長編 #2497の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
(桜雪) 敏郎作 僕は愛子の手紙をほとんどすべて捨てちまったこと…胸元が張り裂けるほど後悔し ている…。僕はあの頃狂っていたんだ…。自分の過去を塗り変えようと躍起になって いて狂っていたんだ。 …でも愛子とのあの頃が僕にとって最高の青春だったんだなあとばかり思ってため 息ばかりついています。今の僕は死にかけています。死神にとり憑かれていて明日に も死にそうなほど元気がありません。 あの頃の愛子との元気いっぱいな明るい日々に戻りたい気持ちでいっぱいです。そ してまた僕は“愛子と結婚しようかな?”とこの頃本気で考えています。再生のため には…生き続けるためには愛子と結婚するしか方法がないような気もします。 僕はまったく生きる意欲をなくしかけています。3度目の留年は僕を強く強く叩き のめし僕を確実に死へと導いているようです。…もしも進級できてたら僕は吃りの人 たちなどのために研究と治療に没頭する決意で毎日を燃える決意で送っていたのにち がいありません。でもこれからの一年間の暇な日々を考えると僕はいたたまれません 。 明日にでも柔道場へ行って柔道の帯で首を吊って死のうかな…とも考えています。 愛子、僕たちが始めてデートしたとき待ち合わせていたあの商業高校の裏の護国神 社のこと憶えているかい。あれは6月終わりのことだったね。愛子は明日から試験っ ていう日だったのにね。呼び出してごめんね。 あの夕暮れのとき、僕は愛子が始め解らなかった。綺麗な女子高校生が護国神社の 坂を登ってきて誰かを待っているようだったので、僕らのほかにもここをデートの待 ち合わせの場所にしているのがいるんだな、と始め思っていてそれで愛子を10分近 くも待たせておいてごめんね。僕が柔道の合宿のとき見てた愛子と違うようだったか ら。やっぱり体操服のときと学生服のときはちがうんだね。 (なぜ今ごろ愛子とのことがこんなにも思い出されてくるのかな。僕の魂はすでに急 降下を始めていて過去の記憶が走馬燈のように蘇るという現象がすでに起こりつつあ るのかな。そして愛子の手紙をほとんど捨ててしまったという罪悪感と悔やみが僕を 朝から何かに憑かれたようにしてこんなに夢中になって書かせているのかな。) 僕たちが始めて出会ったのは合宿第一日目の夕暮れだった。その日ボクは留年の通 知が家に行っているかも、と思って夕方の練習が終わってすぐ愛車のセルボで家に帰 ったんだ。夕方だから混んでいて行って帰ってくるのに一時間半以上もかかった。そ うして当然夕食に遅れてもうあと片づけをしているところだった。 僕はその頃ようやく衣服に目覚めかけ(4ヶ月ほど前のクリスマスイブの夜からの 手痛い失恋が今もまだつづいていたから。そして僕は今まで母の着せる自分の店の服 ばかり着てたのを町の若者向きの店で買うようになったばかりの頃だった。僕は5800 円したズボンと2800円の長袖のシャツとそして水害のあとに友だちと浜ノ町に出かけ て買ったたしか2000円ぐらいの丸っこいメガネを掛けていた。靴は母が知り合いから 買ってきた以前からの靴のままだった。 食堂は2階だったけど調理室は1階で愛子たちそこで食事をしていた。入口に立ち つくしていた僕に愛子は駆け寄ってきてそうして中のみんなに叫んだ。何と叫んだっ け。愛子の声はかん高くて大きくて叫んだように僕には聞こえた。) 僕は愛子に促されるまま中に入りそしてみそ汁などをついで貰って食べ始めた。僕 は始終うつむいていた。 ※(あの頃、愛子たちと出会った春休みの合宿のときクルマの中で書いたもの。まだ 残っていた。) ボクは明るいあなたたちを見ていて、生きよう、と思いました。 ボクはあなたたちを見て自分の少年の頃を思い出しました。そうしてとても懐かし くなりました。ボクの少年時代は暗かったけど、でもボクもあの頃はあなたたちのよ うに純粋でした。美しく生きようと思いました。 愛子たちの明るさはクリスマスイブの夜以来、意枯地になっていた僕の魂を大きく 大きく揺り動かした。僕は揺れた。夕食を食べながら。僕は大きく揺れた。僕の胸の 中は揺れてた。生きようと思いながら。 僕があの頃口癖にしていた言葉、愛子、知ってるかい。僕はそのころ『ダメダ、ダ メダ、』とばかり口にしていた。本学での合宿のときもずっとその言葉ばかり口にし ていて先輩たちからあきれられていたっけ。合宿所のなかに真夜中2時3時頃から目 覚めたボクが『ダメダ、ダメダ、』とばかりブツブツ言うものだからほかのみんなよ く眠れなくてとても迷惑していた。 