長編 #2504の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
もしも僕が九医に入ってたら愛子と会わなかっただろう。 もしも僕が柔道部に入ってなかったら愛子と会わなかっただろう。 でもその方が良かったような気がする。 愛子の幸せにとって良かったような気がする。 一人ぼっちの護国神社に僕は今居るけど、冷たい北風が吹いてきていて僕らがここ で待ち合わせた6月の終わりのあの暑い日と全く違っています。もう愛子は福岡での 生活にも慣れて青春を謳歌しているんじゃないかな、と思うと一人ぼっちの僕はとて も寂しい心地に陥ってしまいます。 浪人の頃、2ヶ月半住んだ福岡の町。自転車で駆け回った福岡の町。そして元気い っぱいだったあの頃の僕。 今は寂しいけど、本当にぬるま湯に浸かったような楽な毎日です。あの頃は辛く厳 しい毎日でしたけどとても充実していました。とても楽しかった。友達もたくさんい たし、創価学会の同志もいたし、そして希望に溢れていたし、 愛子はあの頃の僕のように新しい生活に戸惑いながらもとっても楽しく毎日を送っ ているんじゃないのかな、と思います。僕もあの頃苦しかったです。愛子も仕事がき つくて苦しいと思うけど、頑張って下さい。 明るい愛子だから、とってもとっても明るい愛子だから。 愛子へ 愛子が去ってから、2度目の解剖実習をしたりなどで、とても辛い毎日ですけど、 愛子も新入社員で今はきついのだと思うと、僕も負けずに頑張らなければならないな 、と反省しているこの頃です。 僕は愛子の手紙に、夕暮れになるといつも悲しくなります、と何度も書いたことが あると思うけど、やはり今も夕暮れ時になるととても悲しくなります。愛子は福岡で 元気にやっていますか。僕は2度目の留年で落ち込み果ててはいますけどまあなんと なく毎日を僕なりに一生懸命に過ごしています。たしかに辛い日々ですけど、このく らいの辛さは僕が高校生の頃までの辛かった日々に比べたら何でもありません。ただ 元気がなくなったと言うか、そんな感じがしているだけです。 もしもボクが力を喪くして倒れそうになったとき、福岡に行ってしまった愛子の名 前を叫ぼう。もしもボクが毎日の生活に挫けそうになったとき、福岡の愛子の名を叫 ぼう。5月の青空へ向かって、ちょっぴり涙ぐみながら。 愛子へ。 僕は寂しいから、長崎の空は寂しいから、僕は福岡の空のなかへ溶けてゆこう。そ うして四六時中元気な愛子の姿を見ていよう。----そうなるととっても楽しいだろう なあ、って僕は思ってしまう。長崎の空を寂しく見上げながら。 愛子へ。 愛子が長崎を去ってから僕はとても寂しくなりました。もともと寂しがりやの僕だ ったけど。 僕はこの手紙を長崎の夜景を眺めながらクルマの中で書いています。あのでっかい 白いマークUでです。まえ暴走族が乗ってたというタコ足付きのボコボコという凄い 排気音のする奴です。 僕は今、立山の空き地にクルマを停めてこの手紙を書いていますけど、僕は淋しく って淋しくって。 ボロボロッと凄い音をたててたマークUも愛子が長崎を去って福岡へ行ってしまっ たのでとても寂しそうです。一度は愛子をこのマークUに乗せてドライブかそれとも 愛子を学校帰りに家まで送り届けてやりたかったけど、このマークUももうすぐ車検 でもう廃車にしようと思います。そうしてこれからはバスで学校に通おう、と思って います。 (僕も鳥になって飛びたい。この立山の丘の上から。そしてできれば夜景を突っ切っ て福岡の愛子のところまで一直線に飛んでゆきたい。福岡までたいへんだけど、長崎 から福岡の南区の高宮寮までとってもとってもきつそうだけど、僕は鳥になって飛ん でゆきたい。できれば白い白い鳥になって。) 愛子。明日から解剖実習が始まるけどそれが厭でふと霊界へ、と思ってしまいます 。本当に自殺したら地獄なのかな? この頃そのことを疑う僕です。 僕は今日、雨に濡れながらバイクで学校へ行くときとても悲しくなり泣きたくなっ た。また親に内緒の留年生活で、本当に自分はどうなるんだろう、また、どうしよう 、と僕はバイクの上で涙がにじんできそうになりました。 僕は一人ぼっちです。そして今、辛い二度目の解剖実習を週に三回ほど受けていま す。 でも愛子も新入社員だからきついのだろうけど頑張って下さい。僕も頑張るつもり です。 僕は親への罪悪感とそして友人も少なく、恋人もいない寂しさが今朝バイクの上で 僕をあんなにも悲嘆に沈めたんだと思います。 僕は風に揺られて飛んでゆきたい。誰にも知られずに、愛子の住む福岡の町へと、 誰にも知られずに、飛んでゆきたい。 空を見上げると“孤独な青春”という言葉がぽっかりと浮かび出てくるようです。 実は半年間、浜ノ町の統一教会というところに通っていてそこの6つ年上の(僕は始 め3つぐらい年上だと思っていた)お姉さんも4月の終わりに佐賀に行ってしまって 。 