1) 井上 仁 「語り部は、あなたに問いかける。」 それは、いつだったのだろう…… それは、どこだったのだろう…… 語り部は、何も言わない。ただ語る。伝える。 語り部は、あなたをじっと見て、そして、話し始めた。 それは、いつだったのでしょうか…… それは、どこだったのでしょうか…… 誰も思い出せないほどの時を隔てた、もう誰もたどり着けない星の上。 小さな島がありました。 その島は美しい自然に恵まれています。 そこには村があります。村人が名前を覚えきれる程度の人数で丸太小屋などに住み、 狩りをして、果実をとりながら静かに暮らしています。 そんな小さな村から、このお話は始まります。 「おーい、ミィ。起きてるか?」 すっかり夜がふけて、村人がみな寝静まった頃、そう言いながら家の戸を叩く者が います。紫がかった闇色の空には満月が。 「……おい、起きろ。ミィ。おいったら……」 少年です。夜中なので彼は大きな声も出せず、じれったそうに言いながら小さくカ ツカツと戸を叩いています。 見るからに横着そうなその表情に、次第にいらだちが浮かんできたとき「「「 「ん……なによラスト……こんな夜中に……」 眠そうに目をこすりながら、一人の少女が戸を開けました。 「な、な、ミィ。今から幻想花見に行かないか?」 それを聞いて、彼女は一瞬絶句してしまいました。ミィというのはおそらく彼女の ことで、ラストというのは少年の名前でしょう。 「えぇ?いまから?いやよ……あたし眠いもん……」 「なにいってんだ。昼間に行かしてもらえるわけないだろ。それに今からいかなきゃ、 満月が欠けちまうぞ。なあ、おまえも幻想花、見たいだろ?」 「それは……見たいけど……あの森に行って戻ってきた人はいないって、みんなが言っ てるじゃない。今日だって、バロックおじさんが幻想花を見に行こうとしたけど、村 の人たちが全員で必死に止めてやめさせさじゃない。恐いわ」 「だいじょうぶだよ。ちょっと見てくるだけだから。なにかあったらすぐ帰ってこれ ばいいだろ。それにさ、もしかしたら聖なる鳥だって見られるかも知れないだろ?」 「……見たいけど……でも……こんな急に……」 そう言っても、話はもうラスト中心に進んでいます。幼なじみの彼は、いつも自分 で勝手に物事を決めてしまうのでした。今回も、彼女はおそらく断れないでしょう。 「よし、じゃあ待っててやるから、早く着替えてこいよ。そしたらすぐ出発だ」 「もう……いつもそうやって強引に決めちゃうんだから……」 などと言いながら、結局は断りきれずに家の中に入って行ってしまうミィでした。 ここで、幻想花のことをあなたにご説明いたしましょう。 幻想花とは、この島のはずれにある森の中にある『きらめきの池』と呼ばれている ところにたった一本しか咲かず、その上それが咲くのはよく晴れた満月の時だけとい う、まさに幻のような花なのです。そして、その花が咲いたとき、どこからともなく ほかに並ぶものがないほど美しい姿をした、一羽の鳥がその花の密を吸うために舞い 降りてくるという言い伝えが村に古くから伝わっているのです。 その言い伝えを確かめに多くの人たちが毎年その森へ出かけましたが、戻ってきた 者は一人もいませんでした。 人々はその鳥を聖なる鳥と呼んでいます。これだけ珍しいのですから、寝起きの女 の子が同行をしぶしぶでも承知するのは不思議ではありません。 「おまたせ。さ、早く行って帰ってこようよ」 「「「ショートカットにした亜麻色の髪と、少女らしく愛らしい顔立ち。 ミィは胸の所に赤いブローチのついたライトグリーンのワンピースを白いベルトで 止め、薄いなめし皮を足に巻いて靴がわりにしていました。 「……そんなにこの格好、おかしい?」 怪訝そうにミィが言います。 言われてラストは、ミィをじっと見ている自分に気がつきました。 「べ、別にそんなわけじゃないよ。さ、行こう!」 彼はとりつくろうような調子でそう言うと、ミィの手を引っ張って歩き始めました。 