AWC 何者だけど何者でない   永山



#9145/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  16/12/27  21:08  ( 20)
何者だけど何者でない   永山
★内容
 NHKBSプレミアムで放送のドラマ「江戸川乱歩短編集2『何者』」を録画視聴。
少しネタバレ注意です。
 まさかの第二シーズン開始。滅茶苦茶面白いって訳じゃないけれど、独特の雰囲気と
いうか味わいがあって、結構いいと感じていましたから、これは嬉しい。
 今回の話は原作を読んだことがあるはずなんですけど、何となく印象が違う。前もっ
て明智の正体が告げられていたせいかしらん。そもそも、どうして明智の正体を端から
明かす形で映像化したのか、理解に苦しむ。原作ではそうじゃなかったと思うんだけ
ど、違ったかな? 何にしても、本作の趣向を活かすには、第一シーズンの第一話でや
るべきだったと思わないでもなし。
 ミステリとしては、上述のネタばらしのおかげで容疑者が一人減る感じ。そうでなく
ても、現在の読者・視聴者には、看破されやすい内容だけに、弱くなった。
 尤も、物語としての面白さは損なわれていない気もします。倒叙推理と捉えれば、犯
人と探偵の駆け引きが魅力的な見所になっている。
 あと、動機が時代を反映していましたね。今はまだ通用すると思いますが、その内、
この動機だと説明なしでは「はあ?」となるのかも。
 そうそう、一つ分からなかった点が。明智小五郎が琴野家の屋敷から金粉まみれにな
って出て来たのって、何の意味があったのやら。原作にもあったシーンなんだろうけ
ど、全然覚えていません……。

 ではでは。




#9146/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ    *** コメント #9145 ***
★タイトル (AZA     )  16/12/28  19:41  ( 20)
素人でも玄手組   永山
★内容
 NHKBSプレミアムで放送のドラマ「江戸川乱歩短編集2『黒手組』」を録画視
聴。一応、ネタバレ注意です。
 シーズン2の二話目。ということで、一話目で朧気に感じていた、「第一シーズンに
比べると、今回は比較的大人しい、オーソドックスな作りだなあ」という印象を、二話
目でも感じてしまった。乱歩の初期短編を気鋭のクリエーター達が映像化するっていう
謳い文句なんだから、毎回違う人が作ってるはずなのに、『何者』『黒手組』と続けて
あまり冒険していないように思えた。配役はどこまで希望が通るのか分かりませんが、
工夫は見えるものの、前シーズンに比すと今一歩の感が。
 尤も、第一シーズンの視聴を経て私が慣れてしまい、少々変わった演出をされても響
かなくなっただけなのかもしれませんが。
 それはさておき、この『黒手組』は原作未読(多分)。読んでいたとしても、まるで
印象に残ってない。面白くない訳じゃないけれど、足跡のトリックに関しては無理があ
りすぎる気がする。そういえば、『何者』も足跡トリックだったなあ。被らないように
セレクトすべきではないのかしらん。
 そもそも、三十分に収めるには、この作品はちょっと長かったんじゃないかと思う。
終盤の謎解きが早口の喋り一辺倒で、聞き取りにくい・分かりにくい・単調、といいと
ころなし。折角スライドを持ち出してきておきながら、暗号の解説をさっと流してしま
う辺りも勿体ない。

 ではでは。




#9147/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ    *** コメント #9146 ***
★タイトル (AZA     )  16/12/30  20:13  ( 30)
満員座椅子   永山
★内容
 NHKBSプレミアムで放送のドラマ「江戸川乱歩短編集2『人間椅子』」を録画視
聴。ネタバレ注意です。
 この原作小説は当然ながら読んでおり、記憶もさすがに鮮明です。で、観る前に疑問
に思ったのが、どうやって明智小五郎を絡めてくるんだろう?ということ。このドラマ
で明智小五郎を演じる俳優は、今回もキャストに名前が挙がってるし、その一方で、原
作小説をなるべく原作通りに映像化するのがこのシリーズのコンセプト。どう料理する
のか、お手並み拝見――。
 答は簡単でした。いつも明智小五郎を演じていた俳優が、今回は別の役をやった、た
だそれだけ。うーん。
 さて、本作は文章で読んでこその味わいが強くあって、映像化は結構難しいんじゃな
いかと想像していましたが、ドラマでもかなりうまく表現していたのではないでしょう
か。原作をそのまま読み上げる台詞は仕方ないので、どんな画を作るかにかかってくる
訳ですが、なかなか面白い表現を採用していたのではないかと。まるでバラエティ番組
「タモリ倶楽部」のオープニング&エンディングに、AVの企画物をプラスしたかのよ
うではありましたが、ユニークだったのは確か。そのインパクトで、実際のところは
「人の肌の感触が伝わってくるのは無理があるだろう」って突っ込みを(ある程度)抑
えられたように思います。
 気になったというか、意図の分からなかったシーンが一つ。序盤、手紙を受け取る立
場の女性が、椅子に腰を下ろしている場面で、椅子と女性の間にもう一人人間が挟まっ
ていましたが、あれはネタバレ覚悟でこのまま貫くのかと思いきや、じきにいなくなっ
てしまい、意味不明な演出になったような。もう少し手紙を読み進めた半ば頃に、女性
の想像の具体化として、人間が一人挟まっているという画であれば、まだ分かるのです
が。
 そんなこんなで、シーズン2ではこの『人間椅子』が一番よかったかな。試みとして
際立っていた。
 第三シーズンが作られるとしたら、そして明智小五郎が登場しない短編でもよいのな
ら、「恐ろしき錯誤」「算盤が恋を語る話」「火縄銃」辺りはどうかしらん。長さ的に
合うのか分かりませんが。

 ではでは。




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