長編 #2105の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
「チャニング中佐、敵一名射殺、一名を捕虜にしました。そ れから、居住区に作業員の遺体を七体確認しました。」 「捕虜を確保し、船まで運んでくれ。」 「了解」 なんとも味気ない終わり方だな...。考えている向こうには、 不安そうな表情をたたえているジャックがいた。 クレイドルはシトレーに他の二名が倒れた事を伝え、降伏を 促した。しかし、これは逆効果となり、シトレーは制御板を何 か操作した後、制御室奥の装置の間に壁を背もたれにしてしゃ がみ込んでいた。 「突入!」 クレイドルとジョーンズが転がりながら制御室に突入した。 十数発の応酬の後、シトレーは首を垂れた。 「中佐、作戦完了ですね。」 ジョーンズは自分に言い聞かせるような口調で、戦闘の終わり を宣言した。 「いや、まだだ。竹山にコンピュータの制御を取り戻しても らわないとな。」 「山田さん、竹山さん 出番ですね、我々はひと休みしてい ますよ。」 山田と竹山を制御室に残し、クレイドルとジョーンズがでていく。 「早く片づけてくれ、俺も眠たいからな」 「まずいな、パスワードが変更されている上に、間違ったパ スワードを入れると姿勢制御ロケットを制御して衛星自体を消 滅させてしまうかもしれない。」 「それでは、まず姿勢制御ロケットへの回線を切断しよう。」 「なるほど、それはあのパネルだな...。どちらにしても 回復までには最低一日はかかりますよ。」 「時間はたっぷり有るさ。」 5 その時、誰もが予期しない事態が発生していた。ジョンとキ リーが強襲艇に気を失ったデイビットを運び込もうとしたとき。 ドッキングベイの奥の方から、銃声が聞こえジョンは血飛沫を かぶった。二人は強襲艇の扉の陰に飛び込んだ。 「軍曹、大丈夫ですか!」 「俺は大丈夫だ、お前こそ....」 二人は顔を見合わせ、揃ってデイビットの方を見た。 「しまった。口封じか...。」 「中佐、デイビットが撃たれました。」 「まだ敵がいるのか。」 「そのようであります。」 ジョンとキリーは数発の銃弾を避けつつ、前に進む、回避と 突入を繰り返しジャックがいるブロックまでたどりついた。 「ジャック、敵はどうした。」 ジャックは居住区の方を指し示した。 「敵は一名です。」 「分かった、ジャックは制御室を守ってくれ、我々は中佐と 共に敵を挟撃する。」 このとき、この状況を正確につかんでいたのは一人だけであ った。 ジャックは制御室に入り、山田と目を合わせた。山田はジャ ックの右手に握られたライトガンの銃口が自分の方に向けられ 且つ微妙に揺れているのに気がついたとき、それまでの疑問は 消え、一本の道筋が見えた。 山田は衛星の制御データを確認し、反乱を起こしてから自分 達が乗り込むまでの間、ハッチ、ドッキングベイの開閉が一切 無く、新たに犯人が乗り込んできた可能性がないのだ。 「伏せろ!」 山田は竹山を突き飛ばし、自分は宙を舞いながら、腰の銃を 取り出した。山田の銃が火を吹くより先にジャックの銃弾が山 田の耳元をかすめ竹山の左胸に達した。 「竹山!」 「………」 既にジャックは姿を消していたが無駄な六連射が空虚な室内 に反響した。 「ばかやろう!………。」 「チャニング中佐! ジャックが竹山を撃った。重傷だ。」 この瞬間に殆どの状況を皆が認識した。クレイドル、ジョー ンズ、ジョン、キリーが息苦しい空気のみを間に置いていて、 事態は最も不愉快な物になっている事に気がついた。 「山田!竹山は...」 呼びだそうとしているときに、さらに不愉快な振動が襲った。 居住区それも一番制御室に近い側で爆発が起こったのだ。 「全員脱出! チェイニー、発進用意! バーンズ!