だから僕は今とっても孤独で、福岡の方の空ばかりを見つめて毎日ため息をついて います。 高見さんへ 福岡の空は寂しいです。とくに会社が終わる頃になると福岡の空は私に涙を出させ るみたい。私はやっぱり長崎に残っておくべきじゃなかったのかな、と思って(高見 さんのことが忘れられなくって)とても寂しくなります。 長崎にはそれに友だちもたくさんいます。福岡にも何人か高校の頃の友だちも来て いるけど、でも やっぱり高見さんに会いたくって、それでこんなに寂しいんだんなあと思います。 私、毎週でも長崎に帰りたいです。そして高見さんに会いたいです。 高見さんが迷惑でなかったら私毎週長崎まで帰ります。でも、きっと高見さん迷惑 でしょ。 愛子。愛子が福岡へ行って僕は一人っきり長崎に残されたけど、そして僕は寂しく て僕の胸は孤独感で今にも破裂してしまいそうだけれど、とくにこの頃曇り日が長く 続いているし、でも僕は負けないでもう二度と留年しないように頑張ってそうして卒 業したら福岡へ行こうと思っている。僕は、孤独な僕は寂しさに打ちのめされそうに なっているけれど。 淋しさに打ちのめされそうになったとき、僕は福岡の北の方の空を眺めよう。僕の 心のように空はどんよりと曇っているけれど、寂しくなったときはいつもこうしよう 。そうしたらなんだか少し僕の心も慰められるような気がする。 愛子が…元気な愛子が福岡から長崎にいる僕に向かって手を振ってくれているよう な気がする。とても明るい元気な愛子が。 愛子、僕はこの手紙を酒を飲みながら書いていることお許し下さい。 愛子、僕の不眠症は愛子が長崎から去って行ってから更にひどくなり、僕は夜、淋 しさや孤独感や焦りにさいなまれて苦しんでいます。もし、愛子が長崎に居てくれた ら(夕方、いつも夕方になると沈み込む僕を、愛子のふっくらとした胸で優しく抱き 締めてくれていたなら)僕はこんなに苦しまずに良かったのにと思うと、愛子が福岡 に去って行ったことが口惜しくてなりません。 愛子、だから僕は毎晩酒ばっかり飲んでいます。孤独感を癒すため、焦りや寂しさ を癒すため、 そして遠く福岡の空を、窓辺からまるで星に向かって吠えるように淋しさでいっぱ いになりながら眺めています。僕より孤独な人間はほかにはいないのじゃないのかと 思うこの頃です。 愛子へ。 僕は夕方になるといつも言いようのない悲哀感にとらわれてしまいます。毎日いつ も空が紅く染まる頃、カラスの鳴き声とともに僕は悲しみに打ちしおれてしまいます 。 愛子と会った護国神社の夕暮れの光景を、僕はよく思い出してしまいます。そして 僕は後悔と自責感にさいなまれ、なんだか涙が溢れてきそうになります。 僕は愛子を傷つけたことを思うと、僕も夕陽に向かって飛ぶカラスのようになりた いな、と思うこの頃です。 僕はカラスに変身して、僕は愛子に対して行った罪を償いたい気持ちでいっぱいで す。 私もふとどこかへ消えてしまいたい気持ちに襲われます。この頃毎日残業続きでき つくてきつくて私も高見さんの胸の中に飛び込んでいきたくてたまりません。 でも生きることって誰も辛いのだと思います。私もきついし、高見さんも辛いので しょうけど、でもみんな同じなんだと思います。でもみんな明るそうに振る舞ってる でしょう。 僕はボロボロと音をたてる白いマークUに乗って、僕は会いに行こう。福岡の愛子 に会いに行こう。もう夏なのに寂しすぎるから、こっそり愛子の姿を見るだけでいい から、僕は愛子に会いに行こう。もう廃車にするボコボコと音をたてるタコ足とスポ ーツマフラーの付いたマークUに乗って、とても幅の広いタイヤを履いたマークUに 乗って、僕はこっそりと愛子に会いに行こう。そうして知らないふりをして愛子を物 陰から覗いてみよう。 (出されなかった手紙) 愛子へ。なんだかいつものように夜眠れないでウツウツとしていると博多の港が透 視されるように思い出されてきます。そしてあの頃元気だった僕の姿も。 あの頃の元気だった僕に戻りたいな、という気持ちでいっぱいです。寂しくて一人 ぼっちだった福岡での2ヶ月間だったけど、あの頃の僕はとても元気で自転車競技や 勉強に炎のようにものすごく燃えていて、愛子よりも元気だったかもしれません。 そして僕はいつも港で自転車を近くに立てかけて潮風に吹かれながら勉強してまし た。自転車競技の練習の合間を縫っての勉強でした。 また愛子、福岡の町並みも見えてきます。とても懐かしい風景として。福岡はなん だか僕の第二の故郷のような気もします。 愛子の住んでる南区までも僕は何度僕の黄緑色のロードマンで足を運んだことでし ょう。でもあの頃よくそこで道に迷って、寮に帰ってくるときはいつも夜がとっぷり と暮れかけていて、そして寮の門には鍵がかかっていて、よく裏口の抜け口と言うか 秘密の塀を乗り越えて寮の中に入っていたことを憶えています。
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