#2606/3698 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 23/03/17 20:16 ( 27)
どこまで“ファンタジー”してよいか 永山
★内容
中華風時代推理のネタ探しを兼ねて、現代法医学の本(専門書ではなく、読み物・エ
ッセイの類)を読んでいると、火事の焼け跡から見付かった遺体(黒焦げになってい
る)の死因を特定する話が出てきた。その本の記述によると、頭骨を開いて脳の状態を
診れば、特定可能とのこと。
私が特に気になったのは、脳の状態で死因を特定する方法が、専門家の間でもほとん
ど知られていない、という旨の記述があった点。もちろん、この本の出版された当時時
点ではあるんでしょうけど、これほど重要な方法が広まっていないとは。
――ここから自分が創作するときのことを考え始める。(^^)
てことは、まだ調べてないけれども、恐らく古代中国の検屍指南書にも、黒焦げ遺体
の死因を特定する方法までは載っていないのだろう。仮に載っていても正確さに欠ける
と想像される。
一方で、くだんの特定方法は現代的な技術や道具、薬品などを必要としない、目視だ
けでできるもの(のように読めた)。つまり、時代が古かろうと、判断基準さえ分かっ
ていれば特定可能のはず。
さて。ならば古代中国風の世界を舞台としたミステリで、探偵役を務める検屍官に、
上述の死因特定方法を使わせてもよいかどうか。
“いくら空想の世界を舞台にしているとは、史実とあまりに異なるのはだめだろう。火
薬や羅針盤の発明が前倒しし過ぎだと興ざめになりかねない。あれと同じだ”
“いや、空想の世界を舞台にしているのだから史実に厳密にあわせる必要はない。描い
た文明社会で実現可能なレベルなら遠慮なく取り入れるべきだ”
といった異なる立場が想定されるけど、悩ましいな。当時でも導入可能だったとの理
屈で取り入れていいのなら、指紋もOKになりそうだけど、証拠としてどのくらい説得
力を持たせられるのかがやや疑問。
用いて可の立場を取るにしても、どこかで線引きは必要な気がするし、どこで線引き
するかも悩ましい。
ではでは。
#2607/3698 ◇フレッシュボイス2 *** コメント #2606 ***
★タイトル (GVB ) 23/03/18 17:19 ( 13)
中国の黒焦げ死体 祭
★内容
黒焦げ死体の死因の特定と中国で思い出しました。
乱歩に『探偵小説の「謎」』というエッセイがありまして、この本の「原始法医学書
と探偵小説」という章で『棠陰比事』という中国宋代の裁判実話集の法医学的な事例を
紹介しています。
夫を殺し家に火をつけて焼死を装う妻の話です。
法廷で二匹の豚を一匹は生きたまま一匹は殺してから焼いてから死骸の口の中を調べ
ると、死んだ豚の口中には灰がなく生きたまま焼いた豚の口中には灰がある。火の中で
呼吸をしたからですね。
で、夫の死体を調べると口の中に灰がまったくない。これは死んでから焼いたのだ、
と妻の嘘がばれるいう話です。
宋は古代じゃないと言ってしまえばそれまでですが、この事例などは特定の発明発見
に依存していない死因特定方法ですのでもっと昔の話と言ってもおかしくないんで結構
いけそうな気はします。
#2608/3698 ◇フレッシュボイス2 *** コメント #2607 ***
★タイトル (AZA ) 23/03/18 20:09 ( 35)
まっくろくろ〇〇 永山
★内容
祭さん、レスをどうもありがとうございます。
『探偵小説の「謎」』(江戸川乱歩 教養文庫)は私も所有して読了済みでして、
『棠陰比事』について書かれた章も、記憶に残ってました。その記憶があったがため
に、中華風時代物ミステリを自分でも書いてみようと思い立った際、参考にすべく、岩
波文庫から出ている『棠陰比事』の和訳を古本サイトで手に入れ、通読したくらい(な
お、『洗冤集録』も欲しかったけど、ダイジェスト版の『中国人の死体観察学』もそれ
なりに値が張るなあと後回しにした次第。結局、そこそこいい値の古本『・死体観察
学』を入手)。
祭さんが引用された話は、現代でも捜査の基本となっている(みたいです)し、理屈の
分かり易さもあってか、時代物ミステリ(中国に限らず。日本だと江戸の捕物帖とか)
でしばしば使われているような印象があります。
折角なので、『棠陰比事』を読んだ雑感をば。結構な数のエピソードが収められてい
ましたが、「これはミステリに使えるかも?」と判断して栞を挟んだのは三箇所でし
た。(^^;
一つは中国時代物ミステリでやたらと出て来るイメージの、脳天に釘を打ち込んで髪
でカムフラージュ。掲載されていたのはその殺し方にいかに気付くかについてで、いま
いちピンと来ないのが惜しい。
二つ目は、身体に偽の傷や痣を付けるための草。普通に使えそう。
三つ目は、鼠の糞が乾いているか湿っているかで、諸々判定する話。つい先日観た中
国時代ドラマにもこのネタが用いられており、ポピュラーなんだと思います。あまりに
ポピュラーだと使いにくそうだけど、果たして?
といった具合でした。
あと、ついでと言ってはなんですが「古代」とか「中世」とかの分け方、私、よく分
かってないです。(--;
調べてみたら、単純に何年から何年までは古代で、ここから先は中世、という区分け
ではなく、洋の東西や地域差があるみたいで。
だったら空想の産物である中華風時代物の場合、どの表現を使うのが妥当なんだろ
う? 中国に合わせるべきか、でも西洋風の国とも交わりも書きたいし、そうなったら
記述がややこしくなるんじゃないのかとか、迷ってしまって。
結局、作中で古代だの中世だのに触れる必要はないと思い、そうしています。ただ、
あらすじを書く際に困る。(^^;
ではでは。