ドッキ ングベイを確保してくれ。」 ジャックと銃撃戦を行う事無く全員ドッキングベイまで戻っ てきたとき、再び前よりも強烈な振動が襲った。ドッキングベ イと制御室の間の通路で起こった爆発はドッキングベイの空気 も吸い出していた。コンピュータが復帰していないためブロッ ク隔壁扉が動作しない。 「彼奴はどういうつもりだ。」 「.....」 ジョーンズの疑問に即答できる物は誰もいなかった。それは、 とりあえず強襲艇に戻る事を優先していたからでもある。 強襲艇には来たときよりも少ない人数で、離脱の体勢を取ら ねばならなかった。 「離脱」 既に、衛星は姿勢制御の機能を失い、居住区の円筒軸と異な る無意味な方向に回転を始めていた。 「一発やりましょう!」 血の気の多い奴だなと思いつつ、クレイドルは答える。 「それがジャックの目的ではないのか、もっともこのままで はその目的は達成されてしまうがね。」 ジャックは証拠隠滅を謀るのが目的で特殊部隊に入隊してき た。そして、まんまとこの事件の証拠を消滅させようとしてい る。衛星は軌道を外れ大気圏に再突入するコースに乗っている。 「衛星の軌道を計算し、墜落する位置を算出してくれ。」 「………太平洋です。」 「軌道を変えて、陸地に墜落するように出来ないか。」 四000mの海底に沈んでしまえばどうにもならないが、陸 上ならまだ調べようがあるから……。 「我々も軌道変更しないと基地に帰還できません。」 「そうか、残念だが…。 軌道変更、Nellis基地への帰還コー スにセット」 「了解」 衛星は一度目の再突入で太陽電池をバラバラにまき散らした。 円筒型の居住区はバウンドし二回目の再突入で地上に落下した。 赤熱した居住区は陸地も見えない太平洋のど真ん中に着水し、 海水面への衝突でバラバラになり、殆ど海中に没してしまった。 ジャックの目論見は完成し、この事件の全貌を明らかにする には長い時間がかかると思われた。 6 ベイウルフは大気圏再突入の後、Nellis基地の滑走路に舞い 降りた。幅広い滑走路は褐色の無味無臭の土砂漠の中に雄大な 自然を切り裂くかのように一直線に延びている。滑走路の脇に 止まったベイウルフのドッキングベイが開く。土煙の航跡を引 きながら1台のバスがやってきて、タラップの前に止まった。 作戦を完了したと言う満足感に満ちた表情のバーンズとジャ ックの背信に対する不快感を隠せないクレイドルがタラップを 降りてくる。 「中佐、誰もいませんね。」バーンズはフラッシュの出迎え を期待していたのである。 「これが秘密主義と言う奴だな。」クレイドルは今回の作戦 の掛けの部分に目を向けていた。 八人はバスに乗り込みベイウルフを後にした。高音のモーター の振動に揺られながら、クレイドルは重い口を開いた。 「マスコミに秘密にするのは無理だろうね。現時点で秘密に したとしても事が大きすぎる。早い内にマスコミに嗅ぎつけら れるよ。秘密にした事が後でどう響くか、彼らはどうするつも りなのだろうかね。」 一人で喋ると深い眠りに就いた。 実際に、三ヵ日後にはこの事件がマスコミを賑わしていた。 そして、この政治スキャンダルは大統領選挙の直前にして民衆 に与えた影響は大きかった。まだ、この事件を起こした源は氷 山の頂さえ出さず、深い混迷の海にどっぷり浸かっていた。 これは事件の終わりではなく、その後続く混乱の始まりに過 ぎなかった。 ======================================================= はじめてアップします。書き方など良く分かっていない点も あるので、いろいろ教えて下さい。 宜しくお願いします. Marchin Muller
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