僕の『ダメダ、ダメダ、』という独り言が止まったのはあの夕暮れ、愛子たちの明 るさにボクが触れたからだ。それ以来ボクは『ダメダ、ダメダ、』という口癖をほと んど口にしなくなった。僕は元気になった。そして生き返ったような気分になった。 (世の中にこんな明るい元気のいい生命っていうか女のコがいることを知って、そし てそのコとお友だちになれそうで、僕は急に生きる意欲が湧いてきたのだろう。僕は 生きようと思った。クリスマスイブの夜以来、奈落の底に落ちかけていた僕の魂は愛 子たちの元気さによって救い出された。ボクが陥っていた奈落の底から) 愛子たちは天使さまだったんだ。僕が陥りかけていた地獄の底から僕を救い出して くれる天使さまだったんだ。ちょっぴりポッチャリとしたでもとても元気のいい天使 さまだったんだ。 (一回目の手紙) 僕は毎晩毎晩父と母の会話に階段のところからソッと聞き耳をたてている。僕は僕 が留年したことを親に内緒にしているから。でもそれがいつどこから親に知れるか解 らない。僕は毎晩恐怖に脅えている。早く芥川賞を取りたいなあ、と思っています。 芥川賞取ったら留年したことを親に言おうと思っています。 愛子。僕は寂しい留年生活を送りながらつくづく“自分は果たして生きる価値のあ る人間なのだろうか?”ととっさに不安に駆られてしまいます。そして愛子の所に走 っていきたくなります。250ccのバイクに乗って愛子の住んでる香焼の夜の闇を 突き破るようにして。 僕は高校の頃からよく“ピストルが闇の中に浮かんでいてそれが僕のこめかみを突 き破る”幻想に悩まされてきました。でも僕の手元にはピストルはありません。そん なに簡単に死ねる道具があったらどんなにいいでしょう。それに死んだら親が可哀相 です。 高見さんへ お手紙どうもありがとう。でも私びっくりしています。高見さん、死ぬのだけはや めて下さい。私、とってもびっくりしています。 私も今までとっても辛い経験をしてきました。私の母は私が4歳のときに死にまし た。それからずっと2つ下の弟と生まれたばかりの妹の面倒を私が見てきました。小 学校の頃は友だちと遊べなくてとても辛かったです。中学になると下の妹がどうにか 家事をやれるようになってそれでテニス部に入ったんですけど。 小学校の頃は本当にきつくって私何度母と一緒に死んでたら良かったのに、と思っ たことでしょう。 それに私が中学二年のとき継母が来たし。 話は変わって今私たちはクラスマッチの練習で大忙しです。放課後遅くまで練習し たりしています。私はテニスにでるんですよ。そうしてダブルスでは優勝候補に挙げ られています。私、中学の頃2年のときからレギュラーで私たちの中学(香焼中学) は2年連続で県大会で優勝したんです。そして私、3年のときはキャプテンしていま した。 ----------------------------------------------------------------------- テニスしている少女の絵 --------------------------------------------------------------------- ※(二度目の手紙だろうか) 愛子へ 僕はこの頃、愛子の手紙に元気づけられて毎日をなかなか元気いっぱいに生きてき たつもりです。しかし僕はやはり落ち込んでしまいます。とくに夕暮れから夜になる 頃。 僕はもうほとんど沈んでしまっている山の端の太陽のところまで走っていってそこ で(※消去されている)という衝動にやはり駆られてしまいます。まるで狂気でしょ う。僕は発狂寸前の男です。アルバイトをできない留年を繰り返しているそしてそれ を親に言えないでいます。 僕はその頃愛子と僕との恋が成り立つことが世の中のためみんなのためにプラスに なることかマイナスになることかと考え込んでは悩んでいた。愛子と僕とがつき合う ようになると恋人のいない者が減り恋人のいない者たちが余計焦るようになる(マイ ナス)。そのマイナスと僕たち二人だけの幸福(プラス)とどちらが大きいだろう。 つき合わざるべきかそれともつき合おうかと迷った。 僕と愛子が犠牲になるべきか、それとも二人の幸せを悪魔のように追求してゆくか 。僕は迷った。しかも二人だけの幸せにもそこへ行きつくまで多大の困難が待ち構え ていて他の人たちにはマイナスとなるところをそれらの困難を克服してまでも突き進 むべきか僕は迷いに迷った。それとも友だちを紹介してほかの人たちへの幸せになる のかもしれない。
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