「や、ちょっともっとゆっくり歩いてよぉ!」 「「「などと言いながら、二人は『きらめきの池』へと旅立ちました。朝までには 帰って来れると思いながら…… 「これを抜ければ池に着くはずだ」 村を出て、そう1時間ほど経ったでしょうか。草原や草むら、岩のでっぱった歩き にくい所などを抜けて、二人は特に何事もなく「「「ラストが一度道をまちがえただ けで「「「池の目の前にある森までやってきました。 「なんだかわくわくするね」 すっかり目の覚めた顔をしてミィが言います。彼女はここまで歩いてくるうちに、 だんだんと幻想花を見るのが楽しみになってきていたのです。 「「「そういえばラストと一緒にこんな遠くまで来たのは久しぶりだな「「「 ミィはふとそんなことを考え、それからちょっと寂しい気持ちになりました。 このごろ、ラストはあまりミィと長く遊ばなくなってしまったのです。どうしてだ ろう……?小さい頃はもっと遅くまで遊んでいたのに…… 「あたしのこと、嫌いになっちゃったのかな……?」 「おい、なにぶつぶつ言ってるんだ。行くぞ」 ラストの声と、自分と同じように目を輝かせている邪気のないその顔をみて、彼女 はあわててその考えを打ち消しました。「「「嫌われてなんかいないわよね、現に今 だってこうしてあたしを一緒に連れてきてくれてるじゃない「「「 幼なじみの異性というのは、ある程度の年齢になると急に一緒に遊ぶ回数が減るも のなのですが、当然彼女はそんな事は知りません。 いえ、ミィだけではありませんでした。 ラストもまた、最近ミィとあまり長く一緒にいられなくなって、もしかしたら嫌わ れてきているのではという気持ちになっていました。だから、今日こうしてミィを誘っ たのも、彼としてはとても思い切ったことなのでした。 これは第三者がみれば滑稽な事ですが、当人達は笑いごとでも何でもありません。 「「「ほどなくして。 その森は以外に小さかったらしく、10分ほどで抜けることができました。 森が終わったのは、すぐに分かりました。 なぜなら、森の向こうでなにかが光っていたからです。 「……なんだ……?」 目を焼くような光ではなく、ぼおっとした、淡い、黄色い光でした。 「なに、これ……」 そのまま二人は、森の向こうがはっきり見えるところまで歩いて行って、適当な大 きさの木の影から、その光の正体を見ようとしました。 そして、二人は次の瞬間、大小併せて一気に目的を達成してしまいました。 そこには池があり、小さな花が一本、すっとそこから伸びていました。 また、池のほとりには、鳥が一羽いたのです。 言うまでもなく、それは幻想花と聖なる鳥でしょう。 けれどもう一つ、二人の目を引くものがあったのです。 立派な髭をはやしている、がっちりした、そして二人が見慣れていた…… 「バロックおじさん……」 ミィのその言葉どうり、その男は村の木こり、バロックでした。ラストは何度も彼 と一緒に木を切りに行って、切り方などを教えてもらっていました。ミィがついてく ると、バロックは笑って冷やかしていたものでした。 そのバロックはというと、鳥と向き合ったまま絶句しています。おそらく彼は二人 よりほんの少し早めにここに来て、そのとたんに降りてきた鳥とはちあわせになった。 そんなところでしょう。結局は抜け出してきたんだな、ラストはそう思いました。 と、次の瞬間、信じられない事が起こりました。 「な……」 「あっ……」 ほんの少しの間バロックを無感動に見つめていた鳥が、やにわにその羽をぱっと広 げたのです。開いたその羽は、鮮やかな色をしていて、とても綺麗でした。 しかし、じっくりと鑑賞などはしていられなくなりました。 羽から辺りの光と同じ色をした粉が飛び、バロックの体にふりかかり、彼はそのま まぐたっとなってしまい、それきり動かなくなってしまったから! 「……!!」 「おじさん!」 つづく。
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